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実名小説『DAZZLING』 ~あとがきにかえて~

DAZZLING…幻惑されて…ここ数カ月の執筆のなかで僕の中で漠然としていたこの言葉がリアルとして心に鳴り響くようになりました。
今回の小説はある意味僕の中の今後へ向けての確認作業だったのかもしれません。
主人公マコトは過去の自分から逃れようともがき苦しみます…
そしてもがけばもがくほどに過去の自分と向き合わなければならない運命に翻弄されていきます
そんな中マコトは色々な経験を通し自分を成長させていくのです。
そして最後には人を愛する…人を守るとは…
それは人の痛みをわかってあげる事なんだということに気付くのです。
それは言い換えれば多くの人々との繋がりの中…
人はいつでも自分磨きの旅をしているという事でしょう。
今回の執筆にあたり…あくまでもフィクションではありますが…
実名を出させていただいた方々…
時には不適切な表現があった事、この場をお借りしてお詫びさせて頂きます。
ただ…私の中でその人のキャラクターを文章としてどこまで伝えられるか…
今回はこの部分にも力を入れてきたつもりです。
はたしてどこまで達成できたかは…
それはこの小説を読んでくれた皆様の中で判断してください。
そして最後になりますが、読者の皆さん…
この3ヶ月半本当に本当にありがとうございました。
またいつかどこかで…       

      2012 冬 京浜東北線 川口近辺にて 筆者

実名小説『DAZZLING』 最終話『愛』

『…おい!大事に運べよぉ…
それ結構高かったんだからな…傷つけんじゃねぇぞ!』
ボクの言葉にヒトシは不満そうな顔で答えた。
ちなみにボクとは…この物語の作者でもある…
㈱コスミー・プレゼンツ代表取締役社長…国武充…
要するに…ボクだ…。
『…わかりましたよぉ…でもなんで社長…急に帰ってくんですか…
それに引っ越しなんて…引っ越し屋に頼めばいいじゃないですか…
なぁ…ユッキー…』
『…はい…申し訳ないんですけど…
ショックオン移転したばっかで俺達結構忙しいんですよ…』
荷物を運びながら幸村も不満そうな言葉を漏らした。
『…うるせえな、てめえら!
だからシュンは店の準備しろって今日は呼んでねえだろ!
だいたいてめぇら、しばらく会わない間にずいぶん偉そうになったじゃねぇか…
ヒトシ!てめぇそんな事言ってるとまた給料天引きで寸胴買わせるぞ…
まだあと3個あんの知ってんだからな…』
『…勘弁してくださいよぉ…ただでさえ使い道なくて…
露天風呂にしてんすからぁ…』
『…じゃあてめえ何であん時買ったんだ!…
それからなぁ…引っ越しって言うのは自分達でするからいいんだよ…
新しい家に愛着持つだろ…
引っ越し屋なんか頼んだら趣がないだろ…
わかるかオモムキだよオモムキ!』
『…だけどここマコトさんが住んでたとこじゃないっすか…
新しくもないし…オモムキなんてあるんですかねぇ…』
ヒトシの言葉にボクは少しキレ気味に答えた。
『かぁーーーーっ!わかっちゃいねぇなぁ…
お前モテねぇだろう…
夢追っかけて熱くなってるやつなんかには女を守れねぇ…
なんて思っちゃってるクチだろう…
お前みたいな奴には一生オモムキなんてわかんねぇよ!』
『そんなもんなんですかねぇ…あっ!痛ってぇーーー!…』
突然叫んだヒトシの言葉にボクは思わず振り向いた。
『…どうした?どっか打ったのか?』
『…す…すいません…ちょっとドアに指挟んじゃって…あれ…血ぃ出ちった…』
『…どれ?あ~ちょっと擦りむいただけじゃねぇか…そのまましときゃ直るよ…』
『…そりゃそうですけど…薬ありませんか?』
『…あるけど…なぁヒトシ…ユッキーも…薬ってなんで使うかわかるか?』
ボクの言葉にヒトシと幸村は顔を見合わせた。
『…傷を治す為じゃないんですか?』
恐る恐る答えたヒトシに向かいボクは笑顔で答えた。
『正解!』
『…社長…なに言っちゃってんですか…そんな当たり前の事…』
『…当たり前の事だよな…
もっと言えば傷を早く治す為だ…早くな…
そのままにしていてもいつかは傷は治る…
ただ早く治す為には薬が必要だ…
心の傷もそうだ…そのままにしていてもいつかは癒える…
でも早く治す為には?』
『………』
ヒトシと幸村の態度にボクは大きな声で答えた。
『…愛だろ…愛…心の薬といえば…』
『…社長…それってマコトさんとニーナさんの?だから…
だから社長帰ってきたんですか?』
ヒトシの問いかけにボクは答えず笑顔で続けた。
『…さあ…早く片付けて俺達も今夜愛を探しに行こう!…
愛はほら君の足元に落ちているかもしれない!…』
『…ねぇ、社長!そうなんですかぁ?』
ヒトシの言葉にボクは振り向かず窓の外を眺めて小さく呟いた。
『愛は全てを救うんだ…なあ…マコト…』
ボクは少しだけ微笑むとマコトがいる南の空にウインクをした…。

