詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

小倉金栄堂の迷子20260831/20261025

(嘘)

 「ここを攻められたらどうする? 大切なものが、荒らされ、奪われてもいいのか」。使い古されたささやき。嘘をつくことしかできない。小さくなって、隠れる。嵐が通りすぎるのを待つ。終わったら、這い出す。動けなくなった比喩、その変わり果てた形を見つけたら、大声で泣く。肺の力をふりしぼって泣く。これも、嘘。感情を殺すために、つかったことのない副詞を接続してみる。どの本にも書かれていない比喩になりたい。もっと新しくなれる。複雑で矛盾した暗喩のための助詞、形容詞をまさぐる。忘れてしまったが、五番目の部屋かもしれない。枯れた薔薇の造花の内面を恨む。もう一度。もう一度、今度は、隠れて泣く。これも、嘘。何もわからない。わかるはずがない。見たことのない暴力、惨殺が通りすぎる。目が合ったら「助けてくれ」とすがる。目で訴える。「何でもする」「どんなことも我慢する」。何度もそうしてきた。裏切る憎悪を裏切る快感。引きずり込まれる絶望から逃げようとすればするほど、こみあげてくる快感は遠いことばを探す。とりかえしのつかない愉悦をまとって。