台湾有事。台湾が中国に対し「独立」を求める。中国がそれを阻止するために、軍隊を台湾に派遣する。あるいはアメリカが台湾を支援しないように台湾周辺を中国の海軍が封鎖する。それは日本の「存立の危機」か。「集団的自衛権」を行使するときか。
台湾で中国と台湾が戦争をする。アメリカが参戦する。アメリカが攻撃される。それは、ほんとうに日本の「存立の危機」か。
絶対に「日本の存立の危機」ではない。
若いひとは「歴史」を知らないから高市の「口車」に乗るが、かつて、「ベトナム戦争」があった。アメリカはベトナム(北ベトナム)を攻撃した。ベトナムはもちろん反撃した。アメリカが負けそうだ。これは、いまでいえば、アメリカが被害を受けているのだから「集団的自衛権」を行使するとき、日本の「存立の危機」ととらえられるときである。実際、アメリカは、そう感じたかもしれない。それでアメリカ(ニクソン)は日本に自衛隊派遣を要請した。このとき、田中角栄は、それを拒否した。「日本の憲法9条は、武力行使を禁止している」と。
その結果、どうなったか。角栄が自衛隊を派遣しなかったことだけが要因ではないが、アメリカは敗退した。つまりベトナムから去った。そして、日本はどうなったか。何も起きなかった。日本は平和のままである。ベトナムで日本の同盟国であるアメリカがどれだけ攻撃を受けようと、日本は平和のままであった。
いや、これは正確ではない。
私たち日本国民のほとんど全員が平和のままだったが、ひとり、田中角栄だけは違った。「金権問題」を追及され、失墜した。「金権問題」が角栄失墜の原因のように言われているが、アメリカが角栄を失墜させるために「工作」したという説がある。たぶん、これは正しいだろう。
ここからわかること。
アメリカの指示に従わなければ、日本の首相は「失墜」させられるのである。アメリカの指示に従わないことは、「首相の地位の、存立の危機」なのである。このことを自民党の議員は知っているはずだ。だから、だれもアメリカに対しては「ノー」と言わない。どんなことでも「イエス」と言って従う。「日本」のためではない。自分の「首相」という地位を守るためである。
高市がトランプの周りではしゃぎまわり、こびをふっているのは、単に首相の地位にしがみついていたいからである。高市は、権力に対して「強欲」であるだけなのである。
ベトナムは、日本から遠い国ではない。中国・台湾から比べると距離があるが、日本と同じ東南アジアに属する。そこで戦争があり、アメリカが負けた、ということを思い出そう。そしてアメリカが負けたからといって、日本の平和が脅かされたわけではない。それを思い出すべきである。