レヴュー:「決戦は日曜日」(窪田正孝氏、宮沢りえ氏ら出演) | しょむ研 泡沫ブログ(しょむ系政治勢力研究会ブログ版)

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http://www.youtube.com/@shomuken 各種選挙のしょむ系候補(諸派・無所属のミニ政党・泡沫候補・インディーズ候補)観察,共産趣味(極左・市民派観察),極右・カルト宗教観察,評論・ルポ・ノンフィクション系同人誌製作,動画配信等. shomuken@ymail.ne.jp

 主人公は議員秘書。長年仕えてきた衆議院議員が突然病に倒れ、引退を余儀なくされる事に。秘書や地方議員、後援会員等が集まって話し合い、後継に白羽の矢を立てたのは、ネイルサロンを経営する議員の娘。然し此の娘、やる気はあるが世間知らずで我が儘で、常に人を見下す様な物言いをするので炎上する事も屡々。秘書は徹底して「事勿れ主義」を貫き、只々娘が議員として無事に当選する事だけを考えて行動するのだが…。

 序盤は宮沢氏演じる議員の娘の空回りっぷりと、其にブンブン振り回される窪田氏演じる秘書とのギャップを楽しむ。然し娘は選挙に出るからには本気で当選を考えており、そして当選してからは自分がやりたい様に政治をやると、彼女なりに真面目に考えていた事が分かってくる。然し本当にそうされてしまったら、議員を単なる「利権を得る為の道具」としか考えてない秘書や地方議員、後援会員達にとっては都合が悪い。なので、徹底的に彼女を抑え込もうとする。其の為、次第に両者の間に齟齬が生じる様になる。其処で娘は、1つの決断をする。其に対して秘書は…。

 最初は「政治家向きでないアホ娘が暴走する感じのコメディか?」と思ったが、実は議員の娘の方が余程真面目で、秘書をはじめとする議員を取り巻く面々がドロドロに腐敗してる様を見る事が出来る。主人公は「政治の世界なんて腐敗してるのが当たり前」と、最初は問題を問題とは全く思ってなかった訳だが、浮世離れしてる議員の娘を通じて、果たして其の「当たり前」は「正しい」のかどうかを考え始める、というのが此の映画の肝。

 自分を秘書に背負わせて泥濘を歩かせる議員や、自信たっぷりに「各々(おのおの)」を「カクカク」と読む議員の娘等、現実政治のパロディっぽいシーンも。

 政治や選挙についての描写にはツッコミを入れたくなる場面もあるにはあるが、一応監督は「お仕事もの」として此の映画を作り、映画を通じて「議員秘書の仕事」を描きたかったと言ってるだけあって、「総理の夫」等よりはある程度丁寧に作られている。

 終盤で娘は自分の落選を図り、わざと炎上する様などぎつい発言をしたり、ニュースに対して大袈裟に反応したりする様になるが、結果はどうなるか…?其は皆さんに見てもらいたい。

 映画に先駆けてノヴェライズ版が刊行されてたので、映画視聴後にサラッと読んだ。主人公が仕えてる議員の初当選の時の描写や、其々の人物像の深掘り、肉付け、台詞の加筆修正等が行われており、「映画だけでは十分分からなかった」という人はもっと楽しめるであろう内容。