10月に日本から帰ってから、すぐに仕事で目が回る忙しさでしたが、一息つこうとネットフリックスをつけたら、ウェス・アンダーソンの新作が公開されていました。

 

8月に「アステロイドシティ」をみて、あんなに痛い目にあったのに、やっぱり気になってしまった私。

 

痛い目にあった時のレビュー

 

それでもみた理由は、ロアルド・ダールの短編の映画化だったから。

「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」、「白鳥」、「ねずみ捕りの男」、「毒」の4編から成る連作で、「ヘンリー・シュガー」は39分、残り三作は17分づつ、ととても短いのも珍しい。

 

ウェス作品はもう懲り懲り、と思っていたけれど、ロアルド・ダールの「すばらしき父さん狐」を原作にしたストップモーションアニメの「ファンタスティックMr.FOX」は本当に傑作だったから、これならいけるかも!と。

 

その時のレビュー

 

この時、「ウェスの場合、原作がある作品の方がある程度のしばりがあって良いのではないか」「実写よりストップモーションアニメが向いているかも?役者の顔に左右されないし。」と書いたのですよね。

 

本作は実写だけど、大成功したロアルド・ダール原作の映画化だから、まるで私の願いが届いたみたい(というか他の人も同じように感じていた?)と喜んで、一作づつ鑑賞しました。

 

 

 ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語 (2023)

 

 

ヘンリー・シュガーはギャンブル好きの大金持ち。ある日彼は、目を縫われているにもかかわらず目が見える、インドから来た奇妙な患者について書かれた医師の報告書を読む。その男はその後、不思議な能力を身につけ、サーカスで驚くほど儲かる芸を披露するようになる。ヘンリーは、医者がその男の視力を「奪った」方法を発見する。ヘンリーは同じことをしようと決心し、ついに縫った目にもかかわらず見る力を自分に与える。その力を使って、ヘンリーは大金を獲得するために考案された一連の見せかけの演技を受ける。

 

 

 

 白鳥(2023)

 

 

大柄で愚かないじめっ子2人から執拗(しつよう)にいじめられる、小柄な優等生の物語。

 

 ねずみ捕りの男(2023)

 

 

 

ネズミ駆除を生業とする男を主人公にした物語。

 

 毒(2023)

 

 

猛毒のヘビが自分のベッドにはい上がってきたことに気づいた男の物語。

 

注:あらすじはすべてネットフリックスのサイトより引用。

 

感想

 

レイフ・ファインズが著者のロアルド・ダールを演じますが、「アステロイドシティ」のように入れ子構造になっています(またも入れ子構造。Oh, no〜〜〜!!)

 

ダールが「ヘンリー・シュガー」の物語を語りはじめたら、今度はベネディクト・カンバーバッチ扮するヘンリー・シュガー自身が語り手となりつつ、同時に主人公として物語が進行する。というかんじで進んでいきます。

 

四作のメインキャラクターはこの二人の他にルパート・フレンド、デヴ・パテル、ベン・キングズレー.など。

 

四作の中で入れ替わり立ち替わり別人を演じていくのですが、見た目はいつものまるでとびだす絵本のような左右対称で美しい色彩とセットデザイン、登場人物は前をむいて棒読みでしゃべるスタイル。

物語を聞いているような演出です。

それぞれ短い作品だけど、やはり睡魔が襲う(汗)

 

一作目、面白いストーリー。デヴ・パテルやベン・キングズレー.はとてもいい。でも眠くなる。

 

二作目。いじめっ子っていったって、線路に体を縛り付けられたりしてスケールが違う。なんという残酷なお話!

 

三作目。ストップモーションアニメのねずみはよくできてる。でもねずみ捕りのレイフ・ファインズがとても気持ち悪い。

 

四作目。寝てたらお腹に毒蛇がのっていて、身動きできなくなったカンバーバッチさんとそれを救おうとするデヴ・パテルとベン・キングズレー。

カンバーバッチさんの顔芸!ヘビ

緊張感があって面白かったけど、四作すべて見終わった時、あまり満足感が残らないのは何故??

 

というわけで、原作あり、それもウェスさんと相性のいい、ダークファンタジー(ブラックユーモア?)のロアルド・ダールのお話だったけど、やっぱり私には「だから何?」感が残りました。

 

美術面では最高なんですけどね。

 

ウェスさん、いつまでこの調子でやっていくのでしょう。

これも全部ストップモーションアニメにしたらよかったのでは?笑い泣き

 

やっぱりウェス作品には要注意。

星みっつ。