いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
地元に密着、気持ちにケアする相続のパートナー、司法書士の小林依里子です。
遺言書について、書いてきました。
遺言を残し、遺産の分け方を自分で決めることにより、遺言者は、その奥にある、願いや想いを、残された方々に繋げることができます。
この願いや想いを、相続人たちが知ることで、遺産分けの争いを防止したり、最小限におさえることができる場合があります。
亡くなった方が親であれば、子供たちは、遺言に従おうという気持ちになりやすくなるのは、人情として分かる気がしますね。
この遺言書には、通常、3通りの方式があることは紹介しました。
公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類です。
それぞれ、メリットデメリットがあります。
公正証書遺言のメリット
①法律のプロである「公証人」が作成するため、遺言書の内容や形式の不備により無効になることは、まずありません。
②公証役場が遺言書の原本を保管するため、遺言書がなくなったり、書き換えられたり、破られたることを防止できます。
③公証人と証人2名以上の立会のもとで、遺言者の意思を確認しながら、遺言書を作成するため、後日、遺言の効力をめぐり争いが起こる可能性が低くなります。
④ご高齢の方や、病気の方など、ご自分での筆記が難しい方でも、遺言を遺すことが可能になります。これは、公正証書遺言は、証人に遺言の内容を口頭で伝え、これを公証人が筆記するかたちの遺言だからです。
⑤遺言者が亡くなった後に、遺言書を家庭裁判所へもってゆき検認の手続きをする必要がなく、すぐに相続手続きを進めることができます。
⑥手続きに公証役場が関わるため、「遺言検索システム」により検索を依頼して、亡くなった方の遺言の有無を調べることができます。※平成元年1月1日以降ものが対象です。
公正証書遺言のデメリット
①「公証人」や「証人」が手続きに関わるため、費用がかかります。この費用は、財産が高額になるほど、高くなります。
②「公証人」や「証人」が手続きに関わるため、絶対に内容を秘密にしたい場合は、不向きです。
③公証役場へいったり、証人を手配したりと、一人で作成できる自筆証書のような手軽さはありません。
秘密証書遺言のメリット
①公証役場での手続きが必要なので、手続きをした公証役場に、遺言者本人が秘密証書遺言を作成したされた旨の記録が残ます。
なので、亡くなったあとに、残された遺言が本人が書いた真正のものか否かを遺言者の死後、改めて確認する必要が無く、争いの原因がなくなります。
②手続きに公証役場が関わるため、「遺言検索システム」により検索を依頼して、亡くなった方の遺言の有無を調べることができます。
③上記、メリットがある上に、手数料は定額1万1,000円であり、自筆証書より費用はかかりますが、公正証書遺言より低額で済みます。
③遺言の内容を秘密にすることができます。※手続きに、公証人や証人が関わりますが、遺言の内容を確認されることはありません。
④署名さえ遺言者本人が記入すれば、自筆証書遺言のように全文を自書である必要がありません。ワードやワープロで作成できますし、代筆を頼むこともできます。
秘密証書遺言のデメリット
①公正証書遺言のように、公証人が内容をチェックしないので、内容や形式の不備により無効になったり、よく内容がわからず、後でもめる可能性があります。
②公証役場へいったり、証人を手配したりと、一人ですべて作成できる自筆証書のような手軽さはありません。
③遺言者が亡くなった後に、遺言書を家庭裁判所へもってゆき検認の手続きをする必要があり、相続手続きを進めるうえで、費用や手間がかかります。
④保管は遺言者に任せられるので、無くなる心配や、書き換えられたり、破られたりする可能性があります。
自筆証書遺言のメリット
①遺言者が自筆で作るだけなので、いつでもどこでも自由に作れ、事情に応じて、いつでも書き直すことができます。
②遺言者である本人が一人で作れるので、遺言の存在や内容を秘密にしておくことが可能です。
③遺言者である本人が自筆で書いて、一人で作れるので、費用がかかりません。
自筆証書遺言のデメリット
①遺言書の書き方が厳密にきまっているので、書き方の不備により無効になる可能性があります。また、内容がよく分からないと、後でもめる可能性があります。
②保管は遺言者に任せられるので、無くなる心配や、書き換えられたり、破られたりする可能性があります。
③秘密証書遺言と違い、公証役場の関与がないため、遺言検索システムにより、亡くなった方の遺言の有無を調べることができません。
④遺言者が亡くなった後に、遺言書を家庭裁判所へもってゆき検認の手続きをする必要があり、相続手続きをすすめるのに、費用や手間がかかります。
では、どれで遺言書を作成するのが適当なのか!?
個人的見解ではありますが、お話します。
それは、遺言書を残される方が、どのような環境や状況にあり、どなたに、何を残したいのか。個別によく詳細を伺ったうえで、ふさわしいものを選ぶのがよいと思います。
メリットとデメリット、長所と短所は、表裏の関係です。
たとえば、「遺言書の検認」という手続きは、一般的には、遺言者が亡くなってから、相続人が家庭裁判所に申し立てるので、時間がかかります。また、専門家に依頼すれば費用もかかります。
なので、「検認」の手続きがいらない「公正証書遺言」は、大変なメリットとなります。
しかし、「検認」の手続きは、手間と費用がかかるだけなのでしょうか。
私は、ちがうと思います。
封印してある自筆証書遺言でしたら、相続人は、家庭裁判所に呼び出され、裁判官が、遺言書を開封し、みんなに読んで聞かせます。
そして、ひとり、ひとり、遺言書を自分の目で確認します。
どんな思いで、遺言者は、書いたのか。相続人は、その手書きの文章から遺言者の想いを、十分に受け取ることできるでしょう。
この検認の手続を裁判所で行うことにより、遺言の重みが相続人につたわり、遺言書の内容に従おうという気持ちになります。
たとえ、文句があったとしても、その場で言えば、専門家も立ちあっているので、もめにくくなるというメリットがあります。
では、具体的に、自分の場合はどうなるのか!?
個別のケースにつきましては、当事務所では無料にて質問やご相談を受付中です。お気軽にお問い合わせください。問い合わせ先⇒http://amba.to/1Oe7P1s