「女流棋士」が題材のコミックと思い出の女流棋士 | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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「将棋大好き雁木師の将棋本探究」をリニューアルしたブログです。
主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんばんは。雁木師でございます。今日はコミックのご紹介をさせていただきます。今回は、「女流棋士」がテーマのコミックのご紹介です。

 


永世乙女の戦い方」(1)

でございます。

原作はくずしろさん、監修は香川愛生(かがわ・まなお)女流三段です。ビッグコミックスペリオールより、2019年10号(今年4月発売)より連載開始。単行本第1巻となる本書は、9月末に発売されました。ここで、著者のくずしろさんのプロフィールをご紹介します。

くずしろさんは岩手県出身。20歳の時に「葛城一」名義で「B.B.C.」にて第61回小学館新人コミック大賞少年部門佳作を受賞。主な作品は「くずしろ」名義では、「姫のためなら死ねる(まんがライフWIN/竹書房)」、「兄の嫁と暮らしています。(ヤングガンガン/スクウェア・エニックス)」、「あくまのまま(ガンガンONLINE/スクウェア・エニックス)」、「笑顔のたえない職場です。(コミックDAYS/講談社)」など。「葛城一」名義では「LASBOSS×HERO(少年サンデーS/小学館)」があります。

なお香川女流三段については、昨年このブログで書籍をご紹介させていただいた際に紹介しましたので、そのときの記事リンクを掲載いたします。書籍の内容についてもこのリンクからご確認いただけます。

2018/11/28投稿:女流AbemaTVトーナメント放送前に…

付記事項として、香川女流三段は今年4月にYoutuberデビューをされました。詰将棋や、他の女流棋士への質問、ゲーム実況などの動画を投稿しています。興味のある方はぜひチェックしてください。

Youtube:女流棋士・香川愛生チャンネル

また、叡王戦のコマーシャルで知っているという方もいらっしゃるかと思いますが、香川女流三段は来年配信予定の携帯ゲーム「三国志ヒーローズ」にて貂蝉(ちょうせん)役で声優も務められています。

 

本書の内容に入る前に、そもそも「女流棋士」とは?というところからお話します。このブログで何度か「将棋指す獣(ケダモノ)」というコミックをご紹介させていただきましたが、そこでたびたび「女性棋士」についてお話させていただきました(参照→11/22投稿:「将棋指す獣」の第3巻と「女性棋士」誕生の可能性)。「女性棋士」と「女流棋士」は一見同じように見えますが、全く違います

女性棋士」とは、女性で三段リーグを突破して四段になった棋士、または女性でプロ棋士編入試験で合格して四段になった棋士のことを指します。将棋界では四段になった時点で「プロ棋士」と呼ばれますので、正真正銘の将棋のプロです。女性のプロ棋士は昔も今も「存在しない」のが将棋界のこれまでの歴史です。

それゆえ、現在三段リーグを戦われている西山朋佳女流三冠(女王・女流王座・女流王将)やプロ棋士編入試験の資格を得る可能性が高い里見香奈女流四冠(清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花)に注目や期待が高まっています。このお二人は史上初の「女性棋士」の誕生を実現させるかもしれないからとも言われています。

一方、「女流棋士」とはと言いますと…、女流棋士の誕生は1974年、6人の女性に日本将棋連盟より免状が授与されたのが始まりです。実は女流棋士の誕生に関する規定は時代とともに変化しているというのが実情です。現在の女流棋士の誕生に関する規定は昨年4月に変更されたばかりで、将来的に再び変更される余地を残しています。では、現在はどうすれば女流棋士になれるのか見ていきたいと思います。

その前に、女流棋士の所属する組織は現在2つに分かれています。一つは日本将棋連盟に所属する女流棋士、もう一つはLPSA(日本女子プロ将棋協会)に所属する女流棋士です。現役女流棋士のほとんどは日本将棋連盟に所属していますが、LPSA所属の現役女流棋士も日本将棋連盟主催の女流棋戦に参加しています。また、どちらにも所属していないフリーの女流棋士も存在しており、その方も連盟主催の女流棋戦に参加しています。どうすれば女流棋士になれるのかについては、日本将棋連盟かLPSAのどちらに所属するかによって条件がやや異なります。

