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体操っておもしろいよな

男子体操競技をメインにしているブログです。
今昔そしてワールドワイドに体操を紹介していきます。
少しでも体操に興味を持ってくれれば幸いです。

どうも、

 

翔です。

 

 

今年の9月はワールドカップ月間でした。

 

メルシンソンバトヘイパリギマランイスと4つの大会が1ヵ月の間に行われていたのです。

 

週1ペースです。

 

中にはこの中の複数大会に参加する選手もいたそうです。

 

ということで、今回はワールドカップメルシン大会から演技紹介。

 

今回は種目別あん馬で決勝に残った、

 

ヨルダンアーマド・アブ・アル・ソウド選手 のあん馬の演技を紹介します。

 

もう名前は覚えなくていいです。

 

 

ヨルダン・・・はて・・・?

 

体操界ではヨルダンの選手なぞ滅多に見ないので馴染みのない国でしょう。

 

ということでヨルダンという国について少し紹介します。

 

興味のない人は飛ばしてください。

 

 

正式名称はヨルダン・ハシェミット王国というイスラム教国です。

 

このハシェミットというのはこの国の国王の家系であるハーシム家のことを指します。

 

サウジアラビアの「サウジ」がサウード家のことを指してるみたいなものですね。

 

位置は西アジア、いわゆる中東に位置し、イスラエル・シリア・イラク・サウジアラビアと隣接しております。

 

隣国の名前を聞くだけでお察しがつくかと思いますが、これらの国々の紛争によって難民がどっと押し寄せている国がヨルダンです。

 

ヨルダンの人口は1000万人に満たないほどですが、その3分の1が難民とその子孫です。

 

国の中央年齢(※)は23.4歳と若いです(日本は45.9歳)。

(※上の世代と下の世代の人口がちょうど同じになる年齢のこと)

 

ヨルダンは天然資源には恵まれておらず、死海や遺跡などの観光業に頼っています。

 

2008年のリーマンショックもあり、さらに難民が次々流れ込んでくることで、財政はギリギリ。

 

他国からの経済援助で食いつないでいるような状況です。

 

それでも、周辺諸国から逃れてきた難民を受け入れ、公共サービスを国民同様に受けさせる寛容さも持ち合わせております。

 

親日国としても知られていて、日本もヨルダンに支援をしている国のひとつです。

 

 

 

 

 

飛ばしましたか?

 

 

そんなヨルダンからあん馬のテクニシャンが出てきました。

 

馬端から馬端への直接移動技を多く持つ珍しいタイプの選手です。

 

トンフェイ(馬端から馬端まで下向き正転向移動)【D】

ニン・リーズ2(両把手を越えて縦向き3/3前移動直ちに1/2ひねり)【E】

ドリッグス(馬端から馬端まで縦向きとび前移動)【E】に加えて

 

両把手を超えて下向き逆移動【D】という超レア技を実施してくれます!

 

 

なんのこっちゃ案件なので実際に映像を見てみましょう!

 

 

①ミクラック(馬端から馬端まで正交差とび横移動逆交差入れ)【D】

②Eコンバイン【E】

③ショーン(一把手上で上向き全転向【E】

④Eフロップ【E】

⑤トンフェイ(馬端から馬端まで下向き正転向移動)【D】

⑥ニン・リーズ2(両把手を越えて縦向き3/3前移動直ちに1/2ひねり)【E】

⑦ドリッグス(馬端から馬端まで縦向きとび前移動)【E】

⑧両把手を超えて下向き逆移動【D】

⑨シバド(馬端から馬端まで縦向き後ろ移動)【D】

⑩DSA倒立1回ひねり3/3移動おり【D】

 

Dスコア:6.5

 

なんのこっちゃ!!!

 

演技構成が複雑すぎて処理が追い付きません。 

 

あん馬が好きな人には大好物ムシャムシャな演技構成ですが。

 

特に⑧両把手を超えて下向き逆移動【D】はこの選手で初めて実施例を見たので、

 

初めて見たときはそれはそれは興奮しましたよ。

 

馴染みのない国の選手が種目別決勝にいることにも新たな発見があって嬉しくなりますが、

 

今までいろんな動画を探しても見たことのなかった技をその選手がやってくれると、

 

「お前だったのか・・・」となるわけですよ。

 

 

 

 

 

どうも、
 
翔です。
 
先日歯磨き粉と間違えて歯ブラシにニベアをこんもり乗せてしまいました。
 
あやうく僕の歯が潤いベールに包まれるところでした。
 
 
 
 
さて、
 
7月から8月にかけて行われたパンアメリカン競技大会の演技を紹介しましょう。
 
この大会は広くアメリカ大陸の国、北中南米地域の国々が一堂に会する総合競技大会で、4年に1度開催される大規模なものです。
 
 
前回大会は2015年にカナダのトロントで開催されています。
 
今年2019年はペルーの首都・リマで開催されています。
 
ペルーというと、マチュピチュやナスカの地上絵などの世界遺産が多い観光大国であることに加えて、
 
日系人が多いことでも知られていますね。
 
過去には初の日系人大統領として、アルベルト・フジモリ氏が大統領を務めていたこともありました。
                                                         それ以上のことは書かないでおきます。
                                                             (興味のある方はご自身で調べてみててください)
 