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               FIN

実名小説『DAZZLING』 第85話『永遠』

『…ニーナさん…少し休憩してください…
今日は比較的暇ですから…
『…でも…
それじゃあ、私みたいな素人をわざわざ雇ってくれたマリに悪いわ…
少しでも役に立ちたいから…』
『…大丈夫ですよ…ニーナさんよくやってくれてるし…
私たちもすごく助かってます…
マリさん…いえオーナーもそう言ってましたよ…』
ニーナは半年前にマリを頼ってハワイへと来ていた。
傷心のニーナにとって親友マリのもとで働けることは、この上ない歓びと共に安らぎでもあった
ニーナは気遣ってくれるマリの店の従業員の言葉に少しだけ甘える事にした。
そして店を後にすると、日課となっているレストランのドアを開けた。
ニーナはこのレストランのテラスから見える夕暮れの海の景色がたまらなく好きだった。

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この南の島に来て半年…
彼女は夕刻のこの時間をここで過ごす事に幸せを感じていた。
この夕暮れの綺麗なオーシャンビューを見ている間だけ、彼女は彼女を苦しめる全ての事を忘れる事が出来た。
…あれからもう半年…
あの人はまた自分の人生を歩き始めたに違いない…
私も1日も早く今までの自分をリセットして新しい自分を探しにいこう…
ニーナはそんなふうに思っていた。
『…Is it good in the same seat?(お席ご一緒してよろしいですか?)』
突然の問い掛けにニーナはしばらくの間その言葉が自分にかけられたものだとは思わず、黙って海を見つめていた。
『…Is it good?』
もう一度投げかけられたその言葉にニーナは思わず振り向いた。
『…えっ!どうして…』
『…社長が急に日本でデルモのチャンネーとシースー行きたくなったから…
お前にワイハーの店頼むって…
日本は俺がいるから心配するなって…
あの人いっつも勝手なんだよなぁ…
それに…ニーナ…
飲み屋留学の店作るって言ったのに…
いきなり消えるってひどくないか…』
マコトは困ったような顔でそう答えた。
ニーナはマコトの言葉に少しだけいたずらっぽい微笑みを浮かべるとこう言った。
『…だから…何でもくっつければいいってわけじゃないって言ったでしょ…
そんなお店流行るわけないじゃない…
『…そうかなぁ…結構イケると思うんだけど…
じゃあ二人でよく話し合ってみるっていうのは?』
マコトはニーナの言葉にそう答えた。
そしてもう一度マコトはニーナに問いかけた。
『…Is it good in the same seat?(お席ご一緒してよろしいですか?)』
『Up to when?(いつまで?)』
ニーナの言葉にマコトは笑顔でこう答えた。
『Through all eternity(永遠に)…』