まずは日本将棋連盟所属の場合から。日本将棋連盟に所属して女流棋士になりたい場合、現在3つのコースがあります。

奨励会コース…「奨励会を2級以上になり、奨励会を退会すると女流棋士2級になることができる。なお、1級以上で退会した場合は、奨励会の段級位と同じ段級位が適用される。」

このコースで女流棋士になられた例として、今年4月に女流棋士になられた加藤桃子女流三段を見ていきます。加藤桃子女流三段(将棋界では最近女流棋士で加藤姓の女流棋士が増えたのでフルネームで呼ばせていただきます)は奨励会に在籍されており、奨励会での段位は初段でした。もし前述の規定を文面通りに適用すれば、加藤桃子女流三段は女流初段からのスタートとなります。しかし、加藤桃子女流三段は奨励会時代から女流タイトル戦に出場し、女流タイトルを通算8期獲得(女王4期・女流王座4期)された実績を考慮されて、女流三段として女流棋士デビューをされることになりました。

日本将棋連盟:加藤桃子奨励会初段が4月より女流三段に

他に前述の規定で奨励会から女流棋士に編入された女流棋士に、岩根忍女流三段、伊藤沙恵女流三段がいらっしゃいます。

 

研修会コース…「研修会」とは「将棋を通じて健全な少年少女の育成を目指すための機関、また、女流棋士養成機関」として開かれているもので、現在は関東、関西、東海、九州の4ヶ所に設けてあります。女流プロになるには、女流2級の資格を取得することが条件です。資格を得るにはまず、年齢制限の満27歳未満であること。研修会でB2クラスに昇級すること、または研修会入会試験でB2クラス以上へ入会すること。そして、入会後48局以上の対局数を満たすことが条件です。

このコースで女流棋士になられた例として、今年10月に東海研修会から女流棋士デビューを果たした山口仁子梨(やまぐち・にこり)女流2級を見ていきます。

日本将棋連盟:山口仁子梨さんが10月から女流棋士2級に

山口仁子梨女流2級(将棋界は山口姓の女流棋士も多いのでフルネームで呼ばせていただきます)は2002年生まれの17歳、現役女子高生でもあります。東海研修会ではC1クラスで12勝4敗の成績を収め、規定によりB2クラスに昇級。研修会入会からおよそ3年半で女流棋士デビューを果たすことになりました。ここまでだと、一見簡単に資格が取れそうに思えますがそう簡単にはいきません。

そもそも、研修会に入るにも年齢制限などの条件があります。そういった条件をクリアして、入会試験で棋力に応じてクラスが振り分けられます。そして、例会と呼ばれる日に必ず参加して規定の成績を収めないと昇級できません。しかも、負け続けると降級することもあります。女流棋士を目指すなら、27歳の誕生日を迎えるまでに、B2クラスに昇級しなくてはいけないという現実があります。なので、入会するなら早い段階からプロを目指す意思を固めなくてはいけないということになります。

 

③女流棋戦コース…アマチュア出場枠のある女流公式棋戦で、規定の成績を収めると女流2級の資格を得ることができるという制度です。年齢制限は満27歳未満であること。アマチュアが出場できる女流公式棋戦は、女流タイトル戦ではマイナビ女子オープン、女流王座戦、女流王将戦、倉敷藤花戦の4つと一般棋戦の女流YAMADAチャレンジ杯の合計5つ。この制度が誕生してからこのルートで女流棋士になった方は、実は「日本将棋連盟所属の女流棋士」にはいません。後程話しますが、LPSAにこのルートで女流棋士になられた方がいます。また、規定の成績を収めて女流2級の資格を得たものの、女流棋士に転向しなかった女流アマ強豪の方もいます。

参考記事:将棋情報局

 

以上が日本将棋連盟規定の女流棋士誕生の3つのコースです。いずれにせよ言えることは、将棋の女流棋士を目指すなら、年齢の早い段階で目標を定め、研鑽を積む必要があるということです。これは、奨励会に入会するうえでも同様のことが言えます。なお、女流棋士の規定の変遷については、本書の監修をされている香川女流三段の著書「職業、女流棋士」(詳細は前述のリンク「2018/11/28投稿:女流AbemaTVトーナメント放送前に…」でご確認ください)に書かれていますのでそちらをお買い求めいただけると幸いです。また、女流棋士の規定の詳細については昨年4月に発表された規定変更の内容のリンクを掲載いたしますので、そちらからご確認ください。