 
そんな今年のパンアメリカン大会の中から、
 
コロンビア代表、カルロス・カルボ選手 の種目別平行棒決勝の演技を紹介します。
 
 
カルロス・カルボ選手は平行棒でとても珍しい技を実施してくれます。
 
それが【カルバロ2】というC難度の技。
 
【カルバロ1】も知らないのにいきなり【カルバロ2】!? と思われた方・・・
 
頑張って覚えましょう。
 
 
どういう技かというと、
 
【倒立から肩転移支持】です。
 
う~ん・・・わかりませんね。
 
実際の難度表に載っている図で見てみましょうか。
 

 
フムフム・・・なるほど・・・わからん。
 
文字で説明してもわからないと思うので実際に映像で見てみましょうか。
 
①ホンマ(後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持)【D】
②ヒーリー(後ろ振り倒立経過1回ひねり支持)【D】
③カルバロ2(倒立から肩転移支持)【C】
④棒下宙返り倒立【D】
⑤後方車輪倒立【C】
⑥モイ(振り下ろし懸垂前振り上がり支持)【C】
⑦バブサー(倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き懸垂)【E】
⑧伸腕屈身力倒立【B】
⑨ティッペルト(倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立)【D】
⑩後方屈身2回宙返り【D】
 
Dスコア5.6

倒立の状態から肩を前方にグリンと回してマンナの姿勢に持ち込む、その後ホップしながら手を握り変えて支持。
 
という技ですね。
 
肩の柔軟性が必要な技です。
 
 
おわかりいただけただろうか・・・

 

 

どうも、

 

翔です。

 



全世界の体操選手にあまねく使われている技というものがございます。

 

鉄棒におけるヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】もそのひとつ。

 

以前、当ブログで2017年の世界選手権に出場した全選手を対象に、実施されている技の総数を洗い出してランキングにした記事を書きました。

 

2017年モントリオール世界選手権予選、鉄棒の実施技ランキング

 

こちらの検証で、ヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】は、最も実施されている技という結果が出ています。

 

そんなヤマワキにも原型となる技があります。

 

それがマルケロフ(後ろ振り上がり開脚とび越しひねり懸垂)【C】と呼ばれる技です。

 

 

この技の脚を閉じたものがヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】になるわけです。

 

このことから、この記事ではヤマワキの動きの系統の技を「マルケロフ系」と表記させていただきます。

 

 

マルケロフ系の技も、姿勢を変えたり、ひねりを加えたりすることで難度が変わります。

 

先の説明にもあったように、脚を閉じながら伸身姿勢でマルケロフの動きをすることでヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】が成立します。

 

 

ルール上、鉄棒では、手離し技は最大5つまで実施することができます。

 

鉄棒の演技中5つの手離し技をすべてマルケロフ系の技でまとめるという世界初の所業をなしたのがイタリアのパオロ・プリンシピ選手。

 

以前からウェルストロム(ヤマワキ1回ひねり)【F】を実施することでマニアから注目されていましたが、

 

今年発表した演技では、5つともマルケロフ系を実施するという、己のアイデンティティを貫徹する姿に感銘を受けるマニアがいたとかいないとか。

 

 

ミュノス/ポゾ(ヤマワキひねり片大逆手後ろ振り倒立)【E】
ウェルストロム(
後ろ振り上がり伸身とび越3/2ひねり懸垂【F】

エンドー(前方(開脚or閉脚)浮腰回転倒立【B】
④マルケロフひねり片大逆手後ろ振り倒立【D】
マルケロフ
後ろ振り上がり開脚とび越しひねり懸垂)【C】

アドラー1回ひねり片逆手倒立【D】
ヤマワキ後ろ振り上がり閉脚とび越しひねり懸垂)【D】
クースト(後方飛び車輪1回ひねり)【C】
シュタルダー後方
(開脚or閉脚)浮腰回転倒立)【B】
⑩後方伸身2回宙返り1回ひねり【D】
 
Dスコア:5.7
 
 
で実施した技はルールブックの難度表にも載っていない新技になるのですが、
 
の技の劣化版であることから、名前が付けられるかは怪しいところです。
 
彼のアイデンティティを尊重する僕としては「プリンシピ」の名がつけられてほしい気持ちはありますが、
 

かつてあん馬の技「ブスナリ」を2012年に発表したアルベルト・ブスナリが翌2013年にブスナリの劣化技を発表したところ、

 

技は認められたものの、名前は付けられなかったという前例があります。

 

 しかし、2017年にあん馬の技に「ケイハ」と名前が付けられた後に、ケイハの劣化版の技に「ケイハ2」と名前が付けられた事例もあります。

 

判断基準はFIGの会長が変わったことによるトップの意思なのか、それともそもそもそのあたりの基準が明確に定められていないのか。

 

気になるところです。

どうも、

 

翔です。

 

 

イスラエルのゆかのスペシャリスト、アルチョム・ドルゴプヤットです。

 

