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実名小説『DAZZLING』 第77話『高鳴り』

『…佐々木さん…幸村です…』
『…おう…どうした?』
マコトは幸村からの電話をとると何気ない口調で答えた。
『…ちょっと…今からショックオンへ来ていただけんませんか?』
幸村の何かひっかかる態度にマコトは不思議そうな顔をした。
『…どうした…まだ3時だぞ…営業前に何か相談か?』
『…ええ…まあ…』
幸村のいつもと違う態度にマコトは戸惑いながらも、ショックオンへと車を走らせた。
『…どうした…ユッキー…』
マコトが店内に入ると店の中程で割れ物を掃除している幸村が顔を上げた。
『…あっ…佐々木さん…すいません…
もう暮が近いんで少しカウンターの上でも片付けようと思ったんですが…
手を滑らしまして…』
『…お前これ…お客さんからの預かり物じゃねぇか…
インデイアンの胸像だろう…』
『…はい…そうなんです…大変な事しちゃいました…
謝ろうにも…このお客さんもう1年以上もいらしてないし…』
『…でも…こうなった以上…元には戻せないし…
いらっしゃった時に誠心誠意お詫びするしかないだろう…』
『…はい…それはそうなんですが…』
幸村の態度にマコトは怪訝そうな顔をした。
『…ユッキー…何か他にあるのか…』
『…はい…割れた胸像の中に…中にこれが…』
幸村は一通の手紙をマコトに差し出した。

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マコトはそれを受け取ると宛名を見、そして差出人を見た。
『…Dear, Luck …Kenneth
…これが…これが胸像の中に入っていたのか…』
マコトの言葉に幸村は頷くと頭を下げた。
『…これって…これって佐々木さんの過去に関係あるんですよね…
ラックって書いてあるし…
だとしたらこんな大事なもの1年以上も気づかなくて…
気づかなくて本当に申し訳ありませんでした…』
『…いや…お前のせいじゃない…』
そう言いながらマコトはその封筒をきれいに開け、中にある手紙を開いた。
マコトは心の中の不安が胸の高鳴りとなり、静寂の店内に鳴り響いている錯覚を感じていた…。

実名小説『DAZZLING』 第76話『オバマ』

『…本当によかったのか?』
マコトの言葉にマリは微笑むと笑顔で答えた。
『…いいも悪いも元々私は美容系の人間よ…
スウィーツちまちま作ってるような仕事に未練はないわ…』
『…だからって…せっかく軌道にのってきたローザ・フーズ…
うちの傘下に入れるって…
俺達にとっては願ったり叶ったりだけど…
お前にとってはあまりいい選択とはいえないと思うけど…』
マコトの言葉にマリはキッパリと答えた。
『…男のくせに…いつまでもグズグズいう人ねぇ…
そこそこの値段で買ってもらったし…
私はこのお金を持ってワイハーでデルモのメンズとズッコンバッコンしまくるわ…』
マリの言葉にマコトは思わず吹き出した。
『…お前は…社長か!…
でもそれもお前らしいと言えばお前らしいけどな…』
『…あら…国ちゃんと同じなら光栄だわ…
だって元々ローザフーズ立上げの時、出資してくれたの国ちゃんだもん…
まあもうだいぶ前に全額返済したけどね…』
その言葉にマコトは愕然とした。
『…ほ…本当なのか!…それって…』
『…本当よ…
国ちゃん、【星一徹作戦】って呼んでたわ…
あなたが星飛雄馬だとすると私はオバマだ…って何の事だかよくわかんないけど…
出資してくれるのに断る理由もないし…快くお受けしたわ…』
マコトはガックリと肩を落としたが、すぐに思い直して顔を上げた。
『…あの人らしいといえばあの人らしいか…
まあ…結果…
俺とお前のライバル心がお互いの会社の発展を後押ししたことは事実だしな…
【星一徹作戦】大成功ってことなのか…』
『…そうそう…だから今回の吸収合併は必然なのよ…
きっと国ちゃんもワイハーで喜んでると思うわ…』
マリの言葉にマコトは頷いた。
『…で…お前これからどうするんだ…』
『…だから言ってるじゃない…
ワイハーでズッコンバッコンする為に向こうにエステのお店つくる事にしたの…
やっぱりアメリカよぉ…だって私オバマだし…』
『オバマ?…お前間違ってるぞ…
たぶん社長が言ってたのはオズマだ…』

