嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(51) | 詩はどこにあるか

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* (象は)

海の重圧の底から生まれる
象は千年の昔から言葉を忘れている

 たしかに海の底の重圧を生き延びるには巨大なからだが必要だろう。重圧に耐えるということが千年つづけば、ことばを忘れるだろう。堪えることだけで精一杯でことばを語ることを忘れるだろう。
 象の大きなからだのなかには、ことばにならなかったことばが詰まっている。語られなかったことばが象の肉体をつくっている。







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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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