2017年の世界選手権では種目別ゆかで銀メダルを獲得しています。

 

このところ種目別ワールドカップシリーズで無双状態のドルゴプヤットですが、

 

少しずつ演技構成をアップデートしています。

 

リオ五輪以降、ルールが変わってから、Dスコアを

 

6.3→6.6→6.5→6.4→6.5→6.7と、

 

こまめに構成を見直しつつ、大会によっては抑えつつ、今では6.7まで上げてきました。

 

そんな自己最高Dスコアとなるドルゴプヤットのゆかの演技構成を見ていきましょう。

 

 

 

ザパタ(前方抱え込み2回宙返り1回半ひねり)【G】
②前方伸身宙返り1回ひねり【C】+前方伸身宙返り2回半ひねり【E】+0.1・・・※1
④リ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)【G】
⑤後方伸身宙返り2回半ひねり【D】+前方伸身宙返り2回ひねり【D】+0.2・・・※2
⑦後方伸身宙返り1回半ひねり【C】+前方伸身宙返り1回半ひねり【C】
フェドルチェンコ(下向き1080°転向)
【C】

⑩後方抱え込み2回宙返り2回ひねり【E】

 

Dスコア:6.7

 

※1:〔D難度以上の宙返り技〕と〔B難度もしくはC難度の宙返り技〕の連続技は0.1の加点
※2:〔D難度以上の宙返り技〕と〔D難度以上の宙返り技〕の連続技は0.2の加点

 

 

ドルゴプヤットの演技構成で注目すべき点は、赤で表記したの3つです。

 

なぜ要注目なのかというと、彼が技をコロコロ変えてきたのがこの3つのシリーズだからです。

 

は、かつては前方屈身2回宙返りひねり【F】だったものを現在のザパタ(前方抱え込み2回宙返り1回半ひねり)【G】に難度を上げました。

 

は、かつては新月面(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)【E】だったものを後方伸身宙返り4回ひねり【F】、そして今ではリ・ジョンソン【G】まで難度を上げています。

 

は、かつては後方伸身宙返り3回ひねり【D】だったものが、後ろとびひねり前方抱え込み2回宙返りひねり【D】に代わり、④で新月面(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)【E】以外の技をやった時には終末技が新月面(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)【E】になったりします。

 

 

以上から、今回紹介したドルゴプヤットの演技構成は、現状彼の持っている最高難度の構成ということになります。

 

 

・・・しかし!

 

実はドルゴプヤットはかつてにおいてこれ以上の技を実施しようとしたことがあります。

 

ザパタ(前方抱え込み2回宙返り1回半ひねり)【G】以上ということはつまり【H難度】ということになりますね。

 

そうです!

 

ドルゴプヤットはかつてリューキン(後方抱え込み3回宙返り)【H】を実践で実施したことがあるのですが、

 

後頭部から落下してしまいました。

 

それ以降、彼は3回宙返りを実施していません。

 

 

東京オリンピックに向けて、出場権の獲得に向けて、

 

世界各地で行われるワールドカップに東奔西走している選手のひとりです。

 

 

 

どうも、

 

翔です。

 

 

6月末に行われたヨーロピアンゲームズの体操競技

 

種目別跳馬決勝にてアルメニアのアルトゥール・ダフティアンが優勝しました。

 

日本を中心とする東アジア圏では最高Dスコア6.0に挑戦する選手が増え、

 

跳馬界隈のレベルは上がるばかりです。

 

そんな中、ヨーロッパの跳馬界隈はEスコア勝負となりました。

 

 

オールラウンダーでありながら、かねてからその堅実な演技が評価され、高いEスコアを武器としていたダフティアン。

 

特に得意とする跳馬ではヨーロッパ選手権やワールドカップでも決勝の常連です。

 

今回行われたヨーロピアンゲームズでも決勝に残りました。

 

そこでダフティアンはある快挙を成し遂げます。

 

ドラグレスク(前転とび前方抱え込み2回宙返りひねり)【D:5.6】

 

 

②ロペス(側転とび1/4ひねり前方伸身宙返り2回半ひねり)【D:5.6】

 

 

2本ともDスコア5.6の高難度技を跳んで2本とも着地をピタリと止めました!

 

そして2本ともEスコアが評価され、決定点となる2本の跳躍の得点のアベレージは15点を超えています。

 

Dスコア5.6を2本跳んでアベレージが15点超えというのは今期のルール上初めてのことではないでしょうか。

 

 

過去、跳馬の決定点が15点を超している選手というのは、

 

2本のうち少なくとも1本は最高Dスコアである6.0の技を跳んでいる選手でした。

 

しかし、今回のダフティアンの結果は、1本目にDスコア5.6のドラグレスク、2本目にDスコア5.6のロペスを跳んでともに15点超え。

 

よって決定点となるアベレージも15点を超える成績となりました。

 

Dスコアを最高まで上げなくとも15点超えが可能だということをダフティアンが証明したのです。

 

彼は前例をつくったのです。

 

 

こちらはサングラスをかけるとサイコパスみあふれるダフティアン。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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