日本将棋連盟:女流棋士規定変更のお知らせ

 

では次に、LPSAに所属する場合の女流棋士誕生ルートを見ていきます。LPSAのホームページによれば、現在LPSA所属の女流棋士になるルートは2つあります。ちなみに、LPSA所属の女流棋士になる場合の規定も昨年4月に改訂されました。

LPSA|日本女子プロ将棋協会

A:アマチュア女性選手が、女流公式棋戦で規定の成績を収めること…このルートは日本将棋連盟の女流棋士誕生コースの③の女流棋戦コースとほぼ同じ条件です。ただ、日本将棋連盟のルートとは大きく違う点があります。

1つ目は「年齢制限」。日本将棋連盟の場合は満27歳未満となっていますが、LPSAの場合は「申請日に於ける満年齢が40歳未満」であることが条件となっています。

2つ目は「師匠の有無」。日本将棋連盟の場合、女流棋士を目指すなら申請の際に必ず師匠が必要となります。ここでの師匠は、四段以上のプロ棋士のことを意味します。一方、LPSAの場合は「師匠は不問とする」と師匠が不在でも女流棋士になることを認めています。

このルートでLPSA所属の女流棋士になられた唯一の例として、磯谷真帆(いそたに・まほ)女流初段を見ていきます。磯谷女流初段は昨年11月にLPSA所属の女流棋士として女流プロデビュー。女流プロへの道を切り開いたのは、第12期マイナビ女子オープンでのご活躍でした。このとき、アマチュア枠でこの棋戦に参加した磯谷女流初段は、チャレンジマッチ、予選を見事勝ち抜いて本戦トーナメントに進出。本戦でも1回戦に勝ったことで、LPSAが定める女流棋士の誕生の規定「マイナビ女子オープン本戦ベスト8以上進出」になり、女流2級の資格を得て、LPSA所属の女流棋士となりました。

磯谷女流初段はこの棋戦で2回戦にも勝利し、アマチュアから一気に女流初段に駆け上がりました。このときの活躍は「金星」と表現されることもあったようです。

 

B:日本将棋連盟の研修会にて規定の成績を収めること…これは、日本将棋連盟の女流棋士誕生コースの②の研修会コースとほぼ同じ条件です。研修会でB2クラスに昇級すれば、LPSA所属の女流棋士になる資格を得ることができます。日本将棋連盟の規定と違うのは、ここでも「師匠の有無」についてです。LPSAの場合、師匠について「入会時、または資格取得時も不問とする」とあります。現在、このルートでLPSA所属の女流棋士になった方はいません。

 

以上がLPSA所属で女流棋士になる場合の2つのコースです。ただし、日本将棋連盟の規定同様、将来的な変更の余地を残しています。実はLPSAにおいても、現在の規定に至るまでには様々な紆余曲折がありました。その背景には、LPSAが誕生した経緯とその後の日本将棋連盟と対立していた歴史があります。これを話すとかなり複雑で長くなること、現在はLPSAと日本将棋連盟は関係が改善されたようなのでここで過去の話を蒸し返すのはどうかということ等を考慮して、割愛させていただきます。興味のある方は、先月発売されたNHK将棋講座の12月号の「平成の勝負師たち」という連載コーナーをチェックしてください。

LPSAの創設に関わり初代代表理事を務められた現在唯一のフリーの女流棋士、中井広恵女流六段の特集です。そこでは、一部ではありますがLPSAに関する話も書いてあります。

 

さて、話が「女流棋士とは?」から「女流棋士になるには?」の方向に進んで大分長くなったので、本題である「永世乙女の戦い方」のコミックに話を戻します。このコミックは、ある一人の女流棋士が将棋界の高みを目指す物語です。主人公は、早乙女香(さおとめ・こう)。現役の高校2年生ながら女流初段として、対局と普及に活動中です。将棋一筋で他のことには無関心という、普段から一風変わった女子として学校内では見られています。

さて、物語の始まりはとある出版社から。そこで編集者兼記者として働く支倉(はせくら)は、先輩に勧められたことがきっかけでとある将棋の女流棋戦を観戦することになります。そこで見た香の対局姿に衝撃を受けることになり、物語は香と将棋について迫っていくことで進んでいきます。第1巻となる本書では、香の日常、過去、家族、そして、作中での女流棋界の状況、最後にはひょんなことから現役の女性奨励会員須賀田空(すがた・うつろ)との駒落ち対局へと進みます。

