日米共同文書、「台湾の安定」と「中国の人権懸念」一致へ
読売新聞の見出し。
「台湾の安定」とは、何を意味するのだろう。
私には安定しているとしか見えない。
私の友人のひとりは台湾と中国(上海)を行き来している。
安定しているからこそ、こういうことができる。
記事中に、こう書いてある。
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日米首脳間の共同文書に台湾問題が書き込まれるのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領との会談以来となる。バイデン政権は中国が台湾への軍事的圧力を強めていることを警戒しており、台湾海峡の平和と安定に向け、日米両国で結束する考えを国内外に示す狙いがある。
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1969年といえば、国連に台湾が「中国」として加盟していたとき。
71年に台湾にかわり、中国が「中国」として加盟した。
代表権が交代した。
その後、日本もアメリカも台湾とは断交し、中国と国交を結んだ。
その後、「台湾」は中国の一地域である。日本にとって「国」ではない。
なぜ、ここで台湾が問題になるのか。あるいは台湾を問題にするのか。
アメリカは、いわゆる「冷戦時代」に方向転換している。
「台湾」を「キューバ」のように位置づけようとしている。
ケネディ時代のキューバである。
ソ連(ロシアではない)は、アメリカの「庭」にあるキューバにミサイルを配備しようとした。キューバからなら、アメリカをすぐ攻撃できる。
いま、アメリカは、日本と台湾を、そのときのキューバのように利用しようとしている。
問題は、アメリカが台湾と協力して「台湾海峡」の安全を守る(台湾を守る)という関係を、アメリカと台湾との間で確認しているのではなく、台湾を抜きにして、アメリカと日本で確認していることである。
これは、簡単に言い直せば、アメリカの戦略に日本が片棒を担がされているということである。
「インド洋、東シナ海の安全を守る」という名目で、アメリカの軍備費の負担が増えるだけである。「台湾防衛」の分担も日本がになわされる。
日本と中国の関係が、いま以上にややこしくなる。
アメリカは、中国と日本に、不必要な緊張関係をもたらし、軍事費を投入させ、結果的に経済力を低下させる。中国、日本の経済力(日本の経済力は低下する一方だが)を抑圧しておいて、アメリカは自国の経済を活性化するために金をつぎ込むということだろう。
アメリカの「一石二鳥作戦」に菅は利用されているだけである。
「1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領との会談以来」などと、まるで「大手柄」であるかのような書き方は、現実を無視している。
国連での中国の代表権の交代、中国との国交樹立、台湾との国交断絶という歴史を踏まえて、バイデン-菅の会談を見ないととんでもないことが起きる。
だいたい、いま取り上げるべきは台湾問題というよりも、ミャンマー問題だろう。ミャンマー問題に、どう日米が協力するか。それが共同宣言にもりこまれないとしたら、それはあまりにも「現実離れ」しているとしか言いようがない。
このことだけからも、台湾問題を共同声明にもりこむ、それが「目玉」というとらえ方がおかしいことがわかるだろう。