草間少年の事件簿2 | いつか死んで土になる

いつか死んで土になる

誰か5億円ください

ある日、同級生Kの家が全焼しました。リアル永沢君状態です。


しかも彼はいじめられっこでした。いじめられ、かつ家まで燃えたんです。この時ばかりは彼に同情しました。嘘です、爆笑しました。


彼の家が燃えた日は長期休暇の真っ最中でした。でも僕は塾に通っており、その塾には同じ中学校の生徒が多く通っていたのです。


その日、僕と何人かが塾の教室にいたら、よりにもよって家が燃えた奴と同じ苗字の生徒が、事件だ事件だ!!と叫びながら教室に駆け込んできました。その手には地方新聞が握られています。


ここを読め!!指差した先の記事を読むと、そこには漏電でKの家が全焼した、と書いてあるではありませんか。しかも、ご丁寧にその記事にはマーカーでラインがひいてありました。


もちろん皆爆笑です。しかも、塾終わりに燃え跡を見に行こう!という話になりました。しかし残念なことに僕はバスで帰る予定だったので見にいけなかったのです。


後日、僕は友人と自転車で彼の家を目指していました。行かないわけにはいかない。ある種の重要文化財を見にいくような感覚でした。


僕は彼の家の場所を知っていたので、まっすぐ彼の家を目指しました。


にもかかわらず、いつまでたっても彼の家に辿り着きません。僕は方向音痴なので迷ったのかな、と思いましたが、どう考えてもこの近くだ、というところまで来ているのに見つからないのです。


探し疲れた僕等は、空き地の前でへたりこみました。


そこは土が丸出しの空き地だったのですが、ふと僕はあるものの存在に気がつきました。よーく見ると、ある一画になにかが敷いてあるのです。


よく見ると、それは風呂場のタイルでした。全焼した彼の家は風呂場のタイルを残し跡形もなくなっていたのです。残ってるのは薄汚いタイル何枚かだけで、あとは土です。


ここまで全焼だとは思わなかったのでその場で僕等は笑い転げました。その後、タイルの上でエアー入浴をして、僕等は帰路につきました。帰る家があることの幸せを噛み締めながら。


その後、家が全焼したKのために寄付金を集める、という連絡網が回ってきました。その額、一人100円。学年120人、合計12000円です。


家燃えてるんですよ。消費税分にもなりません。そんなんならあげないほうがましなんじゃないか、と子供心に思いました。


にもかかわらず、僕や下衆な友人数名は、その100円すら払っておりません。ガリガリ君食べました。


それから月日は流れ、僕は成人式をむかえました。そこには懐かしい面々が揃っており、そのなかに彼がいました。彼は、二十歳とは思えないほど老けており、生え際は後退の一途を辿っていました。あれから何があったのでしょう。当時彼をからかってた奴は、俺達が苦労かけたからあんなになっちまったのかなぁ、と凹んでいました。


僕は家が燃えたからだと思います。