疑問、問いかけで始まる詩の途中に、次の二行がある。
ふと対岸から鐘の音がきこえてくる
いくつか鳴りつづいて遠くで鳴りやんだ
「対岸」が遠いということなのかもしれないが、私は「鐘の音」そのものが鳴りながら遠くまでいって、その「遠く」で鳴りやんだと受け止める。「遠く」へ消えていくのではなく、「遠く」の一点でぱたりと「やむ」。
「やむ」ことが聞こえる。
その絶対的な「無」の感じが美しい。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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