2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

年をとるにつれて、光陰矢の如しの矢のスピードが増すように感じられます。

子供時代は夏休みも冬休みも長い時間だったのに……

ケンブリッジ大学に留学したとき、アン・バートン先生から「時間はたっぷりあるから(思う存分勉強して)」と言われて、「嘘だ、たっぷりなんかない」と思ってからか、時間に追われる感覚が拭えません……

というわけで、新年の講演会でも we rot and rotなんてジェイクィーズの台詞を引用してしまいました。お聴きくださった皆様、ありがとうございました。

 

2020年はお芝居を観る数も半減し、全部で106本でした。

今年はまだ2本。まず、万作の会で、万作先生の「空腕」や萬斎さんの「音曲聟」などを拝見し、90歳の万作先生の空腕達(そらうでだて)の名人芸に心底、感銘を受けました。90歳であの極地! 60歳の私はまだまだ小僧でしかないとわが身を戒めました。

 

そして本日はホリプロ『SLUETH スルース~探偵』@新国立劇場小劇場を拝見しました。吉田鋼太郎さんと柿澤勇人さんの名コンビによる名舞台。鋼太郎さんの演出が冴えています。

カッキーは、蜷川組で鍛えられた経験もある演技派で、ミュージカルスターでもあり、ミュージカル『デスノート』では鋼太郎さんと共演もしていますから、この舞台でも二人の歌唱を披露する場面がわざとあります。

この作品は日本でも何度も上演され、2016年版は私も観ているのですが、今回まったく別の作品を観た感じがしました。たぶんそれは、これまではトリックのおもしろさを見せる芝居だったのが、今回は、鋼太郎さんの演出により「男は何のために生きるのか」というところまで落とし込んであったためだと思います。絶対のし上がり、勝利を手にしてやるという気概の鋼太郎=ワイクを、気骨のカッキー=ティンドルが命を賭けてつぶして笑うというデスマッチになっていて、作品の枠を借りて、鋼太郎とカッキーの本当の試合になっているのが凄まじい。

演出も見事で、スタントマンを入れてるのだが、この使い方がうまい。私はカッキーが階段落ちをやったのだと思って「あ!」と思ってしまったけれど、休憩のときに、「あ、あのとき入れ替わったんだ」と理解しました。私も『まちがいの喜劇』の演出で似たようなダミーの入れ替えをやったので、鋼太郎さんの演出がじょうずなのがよくわかります。カッキーの後半の二役の演技も、すばらしかった。この芝居、お客をちゃんと騙すところで面白味があるのだけれど、この公演はそこはもちろんたっぷり騙してくれたうえで、「男の精神論(ダンディズム)」のところまで落とし込んでいるのがすごい。さすが鋼太郎さんです!1月24日まで上演しています。お薦めです。

 

2月27日朝日カルチャーセンターオンライン講座『リチャード三世は暴君か』申し込み受付中です。こちら