自民党憲法改正草案を読む/番外336(情報の読み方)
2020年04月12日の読売新聞(西部版・14版)の1面。新型コロナの感染者。
東京197人、福岡43人 感染最多
この数字をどう見るか。読売新聞は、次のように分析している。(番号は私がつけた。)
①今月8日の感染者(144人)は前日比82%増と急増したが、9日(178人)は同24%増、10日は同6%増と伸び方は鈍化しており、11日の増加率は同4%だった。
②ただ、感染の有無を調べるPBR検査を実施できる数には限界があり、都幹部は「検査数が増えれば、感染者数も増える可能性がある」と危機感を示す。
これは①の数字が「当てにならない」という証拠である。いったい何人検査をしているのか。その「母数」(分母)がわからないかぎり、現象の一部を表面的にとらえただけにすぎない。
極端な話、毎日200人しか検査していなかったとしたら、どうなるのだろう。感染率を計算してみる。
8日 144÷200=72%
9日 178÷200=89%
10日(不明)
11日 197÷200=98%
毎日感染率が上がってきている。
たぶん、検査数(分母)を増やしながら「感染者の伸び率」が低下するように操作しながら「発表」しているのだろう。(①の計算は、感染者が何人伸びたか(感染者増加率)であって、感染率は計算していない。)
感染者の増加率を操作するために、どういう「分母」を設定するかというのは私のような人間にはめんどうだが、「算数」のレベルとしては中学生でもできることだと思う。
そういう「事実」があるからこそ、都患部は正直に「検査数が増えれば、感染者数も増える可能性がある」と言っている。しかも、私が計算したように「分母」を一定だと仮定すると「感染率」がどんどん伸びているのだから、分母が大きくなれば感染者数が爆発的に増えるのは目に見えている。
大事なのは、正確な情報。
感染症の場合、「感染者の伸び率」よりも「感染率の変化」。100人検査して50人陽性と、1000人検査して500人陽性では、「感染率」は50%でかわらないが、感染者の伸び率では10倍になる。逆に言えば、前日に1000人検査して500人の陽性者を確認する。次の日に100人検査して50人の陽性を確認する。その場合「感染率」は50%でかわらないが、感染者数の伸び率は「10分の1」になる。
数字の発表だけでは、「数字の意味」は見えない。一部の数字だけではなく、全部を公表しないといけない。検査申し込みが何件あったのか、そのうち何件を検査したのか、そして何人の陽性者を確認したのか。これを隠したまま、きょうの感染者が何人と発表しても意味はない。そういう発表をするのは、すべてを公開すれば「数字の操作」がわかってしまうからである。
都幹部は「検査数が増えれば、感染者数も増える可能性がある」と言っているが、可能性ではないのだ。
検査数が増えれば、感染者数も増える
ことはだれもが知っているのだ。その「事実」(感染率がアップしてきている)を伝えたくて幹部はそう語り、読売新聞はその「意」を酌んで、幹部の声を載せたのだろう。
きょうのニュースでは
首相「出勤7割削減」要請/7都府県、全事業者に
にも注目した。
「緊急事態宣言」で自治体に対応を任せていたのに、突然、首相が出てきた。これでは「指揮系統」がわからなくなる。「出勤7割削減」はそのまま「労働7割削減」には直結しないが、なかには仕事を失う人もいるだろう。在宅勤務をするにしても、機材の調達などが必要になる。企業によってはセキュリティーの問題が関係してくる。それをどう補償するのか。このことが明確にされていない。
単に安倍が、「ぼくちゃん、ちゃんと要請したからね」というだけのニュースである。国民のいのちが大事。それを守る必要がある。そのために人の動きを制限する。動きを制限するから、それにともなう損失は補償する、という順序で動かないといけないのに、そうなっていない。
「人間の動きは制限します。各自で工夫してください。そうしないと国民が死んでしまうかもしれない。それは工夫をしなかった企業と、工夫をしなかった労働者の責任。ぼくちゃんは、ちゃんと要請をした」というのは、言い逃れ。
「工夫」ということばは、記事の中には、こんなふうにつかわれている。
(西村経済再生相は)事業継続が求められる業種については「それぞれの感染拡大防止の取り組みをしながら、オフィス部分はさまざまな工夫ができると思う」と語った。
「それぞれの/さまざまな工夫」ではなくて、政府の明確な工夫(政策)が必要なのに、それを放棄している。「要請」が「工夫」であってはいけないのだ。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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