レビューがたまって、なかなか遅れを取り戻せませんが、今日はひと月ほど前にネットフリックスで鑑賞した1時間42分の映画の覚書です。
グレート・スクープ(2024)
イギリスのアンドリュー王子へのインタビューを実現させ、大きな議論を巻き起こしたBBCの報道番組「ニュースナイト」の裏側を基に描くヒューマンドラマ。番組制作に奔走した女性たちの姿を描く。監督を手掛けるのは『THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション』などのフィリップ・マーティン。『X-ファイル』シリーズなどのジリアン・アンダーソン、ドラマシリーズ「超サイテーなスージーの日常」などのビリー・パイパーのほか、ルーファス・シーウェル、ロモーラ・ガライらが出演する。
あらすじ
イギリス・BBCの報道番組「ニュースナイト」のプロデューサーであるサム・マカリスターらは、アンドリュー王子へのインタビューをイギリス王室に打診する。そんな中、アンドリュー王子と交流があったアメリカ人富豪のジェフリー・エプスタインの自宅がFBIによって捜索され、スキャンダルが明るみに出る。番組への出演を決めたアンドリュー王子に、インタビュアーのエミリー・メイトリスは事実を提示しながら迫る。(シネマトゥデイより引用)
感想:
英国の歴史に昔から興味があるのと、私の住むオーストラリアの国家元首は英国王ですから、英国のロイヤルファミリーに関する話はよくみています。
今回は拘置所で死亡したエプスティーンの仲介で、2001年に当時17歳の女性に性的暴行をしたとして、訴えられ、王室の地位も名誉もすべて失った、故エリザベス女王の次男、アンドリューがBBCによるインタビューを受けた時の話。
Foxニュースのキャスター(シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー)が上司によるセクハラを訴えた「スキャンダル」を思い出しました。
それから「ザ・クラウン」のシリーズをみていた人も興味がある作品だと思います。
当時、アンドリューのインタビューは見ていますが、本人否定していたけれど、まったく信ぴょう性がなかったですね。
結局、相手の女性とは数億円という額で和解したと言われているけれど、なんとも後味が悪いです。
エリザベス女王のお気に入りの息子だったといわれる、アンドリュー王子ですが、アンドリューも孫のハリーも、晩年の女王様にどれほどの心労を与えたかと思うと胸が痛みます。
さて、このドラマはそのアンドリュー王子のインタビューがハイライトではありますが、主役はこのインタビューを可能にしたプロデューサーのサミー(サム・マカリスター)役のビリー・パイパーで、彼女の姿はとても魅力的でした。
ファンになった〜。
そしてインタビュアー役のジリアン・アンダーソンもさすが。
「ザ・クラウン」のマーガレット・サッチャー役が重なりました。
アンドリューを演じているのは誰かな〜と思っていたら、突然ルーファス・シーウェルだと気がつきました。なんと!
実際のインタビュー映像と比べてもよく似てますね。
でもこのメイクアップ技術も今にAIで本人の顔にすげかえられるようになるのでしょうか。そうなったら怖い。
さて、先日、NetflixでTBSのドラマシリーズ「不適切にも程がある」を見終わりました。
本当に面白くて、これについてはまた別にレビューを書ければいいなと思いますが、アンドリュー王子がしたこと(17歳の女性への性的暴行)は確かにひどい。
あの性格だから一緒に写真を撮ったりして、とても無防備。
でも彼がそれを行った時(2001年)はそういう「不適切なこと」がまわりでも暗黙の了解で行われていた時代だったように思え、他にもやっていた人はたくさんいたように思えます。
「不適切にも程がある」では「寛容になりましょう〜」と皆が歌って終わったけれど、寛容になれることとなれないことがある。
でもその糾弾をどこまでさかのぼりますか、古典といわれる文学・映像の表現にあってもそれを断罪しますか、となってくるとこわいな、とも思います。
(たとえば性被害ではないけれど、「風とともに去りぬ」が人種差別にあたるので上映できないとか。このあいだみた映画「アメリカン・フィクション」で描かれていたような文学作品のなかの差別用語へのリアクションとか。)
まぁ、アンドリューはひどいお灸を据えられて、他の人への警告という役割を果たしたといえますが。
本作はこの世紀のスクープを可能にしたマスコミの人々に焦点をあてた物語なので、興味ある人におすすめできる、時代性のある作品でした。三つ星半。