野獣派の雨、 | 詩はどこにあるか

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詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

そのページに書かれていた目は激しく降り始めた雨を見ていた。
並木のある通りは暗くなり、いつもは見える駅のビルも灰色にかすんでいる。
降ってくる雨粒同士がぶつかり空中に飛び散っている。
そう描写したあと、目は少し迷った。
アスファルトに溜まりはじめた水を車がはねあげる。
しぶきがケヤキの下の低い植え込みにかかる。
その瞬間、はね上げた水の白さのせいで植え込みが瞬間的に藍色に見える。
目の記憶は、しかし、そのことをページに残すことをやめた。
かわりにアイシャドウの青を少し薄くした。
指の腹をつかってゆっくりとひきのばした。
すると遠くの信号の黄色が窓にぶつかって崩れる大きな雨粒のところまでやってきて、
黄色い絵の具のようにべったりと流れた。
野獣派の絵のように。





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