桜を見る会「前夜祭団体割引」(その3)
読売新聞2019年11月16日朝刊(西部版・14版)に、安倍が「異例の記者会見(説明)」をしたことについての記事がある。
すでに書いてきたことと重複するが。
4面に箇条書きにされている「首相発言のポイント」のなかで、私は2点に注目した。(番号は私がつけた。)
①夕食会の参加費50000円は、大多数が当該ホテルの宿泊者といった事情を踏まえてホテル側が設定した
②国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然だ。
①で問題になるのは、「大多数が当該ホテルの宿泊者」ということばである。
つまり、そこには「ホテルニューオータニの宿泊者」ではないひとも何人か存在するのである。(前回、私は、「その2」で「飛び入りの客」がいたのではないか、と書いたが、実際に「飛び入り」がいるのだ。)
それを安倍は認めている。
「飛び入り」の参加者が、参加費「5000円」だとすると、その差額(割引額)は、ホテルニューオータニに宿泊したけれど「前夜祭」に参加しなかった人が負担したことになる。
こういうことは「前夜祭」に参加しなかった人の了解をとってのことなのか。
さらに「飛び入り参加者」が「前夜祭に出席しなかった宿泊者」の人数よりも多かったときは、どうなるのか。差額はホテルニューオータニが負担するのか。あるいは「料理」「飲み物」は宿泊者数分(あるいは、事前に参加しないと言っている人数を差し引いた分)しか用意していないとすると、予定数をオーバーした場合、当然のこととして「料理」「飲み物」(さらにサービス)の質は、実質的に低下することになる。「ホテルニューオータニのパーティーはひどかった」という評判が広がることになるかもしれない。そんな「危険」をホテルニューオータニがおかすだろうか。
だいたい「飛び入り」の数を安倍(事務所)は、どのように見込んでいたのか。
「前夜祭出席者」の「総数」がわからないことには「料理」「飲み物」「スタッフ」の数も設定できないだろう。安倍(事務所)ではなく、業者に「セッティング」を依頼したとしたら、なおのこと、「総数」がわからないときはホテルとの交渉ができないだろう。
疑問は、どんどん増えるだけである。
②については、共産党の田村が国会で質問したときから「国会が説明責任を求めている」。
記者会見ではなく、国会でさっさと説明すればいい。
そうしないのはなぜか。
箇条書き部分ではなく、4面の記事の末尾に、読売新聞は、こう書いている。
「今国会はすでに後半に入っており、12月9日の会期末まで残された日数は少ない。自民党の国対幹部は「予算委の日程を確保するのはむずかしい」と話している。」
言いなおすと、予算委を開くだけの日程がないので、国会での説明はしない、と安倍が、国対幹部に言わせており、それを読売新聞は明確につたえているのである。
さて。
では、なぜ安倍は「記者会見」を開いたのか。好意的に考えれば、国会(予算委員会)で質問に答える時間がないので、国民の疑惑を晴らすために、マスコミの記者を通して、国民に語る、ということになる。
しかしねえ。
記者会見と国会審議は完全に別物。
なんといっても、「記者」は一企業の「雇われ人」。上層部から「そんなことは書くな」「この記事の扱いは小さく」と言われたら、それに従ってしまう。
安倍が企業のトップに圧力をかけ、「あの記者を外せ」ということもできる。
国会議員は、そういう「圧力」と無縁なところで発言している。安倍は共産党の志位に「田村に発言させるな」とはいえない。「そんな質問をするな」とは、だれもいえない。さらに、発言はすべて「記録」されている。
で、問題は。
マスコミの記者が、どれだけ真剣に国民の疑問を代弁できるかである。
安倍が、国会ではなく、記者会見を優先してくれている、安倍にマスコミは信頼されている、と思い込んで「有頂天」になっていないか。
読者(視聴者)、つまり国民の疑問をかわりに問いただしているという意識をどこまで持ち続けることができるかである。
「記者会見よりも、国会(予算委員会)で説明するのが先なのではないか」と記者団は問いかけるべきである。