直江兼續 北国の獅子
柘植久慶 ハルキ文庫 2008 大河ドラマ直前に かきおろし出版されたもののようだ藤沢周平の「密謀」 南原某の「直江兼続」も本屋でちらり読みしたのだがどちらも 買うにはおよばず。これは褌の旛印のエピソードがあり 買ってしまった。謙信公が倒れるところから始まり、戦の場面を中心に 軍師としての才能が際立つよう筋が展開される。 愛や義や情けなどの言葉や お船や父親・弟 身内の活躍は ほとんどでてこない。現実的に 情報にどう対処して 行動していたかに終始する。三成との関係もさらりとしていて エピソード記述はあまりないが 親戚のように交流があり、よくしてくれている記述はある。家康は嫌い というような 私情もあるが 関が原に突入する。その前後は分量がない。最後は 10行くらいで 死に様と 遺族への恩賞と 景勝さまの死にふれて 終わる。経済的な感覚にも優れた 武人らしさが見えて すっきりした 小説である。直江兼続が軍師としてなぜ評価されたのか非常によく解かる戦いの采配振りがある。男性社会を垣間見 ビジネス書を読んでいる気分にもなるすばやい情報分析と行動力は すっぱ(忍者)を 活用していたというのであるが そのすっぱ集団とはどういう経緯の関係なのかは不明。なんで景勝さまにずっと ついているのかも不明。景勝さまのほうは 頼りにしているような思いの記述はある。小説だからか 家康が 大阪の陣で実は死んでいた ということにもなっている。実際の人となりはどうだったのか。400年もたっているが 後人の解釈はいろいろ。この人の小説では 聡明理知的な策士としての生き様の例として火坂氏のは ライフステージごとのひたむきな行動力と苦悩がみえる郷土の偉人童門氏のは 故郷と農への愛(性愛を含む)をもつ知識人 鈴木由紀子氏のは お船も含めて 時代を生きた聡明な人大場氏の殿といっしょでは スノッブで人の上に立つことになれた自信過剰のやなやつNHKのドラマでは 支持する人と運もよいおかげで危機を今のところ乗り切れているたよりなさなげな優男 それぞれ ちがっていて面白いなあと思う。