詩はどこにあるか(84) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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高橋睦郎『語らざる者をして語らしめよ』(思潮社)

 「18」。

怒りの果てに 怒り澄んで
天の青と一つになった  (43ページ)

 「一つになった」が「詩」である。
 無の現場でおこなわれる生成は、自己が自己でなくなることにより、自己そのものになる。
 「悲しみ」と「怒り」と「青」。それは別個の存在ではなく、悲しみであり、怒りであり、青である。それは「一つ」になって世界(宇宙)に広がる。
 「青」を通って個別のそれぞれに帰り、個別のそれそれから再び「青」へ帰る。その運動は一瞬である。

 「一つ」に「なる」ために、あらゆる詩は書かれる。