まだ五輪? もう五輪? | 詩はどこにあるか

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まだ五輪? もう五輪?
       自民党憲法改正草案を読む/番外328(情報の読み方)

 2020年03月29日の読売新聞(西部版・14版)の1面(社会面)。

五輪 来年7月開幕案/組織委 23日開会式 有力

 という3段見出し。
 ご丁寧に、「裏付け」として、こんなことを書いている。

近年の大会は金曜日開幕となっているケースが多く、今年7月24日開幕の当初計画に近い金曜日として、来年7月23日の開会式が有力となっている。

 まだ五輪のことを言っているのか、もう五輪のことを言っているのか、どう言っていいかわからないが、いま考えるべきことは五輪ではないだろう。
 だいたい「近年の大会は金曜日開幕となっているケースが多く」というよりも、「延期」の「1年以内」を適用すれば、(「1年以内」を最大限に伸ばせば)、「7月23日」になるというだけのことだ。
 それは、つまり、組織委では、今回のコロナウィルス問題が、どんなにがんばってみても「1年」はかかるとみていることだ。
 参加する選手の準備もあれば、そのほかのもろもろの準備もある。ほかの日にちを想定して、いくつものパターンを設定できない。だから「1年延期」の意味は、「来年7月23日開幕」が期限と言ってみただけのことである。
 こんなことは「組織委」に言われなくても、だれでも想像できることである。

 そうであるなら。
 なぜ、いま、このニュースなのかということを考えないといけない。
 この日のニュースは、

千葉の施設 58人感染/東京63人 全国新たに200人超

 であり、安倍が記者会見したということだ。安倍の記者会見には、何も新しいものはない。「経済対策は過去最大に」と言っているが、具体的には数字を示していない。リーマンショック時の数字を引き合いにだし、それを「上回る」と言っているだけだ。どれだけ上回るのか語っていない。
 会見のポイントとして、読売新聞は、

緊急事態宣言を出す状況にはないが、ぎりぎり持ちこたえる瀬戸際の状況

 と要約している。
 緊急事態宣言をしたくてたまらないのだろう。緊急事態宣言をしてしまえば、国会も記者会見も関係ない。経済対策がいくらか、休校問題をどうするか、マスクをどうするか、すべては安倍が思うがまま。批判は受け付けない。安倍がしたいことからやっていくだけ。その安倍がいちばんしたいことは、オリンピックで「ぼくちゃんが首相、いちばんえらいんだ」と世界にアピールすること。
 そういう視点から見ていくと、読売新聞が

五輪 来年7月開幕案

 と大々的に書いているのは、ある意味ではおもしろい。
 安倍が考えていることが、実によく分かる。五輪しか、考えていない。新型コロナで苦しむひとが何人出てくるか、何人死ぬか、いっさい気にしていない。気にしているのは、もし、感染者が増えたら、感染がおさまらなかったら、五輪が開けなくなるのではないか、そのことだけだ。
 少し考えてみればいい。組織委の森は「来週中には何らかの結論を出したい」と語ったようだが、その組織委の提案を審議し、判断するだけの材料をIOCが持っているわけがない。新型コロナウィルスは拡大しつづけている。ピークを過ぎて終息が予測できる段階にはなっていない。そんな提案を「来週中」にすれば、開催の根拠(新型コロナ感染が終息するという根拠)を求められ、何も答えられないという事態になるだけである。
 そうやって、日本は信頼を失っていくのだ。
 こんなどうでもいいスケジュールを決めるなら、

①感染者が何人になったら東京を都市閉鎖する(あるいは、ある自治体を閉鎖する)
②何人の場合は何週間
③都市閉鎖をしている間も感染者が増え続けるなら、何週間延期する
④閉鎖自治体が何都道府県になったら、全国を封鎖する

 というようなスケジュールだろう。
 そういうことを先に発表すると、「非常事態宣言」の先取りとして批判されることを心配しているのかもしれないが、「発令」の基準を知らされず、「いま発令したくなったから発令する」というのでは困るのだ。きっと「うちの会社ではまだ準備が整っていない」と安倍を支える企業が言えば発令を延ばし、準備が整えばすぐに発令するというのが安倍のやり方だからである。
 国民を考えない。自分の利益だけを考える。そういう人間が、「非常事態宣言」をだしたくてうずうずしている。そして、その「うずうず」を隠すために「五輪日程」などを全面に出している。日本はまだまだ危険な状態ではない。五輪について考えることができるくらい安全なのだとPRしている。











#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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