斎藤茂吉『万葉秀歌』(1)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
探しても探しても見つからなかった本がふいに出てきた。斎藤茂吉『万葉秀歌』。万葉集を全部読むのはたいへんだが、この本なら、なんとか読み通せる。ただ、思いついたことを書いていく。私は和歌(短歌)を読み続けているわけではないし、もちろん研究家でもない。だから、私の書くことは、ほとんど「でたらめ」なのだが、そうであっても私が思っていることには違いない。
たまきはる宇智の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野 中皇命
万葉の歌を読んだとき、いちばん驚くのは、「音」の響きあいである。特に有声音の響きが非常に気持ちがいい。声が解放される、喉が解放される感じがする。簡単に言い直すと、声に出して読みたくなる。簡単に言い直すと、声に出して読みたくなる。
「馬並めて」は「うま・なめて」と読むようだが、「むま・なめて」と読みたい感じがする。前に「うち」という音があるから「うま」なんだろうけれど。昔(?)、「うま(馬)」を「むま」と表記したこともあるから、昔のひとは「う」と「む」の違いがあいまいだったのかもしれない。
「草深野」の「くさ」も「KSA」ではなく「KUSA」と、はっきり「う」の母音を響かせていただろうなあと思う。
「たまきはる宇智の大野」までの音は、いまの私は、何か所か母音をはっきり発音せずに読んでしまうが、昔のひとは、そう言うことはしなかっただろうなあ、とも思う。
秋の野のみ草苅り葺き宿れりし兎道の宮処の仮盧し思ほゆ 額田王
この歌でも「な行」の響き、「の」の繰り返しがなめらかだが、それぞれの音に隠れている母音「あ」「い」と「お」の対比がいいなあ、と思う。濁音を濁っていて嫌いだというひともいるが、私は「母音」が響くので、豊かで好きである。「やど」「うぢ」は単独で取り出してみると、たしかにきれいな音とは言えないかもしれないけれど、歌全体のなかでは音の流れを「ゆったり」させる効果があると思う。
こういう「強い音(力のこもった声)」というのは、現代の短歌にはないなあ、と思う。あるのかもしれないけれど、私は知らない。
(いつまでつづけられるかわからないが、書いてみる。)
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