新型コロナ転換点 | 詩はどこにあるか

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新型コロナ転換点
       自民党憲法改正草案を読む/番外341(情報の読み方)

 2020年04月23日の読売新聞(西部版・14版)の一面。新型コロナをめぐるニュース。

軽症者はホテル療養/厚労省通知 自宅併用から転換

 「やっと」というか、病気になったら入院・治療があたりまえ、感染症なら「隔離病棟」で治療するのが当然だろう。病院建設が間にあわないから「ホテル」を利用する。おそすぎる対応だ。中国が病院を建設したとき、日本もすぐに病院を建設すべきだった。韓国が検査を徹底したとき、日本も検査を徹底すべきだった。隣国に「お手本」があるのに、3か月近くも「独自路線」にこだわった。
 その「独自路線」の総括(?)が一面のトップ。

感染者集団125か所/本紙調査 31都道府県2698人/医療機関41 福祉施設27

 「クラスター」を追跡することで、感染者の封じ込めを狙った。その「結果」、判明した「クラスター」が、この数字。読売新聞は、記事の前文で「各地に広がるクラスター追跡の必要性があらためて浮き彫りになった」と安倍の手法の「正当性」の証のように書いているが、この評価はどうか。
 全国の感染者数は24日0時現在「1万2281人」(26面の一覧表)である。「2698人」は四分の一にもならないではないか。これは、安倍の「追跡作戦/封じ込め作戦」が大失敗であったという証拠である。
 視点を変えて、客観的に事実を語る必要がある。
 クラスターの追跡が無駄とは言わないが、それよりも大切なのは、クラスターにとらわれずに、検査を徹底することである。
 クラスター追跡は、初期の初期には意味があっても、「市中感染」がはじまってしまえば、ほとんど無意味だ。
 重要なのは、見出しにとっていない次の部分だ。

沖縄県では、累計感染者は130人にのぼるが、感染者集団としては、沖縄市の会議室に関係する7人のみ。東京都も、大規模な集団が複数確認されてはいるものの、3000人以上いる累計感染者のうち感染者集団に含まれる人は約500人にとどまり、感染経路不明の人も多い。

 「感染経路不明の人も多い」ではなく、「感染経路不明の人が多い」のだ。特定されている人が少ない。「結論」を変えてはいけない。感染経路(感染集団)にとらわれずに、「市中感染」そのものを把握しないといけない。
 「集団感染(クラスター)」にこだわるから、自宅療養中に容体が急変、死亡するという事故も起きる。「集団感染」であろうが「個別感染」であろうが、人は重症化もすれば、死んでしまうこともある。自宅療養を強制され、治療を受けることもできず、そこから感染が拡大していくことが増えるのだ。
 毎日新聞のウェブ記事(04月23日19時28分更新)によれば

自宅療養者数、病院外の死者数「現時点で把握せず」官房長官認める

 ということだが、いままで発表されてきた「感染者、死者」は一部にすぎないのだ。クルーズ船のときから「現時点」まで、すでに3か月近くたつ。3か月近くも、安倍政権は「クラスター」は追跡したが、「市中感染」は放置したということだ。
 「数字」が公表されていないだけで、「公表できない数字」はとんでもない数に違いない。多くの「責任者」は、その「実数」を知っているのだろう。あるいは「実数」を推測できるだけの「資料」を持っているのだろう。
 だからこそ、小池・東京都知事は、こう言うのだ。

買い物「3日に1回に」

 だれもが「市中感染」を広げる。だれもが「市中感染」させられてしまうという状況なのだ。

 来園者の密集状態が懸念されていた都立全82公園については、利用自粛を要請した上で駐車場や遊具施設を閉鎖する。/小池知事は会見で、「本当に大事な2週間になる。とにかく、家にいてください」と訴えた。

 家にいないと感染してしまう(家にいても、すでに感染してしまっていて、家族に感染を広げるかもしれない)という状況になっているのだ。
 抽象的な言い方ではなく、「私が把握している数字では、感染者は〇人、死亡者は〇人。死にたくなかったら家にいなさい。必要食品は、都が調査し、個別に配達するから、家から出るな」と言わない限り、事態は改善しない。「正確な情報」を隠していては、何もわからない。国民はどう行動していいかわからない。

 しかしなあ。
 このコロナ政策の「大転換点」(クラスター追跡では対応しきれなくなった)というときに、発表が加藤厚労相や菅官房長官まかせというのは、変じゃないか。小池まかせ、というのは変じゃないか。
 「軽症者ホテル療養」に関する記事(26面)には、こう書いてある。

都は、国の方針転換に先駆けて軽症者をホテルに一本化する方針を決めている。と医師会の幹部は「医師らが常駐するホテルで療養する利点は大きい」と方針転換を歓迎する。

 「方針転換」と明確に読売新聞は「断定」している。いままでやってきたことは、「非常事態宣言」を含めて、クルーズ船の対応の「延長(追認)」であって「方針転換」ではない。「自粛(家からでないようにする)」は「クルーズ船から出ない」の拡大版にすぎない。
 「数字」を安倍の都合のいいように操作するという「方針」も大転換し、「事実をすべて公表する」。そうしない限り、何も改善しない。
 「8割は軽症者」。自然に回復する。「自己管理」に任せるでは解決しない。「隔離」し、急変に備える。ヨーロッパの多くの国では、感染したら1割以上が死んでいる。初期に報道されていた「事実」とは違うことが起きている。
 感染者は急拡大している。ひとりでも死亡させてはいけない、とやっと、「現場に近い人たち」はそれを語らなければいけない気づいた。しかし、それを明確に語る人がいない。安倍は、ひたすら「雲隠れ」を決め込んでいる。
 ほんとうに、ひどい。むごい。私は、怒りを語ることばを知らない。

 安倍の「情報隠し」はいままでも何度も繰り返されてきたが、今回の「情報隠し」では、国民の多くが死んでいくのだ。安倍の「未必の故意」が問われる。











#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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