レーダー照射問題への疑問(こわい話11) | 詩はどこにあるか

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 中国軍機が自衛隊機に対してレーダー照射した問題。レーダー照射は、
①1回目、6日午後4時32分頃から35分頃まで、3分間
②2回目、午後6時37分頃から7時8分頃まで、31分間

 前回わからなかったことが、少しずつ、わかってきた。
③1回目、中国軍機と自衛隊機との距離、52キロ
④2回目、148キロ
⑤中国空母から、日本の艦船に、飛行発着訓練をすると通告していた。日本側から、通告を聞いたと返答している。(音声記録あり)
⑥小泉は、「通告はなかった」と国会で答弁している。

 中国軍機と自衛隊機の距離が、52キロ、148キロなら、これは「危険」な距離とは言えないのではないか。「危機感」には個人差があるが、映画などで見るかぎり、「戦闘」が可能な距離とは思えない。レーダーで機体の存在を確認する距離だと思う。目視で認識できるとは思えない。
 問題は、日本の艦船が通告を了解したけれど、自衛隊機には、それが伝わっていたのか、伝わっていなかったのか。伝わっていて、わざわざレーダー補足されるところまで近づいて、レーダー照射されたと言っているか。それとも通告を知らずに、たまたまレーダー照射に遭遇したのか。どうみても、日本の海・空の「情報共有」に問題があるとしか思えない。
 さらに、中国側は「中国軍機もレーダー照射された」と言っている。互いに、相手の「位置」をレーダー照射することで確認しているのだったら、それはとくに問題視する行為ではないのではないか。
 私は、軍事のことはさっぱりわからない。たぶん、多くの日本人もわからないだろうと思う。その「多くの日本人がわからない」ことを利用して、小泉や高市は、何か、情報を隠していないか。
 テレビでは(フェイスブックにアップされたもの)、元自衛官が52キロ、148キロは「危険な距離ではない」と言っていたが、その「危険ではない距離」で31分間もレーダーを照射しつづけるとは、どういうことだろうか。自衛隊機に、何か、不自然な動きがあったのではないのか。この31分間、自衛隊機は、どんな行動をしていたのか。私は、そのことに関心がある。
 小泉は、中国からの通告はなかったと言っているが、それは小泉に通告があったという報告が届いていなかったということになる。あるいは、知っていて、嘘をついたことになる。まさか中国が「録音」しているとは思わなかった、ということだろう。証拠があるとは思わなかったということだろう。
 もし、それを自衛隊機が小泉なり、自衛隊の本部へに連絡していなかったとすれば理由はふたつ。①遠距離からのレーダー照射は、問題にするような「敵対行為」と自衛隊では認識されていない(つまり報告の必要がないとパイロットが判断した)②報告すべきことだったのに、報告していないのだとしたら、それはシビリアン・コントロールに反するのではないのか。自衛隊の、パイロットの独断になるのではないか。
 いずれにしても、危険なのは(日本人にとって危険なのは)、中国軍の動きよりも、自衛隊の動きだろう。規律が徹底していない。平気でシビリアン・コントロールを逸脱する。
 さて、この「国内問題」に対して、高市は、どう対処するのか。
 野党には、このあたりのことを追及してもらいたい。中国軍機がレーダー照射したかどうかよりも、海・空自衛隊間の連絡と、「現場」で起きたことに対して、自衛隊員と本部(?)の連絡、さらに首相への連絡態勢などである。装備にいくら金をかけるか、アメリカの軍需産業にいくらもうけさせるかよりも、重要な問題だろうと思う。

 中国がほんとうに攻撃してきたら、日本はあとかたもなく滅びる。だから、こんなことは考えてもはじまらない。どうやって、戦争を引き起こさないか、が重要である。
 問題は、日本内部で「意思疎通」がうまくいかず、それが原因で中国に対して攻撃してしまう。中国の権利を侵害してしまう。そこから、日中戦争がはじまることだ。
 今回の問題の発端の、高市発言のように、問題の根本は日本にある。やっていることが、あまりにも「軽はずみ」である。今回のレーダー照射も、中国からレーダー照射されたと騒げば(中国を悪役に仕立て上げれば)、高市支持派が、高市がんばれ、中国に屈するなと応援すると思って「仕組んだ」報道ではないのか。
 そうだとすれば、こわい。高市は、高市支持派を刺戟して、高市ブームをあおることだけを考えていることになる。