作中では自分の飛車角のみで、相手の玉を詰ませるゲーム「鬼ごっこ」が登場します。また、本書は本そのものにも特徴が。本書の表紙を外すと…、なんと詰将棋が登場します。裏表紙には解答もありますので、ぜひ始めは答えを見ないで挑戦することをお勧めします。

 

実際に読んでみた感想はというと…、読み始めは将棋の対局や香の過去に関する描写はとても重くてシリアスな一方、キャラクター全体の描写が軽いといいますか、特徴はあるものの個性がそんなに強くないのかなという印象でした。しかし、本書の終盤で登場した空の存在が物語を引き締めるという感覚で面白いなという感じです。

印象的なシーンは、香が空の発言に噛みついたことがきっかけで駒落ち将棋に発展するというところです。空が女流棋士を見下す言動が描かれていますが、これはある意味で女流棋士の存在価値を問うているのかとも思います。

本書の内容に入る前に「女流棋士とは?」について誕生規定を中心に長々と話してきましたが、単に「女性の将棋指し」という表現だけでは片付けることができない状況が現在なのかなとも私は考えています。女流棋士のお仕事は対局だけでなく、現地大盤解説会やメディアなどでの聞き手(たまに解説もされる方もいます)、大盤解説会や教室などでの指導対局、最近でいえば、インターネットメディア企画に出演(例えば、ニコニコ生放送なら「詰将棋カラオケ」等)も将棋普及の一環です。将棋の世界と男女を問わず一般人を結ぶ架け橋的な存在とも言えるでしょうか。

今でこそ女流棋士の実力が向上してプロ棋士に勝つことも珍しくなくなりましたが、女流棋士が公式棋戦でプロ棋士に初めて勝利したのは平成5年のこと。前述の中井女流六段が女流棋界の新時代の扉を開けた瞬間でした。中井女流六段は、後にNHK杯本戦でも男性棋士に勝利するなど、女流棋界の分岐点において欠かせない大活躍をされることになります。

一方で、「プロ棋士が女流棋士に負けるのは恥ずかしい」という風潮は今もあるのかな?とも思います。この文章にあえて疑問文をつけたのは、今は女流棋士が男性棋戦でも活躍していること、最近は奨励会で戦う女性の方に注目が集まったこと、そして、私自身の女流棋士に対する偏見への戒めの意味を込めていることもあります。あれは私が大学生の頃、サークルの先輩が里見女流四冠のNHK杯本戦初対局を見た時にこんなことを言いました。

「とてもじゃないが、見ていてつらかった。

確か、相手は小林裕士七段でした。後に読んだ観戦記では里見女流四冠が早い段階で飛車を捕獲されたこともあり、「完敗」と評された将棋だったと思います。この時の先輩の発言に対して私はこう答えました。

「男性棋士だって必死ですし。女流棋士に勝ってほしい気持ちは分かりますが、男性棋士にも意地を見せていただかなくては…。」

今思えば、当時の私も「プロ棋士が女流棋士に負けるのは恥ずかしい」と考えていたのかもしれません。でも、よくよく考えればそれは女流棋士の実力を評価していないのと同様の発言をしていたのかなと思います。実は私は御徒町の将棋センターで、当時小学生くらいの女の子に負けたことがありました。その時はとても恥ずかしい思いを感じていましたが、それは慢心や驕りだったのかなと思います。

さて、話を本書に戻します。空の発言からは「奨励会員」として、プロ棋士を目指している者のプライドが感じられます。本作の中の最強女流棋士で香が「追いつきたい」とされている天野香織(あまの・かおり)に対しても「弱い」と発言していることから、地獄を見ている思いの自分が女流棋士ごときに負けるはずがないという自負を感じられます。ただ、当然香も目標とされている人物の存在を酷評されているわけですから黙っているわけにもいかなくて結局駒落ち対局へという流れです。この香と空の対決の構図はお互いの価値、プライドを懸けた戦いになるのかなと思います。おそらく、次巻ではこの二人の対局が軸になるのかなと思います。楽しみに次巻の発売を待ちたいと思います。

 