いつか話したね あの黄金色に輝く光の事を  
全ての苦しみを この世から消し去りたい
呟く君の横顔に 僕はあの日恋をしたんだ

雨の降り続く夜も 乾いた冷たい風が吹く朝も
君はひとり たった一人で歩いてきたね

あの日の僕等の選択は 二人の道をわけたけど
二つの道はつながると 流れる風が教えてくれた

やりきれなさで濁った瞳 苦しさで歪んだ唇
置いてきた者たちを 取り戻すことはできないけれど

凍えるような心を抱いて過ごす日々は終わるよ

そうこれからはずっと
僕が君の希望の光となり
その足元を照らし続けるから…

そうこれからはずっと
僕が君の希望の光となり
永遠にその足元を照らし続けるから…

ゴールデン・ゲート…
信じていれば想いは届くと
そう今君が教えてくれたから…


実名小説『DAZZLING』 第84話『誓い』

『…うん…もうちょっと右…そうそう…そんな感じでいい…』
マコトはステージバックのショックオンのロゴの位置を確認するとヒトシに問いかけた。
『…これで全て終わったんだろ…
明日からのトレーニングのスケジュールも大丈夫か?』
ヒトシは笑顔を見せるとマコトに返した。
『…マコトさん…全て大丈夫です…
そんなに心配しなくても…
もうみんなしっかり自分の役割くらいわかってますから…』
『…うん…
でもこのショックオンの移転が俺の夢だったの知ってるだろ…
キャパ200だぞ…200  …前の店の3倍だ…
その分経営も大変だけど…
絶対川口の文化の発信点になる…
これからの事考えただけでワクワクするよ…
絶対成功させてみせる…』
マコトのはしゃぎようにヒトシは肩をすくめると、テーブルの缶コーヒーをマコトに渡した。
『…マコトさん…変わらないですね…
だから女にフラれるんだよなぁ…
仕事や夢に熱くなるのはいいですけど…
たまには彼女の事とか考えてあげないと…
女って現実的ですからねぇ…』
『…うるせえなぁ…
ニーナの事だったらもう完全にふっきれたよ…
俺はあの子が幸せに暮らしていてくれればそれでいいんだ…
俺の恋人は仕事なんだし…
ヒトシは首を振ると諦めたように言葉を返した。
『…ダメだなぁ…女一人も守れないで…
経営者って言えるんですかねぇ…
社長に言って専務のポジション俺と変わってもらおうかなぁ…』
マコトはその言葉に舌を出した。
『…お前人を守るってどういうことか解ってんのか?…
その人の痛みを同じように感じてやるってことだ…
あの時俺はまだニーナの苦しみを完全には理解してやれてなかった…
だから彼女はまた去っていったんだ…
だからまだ俺はもっともっと人間磨きしなきゃいけないんだ…
そうすれば必ず彼女は戻ってくる…
お前みたいな上っ面野郎にわかってたまるか…』
マコトの言葉にヒトシはあきれたように言葉を返した。
『…なんですか…その言い方…
やっぱ全然人間磨かれてないじゃないですか…
ニーナさん…そんなんで帰ってくんですかねぇ…』
ニーナが去ってから半年が経とうとしていた。
そしてその間マコトは、その痛みを忘れるかのように次へのステップを上り始めようとしていた。
ただマコトは今でも街のあちこちに残るニーナの面影を感じる度に胸を躍らせ…
そして次の瞬間訪れる虚しい心の空洞を常に感じていた。
『…ニーナ…』
マコトは店を出ると昼間の人通りもまばらな西口公園へと歩を進めた。
新しいショックオンからはニーナの好きだった2本のケヤキが一望出来た。
マコトはニーナに見守られているこの場所にどうしても自分の拠点を作りたかったのだ。
マコトは2本のケヤキの前に立つとクリスマス・イヴの夜…涙をためてじっとたたづんでいたあの日のニーナを思い出した。

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『…ニーナ…俺はまたひとつ夢を叶えたよ…
きっと君も喜んでくれるよね…
この空…俺と同じ空…どこかで見ていてくれるよね…』
マコトはそう呟くとそっと背の低い方のケヤキに触れそこに口づけをした…
そして店へと続く道を足早に戻って行った…。

実名小説『DAZZLING』 第83話『挫折』

『…ただいま…』
マコトはシャンパンを片手に玄関のドアを開けた。
暗くひっそりとしたリビングへと続く通路は明かりも消え、ニーナを失ったあの日から現在までと変わらないひんやりとした空気をまとっていた。
『…ニーナ…ニーナいないの?』
マコトは照明のスイッチを入れるとそう声をかけた。
しかしひんやりとした室内にマコトの言葉は虚しく空をきっていた。
突然襲ってきた不安の中…マコトはリビングへと続くドアを開けた。
その瞬間…マコトの目にテーブルの上に置かれた一通の手紙が飛び込んできた。

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マコトはその手紙を手に取ると…目を閉じじっとその場所に立ち尽くした。
そしてその手紙は、マコトにどうしようもない位の悲しみとありったけの挫折感を運んできた。
『……マコトさん…今まで本当にありがとう。
昨日あなたに再会して…昔と変わらないあなたの優しさに触れ…
私はたった一日だけでも夢のような幸せをもらいました。
この何年もの間…
私はあなたに謝りたくてずっとずっと心を殺して生きてきました。
私の事など忘れて新しい人生を歩んでほしい…
そして幸せになってほしい…
そう思いあなたの前から姿を消しました。
苦しくて、悲しくて、悔しくて…どうしようもない毎日を生きる中…
あなたと過ごした日々を思い出す時だけが、私の心が温かくなる唯一の時間でした。
今にして思えば初めて会ったあの日…
私はあなたを愛する事を予期していたのかもしれません。
あるいはこんな形で出会わなければ…
ずっとずっとそんな事ばかり考えてきました。
後悔と絶望の中…何度も何度もあなたの名前を叫びました。
たった一日あなたと過ごしただけで…
私は今こんなにも幸せな気持ちになっています。
こんな満ち足りた気持ちは何年ぶりだろう。
おそらくあなたの優しさは、こんなふうにあなたを騙してきた私をもきっと許してくれるのでしょう…
私もそんなあなたの気持ちにすがりたい…
何度も何度も思いました。
でも私があなたを騙してきたという事実は生涯消える事はありません。
夢を追いかけるあなたの姿に私はいつも励まされここまで来る事ができました。
私にとってあなたの夢はいつしか私の夢でもある…
そんなふうに思うようにもなりました。
ずっと一緒にいられれば…何度も何度も思いました。
でも…これは私の冒した罪への罰なのです…
あなたといる事…
優しさに触れる度に私はきっとあなたを傷つけた自分を思い起こす事でしょう…
だからあなたから旅立つ決心をしました。
これからどんな苦難が待ち受けていようと…
あなたが私にくれたたくさんの想い出を胸に前を向いて歩いていきたい。
そんふうに思っています。
本当に本当にありがとう…
幸せになってください…
そしてあなたの夢を…夢を必ずつかんでください。
あなたが見ている空を…
私も必ずどこかで見ています…
マコトさん…空はつながっているから…
いつもいつもどこかで必ずあなたの幸せを祈っています…
さようなら…
私の世界で一番大切な人へ…
ニーナ……』
…マコトはその時…人はあまりに悲しみが深いと涙までもが枯れていくんだという事を知った…。