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『あなたって本当にちまちまとうるさい人ねぇ…
オバマだろうがオズマだろうがマグマだろうが、どうでもいいのよ…
じゃあ私行くわ…』
マコトはその言葉に真剣な眼差しでマリを見つめた。
『…ああ…本当に…本当に…いろいろとありがとう…お前のおかげで…』
何か言いたげなマコトの言葉をマリは遮るように言葉を返した。
『…そうだ…ニーナの事何かわかったら必ず連絡して…
あの事件からもうかれこれ1年よ…
チャイニーズ・マフィア壊滅作戦も終わったみたいだし…
もうそろそろ安全なんじゃないの…』
『…そうだな…何か分かったら連絡するよ…』
マコトの言葉にマリは頷くとオフィスを後にした。
最後に見せたマリの笑顔が長かった二人の確執を一瞬のうちに溶かしていた…。

実名小説『DAZZLING』 第75話『優心』

『…そ…それは本当なんですか!?』
ケビンの言葉にマコトは思わずもう一度聞き返した。
『…ああ…
詳しいことはわからないがオリビアに例のマイクロフィルムを渡したのは…
ニーナ…ニーナらしい…』
『…ニーナ…ニーナが…』

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『…ラック…お前の言う通りニーナは…ニーナは生きているんだ…』
『…ただ…ただそうだとしても…
彼女も…彼女もまたオリビアと同様…
危険にさらされている…そういう事ですよね…』
マコトの言葉にケビンは努めて冷静に答えた。
『…なぁラック…今の俺達に出来る事は何もない…
ただ二人の無事を祈ることだけだ…
お前今まで何年もニーナを信じて待ち続けてきたんだろ…
その気持ちがニーナに届かないはずがない…
だから…だから彼女は生きていたんだ…
ゴールデンゲートは絶望なんかじゃない…
希望の光なんだ…
だから…だからもう少し待っててやろう…』
『…ケビンさん…』
マコトはケビンの言葉に心に沁みわたるような温かさを感じ、目を閉じた。
『…ラック…乗り越えられない苦難なんか存在しない…
心の持ち方ひとつで…全てがバラ色に変わるんだ…
たとえ今が苦しくても…
信じていれば…信じていれば必ず想いは届く…
人間は弱い生物だ…言い訳をすることで自分の正当性を保とうとする…
でもそんな事して何になる…間違いは誰にでもある…
だったらそれを正せばいい…
お前とニーナのほつれた糸はもう一度結びなおせばいいんだ…
必ずその日はやってくる…
だから…だから今は…信じて待っていてやろう…』
『…はい…ケビンさん…本当に…本当にありがとうございます…』
マコトはケビンに礼を言うと電話を切った。
『…マコっちゃん…大丈夫か?…』
大塚は心配そうにマコトを覗きこんだ。
マコトが顔を上げると、その場にいた全ての人がマコトを心配そうに見つめていた。
その顔を見渡した後マコトは必死に笑顔をつくった。
『…ああ…大丈夫だ…俺にはこんなにも優しい仲間達がいる…
さあ飲みなおすぞ!パンチくん!俺のおごりで一升瓶入れてくれ!』
長い夜が今まさに始まろうとしていた…。