さてここからは、「思い出の女流棋士」について話そうと思います。以前の記事にて、こんな質問のコメントをいただきました。

「好きな女流棋士はいますか?」

私は将棋世界のイラストコーナーにて女流棋士の先生のイラストを掲載させていただいたことが何度かありますが、この質問については「特にいません」と答えたうえで以下の内容で回答しています。

「香川女流三段は実際にお見かけしたことがあり、その時にいただいた名入れ色紙は大切に保管しています。」

地方在住の私がどうして香川女流三段から名入れ色紙をいただいたのかについては、私が昨年とある大会に参加して、ゲストで香川女流三段がいらっしゃったことからでした。詳しくは、その時のことを書いた記事のリンクを掲載いたしますのでそちらからご確認ください。

2018/12/24投稿:6年ぶりに参加したとある大会と今週の将棋倶楽部24の結果

一時はその大会で色紙と一緒に購入した香川女流三段の扇子(名入れなし)を、大会や「遠征」の際に持って行ったこともありました。ただ、実際の対局で使うことはあまりありませんでしたが…。

私が実際にお見かけした女流棋士の先生はもう一人いらっしゃいます。それは本田小百合女流三段。本田女流三段はインターネットTVの将棋中継の聞き手でおなじみという方もいらっしゃるかもしれませんが、とても安定した聞き手として評価が高いとされています。

もともと実際にお見かけする前から本田女流三段の聞き手の回にメールを読まれることが多かったこともあり、トークも面白そうだなとは思っていました。実際にお目にかかったのは今年の2月、棋王戦第2局が富山で開催された際に、大盤解説会の聞き手として本田女流三段がいらっしゃいました。

2/12投稿:棋王戦の大盤解説会

凄いなと思ったのは変化手順を大盤で再現操作できるのはもちろんですが、一番は解説の先生の話を引き出す上手さと話題の幅広さでした。この時の解説は地元富山県出身の村田顕弘六段でしたが、地元トークを上手く引き出されていて「蜃気楼」という言葉を引き出させ、時には富山弁をも引き出すという上手さ。ついでに言えば、本田女流三段も某有名棋士のモノマネで場を盛り上げる一幕もあり、とても楽しかったです。ちなみに、大盤解説に先立ち指導対局も行われましたが、立会人の塚田泰明九段、地元出身の村田六段よりも本田女流三段の人気は高かったです。老若男女を問わず指導対局をされていたことを思い出しました。

以上が、私の「思い出の女流棋士」です。読者の皆様は、女流棋士に関する思い出はあるでしょうか。例えば、「この女流棋士の先生の指導対局を受けた」、「大盤解説会でこの女流棋士の先生を見た」、「テレビで見たあの女流棋士の先生の姿が忘れられない」などなど、女流棋士の先生にまつわる思い出がある方は、ぜひコメントをお寄せいただけると嬉しいです。ただし、ご注意いただきたいのが公序良俗に反する内容、女流棋士の先生に対する誹謗中傷的な内容のコメントは原則NGとさせていただきます。あくまでも「良い意味での思い出」を募集しておりますので、どうかコメントを投稿される際には、前述の内容にご注意いただければと思います。

 

さて、再びコミックの内容に戻ります。本書は「女流棋士」を題材にしたコミックです。観る将の方にもおすすめですが、女流棋士を目指している方、また、その親御さんにはぜひ読んでいただきたいかなと思います。本書は「女流棋士」を知る一冊としても有力なのですが、今回紹介した空の発言からは女流棋士の立ち位置を考える一冊とも言えます。女流棋士というのはどんな仕事か、そこに触れてみるのもよいかもしれません。

 

この本を読んで、将棋に興味を持った、将棋が好きになったというお声をいただければ、これほど嬉しいことはありません。読者の皆様が将棋本を読んで将棋が好きになること、また、女性を含めた将棋人口の増加を祈念いたします。なお、今年の書籍紹介はこれにて終了とさせていただきます。次回の書籍紹介は、来年1/10(金)を予定しています。今年も様々な書籍を紹介していきましたが相変わらずの長文が多い中、お読みいただいた皆様、本当にありがとうございました。また来年も、読者の皆様のためになるような書籍を紹介できればと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。

なお、当ブログの更新は年内はあと2、3回は行おうかと検討しています。年内最後の記事は、将棋世界のイラストコーナー「あつまれ!描く将」的に今年1年を振り返るという内容でいきたいと思います。

 

今日はここまでとさせていただきます。本日もかなりの長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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