レヴュー:「記憶にございません!」(三谷幸喜氏監督・脚本、中井貴一氏主演) | しょむ研 泡沫ブログ(しょむ系政治勢力研究会ブログ版)

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 ある夜、大学病院のベッドで、頭を包帯でグルグル巻きにされた状態で目を覚ました中年の男。自分が誰か、何故此処にいるのかも全く分からない状態で、病院を抜け出し街をフラフラと彷徨う。通り掛かりのサラリーマンには罵声を浴びせられ、立ち寄った定食屋で食事をするも、店主には「金なんか要らんからさっさと出ていけ!」と追い出され、只々困惑する男。然し、謎の集団に連れていかれ、向かった先は何と首相官邸。其処で見せられたTVには、不正献金の追及に対し「うっせーなぁっ!『記憶にございません!』っつってんだろーっ!」と物凄い剣幕で野党議員に怒鳴り散らす男の姿が。そう、男は支持率2%、史上最低と言われてる内閣総理大臣なのであった!

 三谷幸喜氏監督・脚本作品。中井貴一氏演じる黒田啓介は、街頭演説で聴衆を罵倒してる最中、石を投げられ、其が頭に当たって記憶喪失になってしまった内閣総理大臣。記憶を失った事は医師と秘書官だけが知っている国家の最高機密という事になり、其の儘総理を続ける事となる。然し、啓介は「傲岸不遜、横暴、権力欲の塊、金に汚い、公私混同、セクハラ三昧」等々、自分が悪評塗れだった事に面食らう。政策の進捗状況を言われたり聞かれたりしても何と答えて良いか分からず、只管おろおろし続ける。其んな時、日米首脳会談が開かれる事となり…。

 「評判最悪の総理が、何かを切欠に政治改革を考え始める」という話運びは三谷氏の過去作品「総理と呼ばないで」と同じで、結構重なる。脇は三谷作品らしく梶原善、小林隆、阿南健治、近藤芳正各氏の東京サンシャインボーイズ関係者(近藤氏は正式なメンバーではないが)や、藤本隆宏、栗原英雄両氏等劇団四季出身者等が固めている。啓介の義兄役のROLLY氏はいつもと全然違う黒髪の七三分けで、印象の違いに目を見張った。「民王」の草刈正雄氏、「民衆の敵」「総理の夫」の田中圭氏等、政治絡みの映像作品出演経験者が揃ってるのは偶然か?

 「政治関係の描写や作り込みが甘い」等の評もあるが、スカッと笑えるコメディに仕上がってるので、此処は大いに楽しもう。