今日は2011年最後の昇級考試
我孫子道院からの受験者は、8月に入門した高校生のY拳士と、9月に入門した社会人のS拳士の2名
いずれも一般部の拳士だが、今年の4月から昇級制度の変更があり、入門してきた拳士が最初に受験できる資格が、従来三級から、六級へと改訂された
(その分、最初の受験までに最低限必要な参座日数が短くなっている)
二人は、この新しい試験制度になって、我孫子道院からは初めての受験者だったのだが、当人たちにとっては、これが最初の昇級考試だったので、旧来の試験制度と比較するもしないもなかったはず。でも、ともかく真剣に試験に臨んで、二人そろって合格にたどり着くことができました
(パチパチパチ おめでとう~ 今後のさらなる精進を期待します)
というわけで、二人は本日で白帯を卒業!
来週からは、晴れて“緑帯”を締めて稽古に参座してください
単純なことかもしれませんが、帯の色が変わるだけで、かなり気持ちが変わるものです
少なくとも自分の場合はそうでした
去年まで一般部は、白帯→茶帯(三~一級)→黒帯(有段者)の段階の帯しかなかったので、高校生の時に入門したワタシは、今まで、白、茶、黒の三色の帯しか締めたことがありません
たしか入門して三か月ちょっとで最初の昇級考試(三級)を受験させていただいた記憶があるのですが、当時は毎月のように新入門の拳士が入ってきていた時期なので、とにかく早く茶帯になりたいと憧れておりました(ワタシもそれだけ若かったんです……)
それだけに三級に合格できたときはうれしかったな~
のちに准拳士初段に合格し、黒帯を締めることが許されたときも、もちろんかなりうれしかったが(卍の色も緑から黒に変わったし!)、三級になって色帯(茶帯)になった喜びも、それに匹敵するものだったと記憶しています
ただし、その喜びあふれる茶帯には、ちょっとした思い出がありまして……
その頃通っていた道場は、火・木・土・日が稽古日で、日曜日は午前中が修練時間でした
そして日曜日は、稽古が終わると一般部の拳士で、隣接する喫茶店に立ち寄って、稽古のことや、技術のアドバイス、etc.をお喋りしていくのが日常でした
ワタシも先生や先輩方のお話をお聞きしたくて、よくついて行ったのだが、慢性的な金欠病だった高校生時代のワタシ(金欠病なのは今も同じ!?)には、喫茶店の最安値のメニューだった、200円ぐらいのコーラー代も捻出できないことが多々あって……
そういうときは、後ろ髪をひかれながら、「今日は、(喫茶店に寄らずに)失礼します」とあいさつすると、いつも先生が、「コーラの一杯ぐらいおごってやるから、お前も一緒に来い」とおっしゃってくださって……
(あのときの御恩は忘れません)
そんな具合で、ワタシの懐がいつも寒かったことをよーくご存じだった先生は、ワタシが三級に合格したとき、どこかから中古の茶帯を一本持ってきてくれて、ワタシにプレゼントしてくださったのです
その時のやり取りを再現すると……
「よし、三級合格でいいだろう」
「ありがとうございます!!」
「来週からは、お前も茶帯の仲間入りだ」
「うれしいです ところでその茶帯はどこで入手すれば……(ワクワク)」
「おお、それならもう用意してあるぞ 中古の茶帯だけど、これをあげるよ」
そういって、先生は色がかなり退色して薄くなっている年季の入った茶帯を取り出した
「い、いいんですか」
「おお、帯だって新品を買うと千円ぐらいはするからな これでよければタダであげるよ」
「ありがとうございます……」
恥を忍んで告白すると、茶帯は憧れ(?)だっただけに、じつは新品が欲しかったのだ
それもできるだけ色の濃い、こげ茶色の茶帯が……
(なぜ色の濃いこげ茶がよかったのか? きっと色が濃ければ濃いほど、「黒」に近いような気がしていたんでしょう 何たる浅見 恥じ入るばかりであります 若気の至りということで……)
勘が鋭く、よく気の利く先生でしたから、
生意気盛りの小僧の弟子(ワタシのこと)が、思ったほど喜色を見せなかったので察したのでしょう
「お前、黒帯をとるまで少林寺拳法を続ける気でいるんだろ?」
「はい! 絶対に黒帯になりたいと思います」
「だったら茶帯なんて、コレでいいじゃないか 一日も早く、黒帯になれ」
と激励してくださったのです
そこまで先生に言わせるなんて、本当に汗顔の至りであり、いま思い出しても、穴があったら入りたくなります
しかし、そうした先生のご高配のおかげで、その日以降、「早く黒帯になるぞ~」とさらに身を入れて稽古に臨むようになったのです
(まさに先生の読み通り…… 単純なオトコだったんですな~)
先生が中古の茶帯をプレゼントしてくれたおかげで、どれほどワタシのやる気が増して、どれほど黒帯習得までの期間が短くなったことか
それを数値化して表現するほどワタシは野暮ではないし、意味がないのでしませんが、そんな「茶帯の思い出」も、のちにワタシが道院長になれた遠因になっているような気がします
師恩にただただ感謝です
そして、今日めでたく六級に昇級した拳士をはじめ、現役拳士のみなさんは、誰もが将来の指導者です
今日の昇級で、また一歩指導者に近づけたわけですから、歩みを止めずに一歩一歩道を進んでいきましょう
今日はおめでとうございました
白帯(新入門)→緑帯(六級~四級)→茶帯(三級~一級)へ
Q、武道の帯は、上級者ほど色が濃くなってくのはなぜでしょう?(某拳士の質問)
A、シロウト(素人)からクロウト(玄人)に近づいていくってことじゃないの
(ワタシの答え)
素人・玄人の「シロ」「クロ」は、全然色と関係ないのに、つい口から出まかせを!?
本当の由来をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひともワタシにお教えください
本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『104』