私はトルストイを1冊も読んだことがない。で、トルストイ主義というのも実感がない。映画でみるかぎり、社会がリアルに描かれていないので、非常に抽象的にしか感じられない。絵空事の博愛主義にしか感じられない。トルストイはともかく、とりまきが主義を具体化しようとする根拠のようなものがさっぱりわからない。ほんとうは、働かずに、社会に役立っていると思いたいだけ?
ヘレン・ミレンの熱演だけが印象に残るなあ。その熱演も、まあ、悪く言えば周りがあまりにもぼんやりした演技をしているからだね。まわりの人から、肝心の「トルストイ主義」がまったく感じられない。だから、三大悪妻といわれるトルストイ夫人だって、全然悪妻には見えない。トルストイを愛しているのに分かってもらえない悲しみがつたわってくるだけ。
トルストイ主義者(信奉者?)の若い男女の恋愛がサブテーマとして描かれるけれど、これも変だね。トルストイの「博愛主義」のアンチテーゼ? で、トルストイ主義を破っていく力があるのかな? それともトルストイ主義に屈した? なんとも中途半端。童貞が、初めての女性を忘れられずに泣きついているだけのように感じられるが、それがトルストイの若い時の姿?
わからないことだらけだ。
まあ、ロシアの自然は美しい。白樺が特に美しい。透明な、冷たい空気があって、その木肌も葉っぱも輝くんだねえ。
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