オーストラリアにはSBSという、多文化・多言語社会を背景に、さまざまな視点や言語で番組を届ける放送局があります。
その無料配信サービス「SBS On Demand」で、「チャイコフスキーの妻」という映画をみつけ、2026年4月22日に鑑賞しました。
ロシア・フランス・スイス合作。ロシア語音声の作品を英語字幕でみました。
あらすじ
19世紀後半のロシア。
世間体を気にする天才作曲家チャイコフスキーは、自身に熱烈な好意を寄せるアントニーナと結婚する。
しかし、同性愛者である夫から冷酷に拒絶され、結婚生活はすぐに破綻。
女性の権利が制限された社会で「妻」の座に執着し、孤独を深めていく彼女は、盲目的な愛と絶望から次第に精神のバランスを崩していく。
チャイコフスキーの妻アントニーナの視点から、二人の結婚とその破綻を描いた伝記映画です。
感想
わたしは7歳からクラシックバレエをはじめ、大人になっても続けていたので、チャイコフスキーには深い思い入れがあります。
彼の有名なバレエ曲だったら、全曲鼻歌でうたえるし、はじめの数音をきいただけで曲名当てクイズができるほど(笑)
そんな大好きなチャイコフスキーの妻との結婚を描いた1970年のケン・ラッセル版「恋人たちの曲/悲愴」をはじめてSBSテレビでみたときは、もうほんと〜にびっくりした!
ケン・ラッセルの作品は、過激でスキャンダラスでアバンギャルド。
でもとり上げるテーマがチャイコフスキー、マーラー、エルガー、フランツ・リスト、ルドルフ・ヴァレンティノ、ワーズワース、、、と言った人たちの生涯だったりするから、文学や音楽が大好物な私はついみてしまう(汗)
「チャタレイ夫人の恋人」もケン・ラッセルでしたね。
でもこれだって文学作品だからわたしはみた(笑)
ともあれ、「チャイコフスキーの妻」と聞いて、あの精神病院にはいってしまう彼の奥さんのシーンをまざまざと思い出しました。
でも今回は、最近つくられたロシア語作品で、しかもカンヌ国際映画祭出品作。
「こちらの方が、もう少しオーセンティックでは?」
と思ってみてみたのですが、、。
いや〜、やっぱり過激でした![]()
しかもチャイコフスキーの妻を演じる女優さんが、こちらの知り合いに顔がそっくり!
これから彼女の顔をみるたびに、この映画を思い出しそうです〜。
(彼女はロシア系だったのか?)
チャイコフスキーが同性愛者だったことは、現在では広く知られています。
当時のロシアでは男性同士の同性愛行為が犯罪とされていた時代。そんな社会の中で、彼は自分に熱烈な好意を寄せていたアントニーナと結婚します。
けれど、二人の結婚生活はあっという間に破綻。
実際、結婚からわずか数ヶ月で別居し、その後二人が夫婦として共同生活を送ることはありませんでした。
しかし正式に離婚することもなく、法律上は夫婦のまま。
アントニーナはそのとき、精神状態を悪化させ、晩年を精神病院ですごすことになります。
チャイコフスキーの突然の死についても、昔からいろいろな説があります。
一般には、生水を飲んだことによるコレラに感染が死因とされていますが、同性愛をめぐるスキャンダルを避けるため秘密の「名誉裁判」が行われ、自殺を迫られたのではないか、という説も唱えられてきました。
そして死の直前に初演された交響曲が、あの第六番「悲愴」。
そう思うと、まるで地獄のレクイエムのようにも聞こえてしまいます。
今から考えると信じられないような話ですが、この映画はチャイコフスキー自身の悲劇を描くというより、タイトルどおり彼の「妻」の執着と狂気をものすごくグラフィックに描いています。
はっきり言って、引きます。
ロシア製作の、史実にインスピレーションをうけた重厚な作品なのかと思ってみはじめたのに、私にはテレビ映画的にも感じられる映像と、舞台劇のような場面転換、そしてかなり現代的な演出。
期待を悪い意味で裏切られました。
特に、彼女がチャイコフスキーをあきらめる代わりに、ずらりと並んだ男性たちの中から相手を選ぶシーン。
全裸男性たちとのからみに、ドン引きした〜。
それも一度ならず、何度も全裸~~。
143分がとてもとても長くかんじました。![]()
というわけで、途中挫折をくりかえし、それでも3度目にやっと最後まで鑑賞。
カンヌでは高く評価された作品だそうですが、私にはその魅力が最後までよくわかりませんでした。
フランスで評価された理由がわかれば、フランスの映像文化がちょっとわかるのかしら?
でもチャイコフスキーの音楽は天からの贈り物。
あれほど美しい旋律を生み出した芸術家の作品は、複雑な私生活とは切りはなして考えなくては、、。
、、、と、努力しなくてはいけなくなる映画でした![]()
チャイコフスキーの音楽を心から愛している人には、むしろ見ないことをお勧めします。
星みっつ。