実名小説『DAZZLING』 第74話『危険』

『…ケビンさん…ラックです…
今…今新聞の記事読みました…』
マコトは記事を読み終えると急いでケビンへと電話を入れた。

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『…そうか…』
『…この事件…
この事件にオリビアが絡んでるって…どういうことですか…』
『…ああ…やつらが捜していたマイクロフィルム…
それこそが今回の中国マフィアの大量逮捕につながる重要な証拠だったようだ…
そしてそのマイクロフィルムを手に入れ警察に告発したのは…
ほかでもない…オリビアの兄貴だ…』
『…オリビアのお兄さんって…塀の中じゃなかったんですか…』
『…ああ…半年前に出所していたらしい…
そしてその兄貴にマイクロフィルムを渡したのは…オリビアだ…』
ケビンの言葉にマコトは言葉を荒げた。
『…そんな事して…オリビアは…
オリビアは無事なんですか!』
『…ああ…今のところはな…
今回の事件は氷山の一角だ…
警察はこれを突破口に何十年も続いたスペイン国内での中国マフィアの暗躍を根本から絶とうと考えているようだ…
それまでは…
それまではオリビアの身に危険が及ぶことは避けられないだろう…』
ケビンの言葉にマコトは天を仰いだ。
『…くそっ!なんて事だ!…それで…
オリビアはオリビアは今どこにいるんですか…』
『…地元の警察に保護されている…』
『…連絡は…連絡はとれるんですか?…』
『…いや…今は向こうからの連絡を待つしかない…
お前の事は伝えておいた…オリビア…泣いてたぞ…
ほとぼりが冷めたら必ずお前に会いに行く…
そう言っていた…
心配かけてすまない…と…』
ケビンのその言葉にマコトは涙が止まらなかった。
『…ケビンさん…ありがとうございます…
何かわかったらまた連絡をください…』
『…ああ…もちろんだ…それから…』
その後、ケビンが発した言葉にマコトは愕然とした…。

実名小説『DAZZLING』 第73話『記事』

『…ラック…今日の…今日の夕刊を見たか?…』
ケビンの声にマコトは首を振った。
『…いいえ…すいません…
今日は早い時間から外に出ていたもんですから…
『…そうか…じゃあすぐどっかで買ってくれ…
朝日の夕刊だ…
チャイニーズマフィアがスペインで大量に逮捕された…
今回の一連の出来事の元凶だと思う…
オリビアが絡んでいる…』
ケビンの言葉にマコトは唖然とした。
『…わかりました…また連絡します…』
マコトは電話を切るとパンチに叫んだ。
『…夕刊…朝日の夕刊あるか!』
『…いや…ここじゃぁもともと新聞なんてとってないけど…どうした?』
マコトの慌てた様子にカウンターではんぺんを口にいれていた常連の杉村が話しかけた。
『…マコっちゃん…何の記事だ?…
俺のタブレット使えよ…
朝日の夕刊…朝日の夕刊…っと…』

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杉村はタブレットで朝日新聞の夕刊のページを開くとマコトに渡した。
『…ありがとう…杉ちゃん…』
マコトはそれを受け取ると、丁寧に1ぺーじづつめくっていった。
『…あ…あった…これだ…』
そこにはこう書かれていた…。
【中国浙江省出身でスペインの中国人社会を代表する企業家がこのほど、首都マドリードの警察に「マフィアのリーダー」として、密輸や13億ユーロ(約1350億円)に上るマネーロンダリング(資金洗浄)容疑などで逮捕され、現地の中国人社会に衝撃が広がっている。
14日付の中国紙・21世紀経済報道によると、捕まったのは1953年生まれの広剛容疑者。警察は9日早朝から3日連続で 広容疑者が経営する貿易会社などを強制捜査し、これまでに中国人72人や現地の市議会議員ら計95人を逮捕した。警察は、広容疑者らが中国から日用雑貨を密輸し、売り上げを中国に列車や船で送金していたほか、違法賭博や麻薬の密売などにも関わったとみている。】