嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(2) | 詩はどこにあるか

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「台地」

*(ある台地)


ある台地
時の終りがすべて集まつていて
いま小草一本生えていない突兀たる高所


 「集まる」と「生えていない」の「ない」とは矛盾している。「集まる」ならば、そこには「ある」はずだが、何もない。「無」が集まってきていることになる。
 「時の終り」が「無」である。
 「終り」が「集まる」と何もない。
 しかし、ことばは「無」を語ることができる。「無」を「ある」ものとして語ることができる。
 それが「台地」「突兀たる高所」となって、そこに「ある」。





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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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