パオロ・プリンシピの鉄棒 2019年W杯オシエク大会種目別決勝 | 体操っておもしろいよな

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男子体操競技をメインにしているブログです。
今昔そしてワールドワイドに体操を紹介していきます。
少しでも体操に興味を持ってくれれば幸いです。

どうも、

 

翔です。

 



全世界の体操選手にあまねく使われている技というものがございます。

 

鉄棒におけるヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】もそのひとつ。

 

以前、当ブログで2017年の世界選手権に出場した全選手を対象に、実施されている技の総数を洗い出してランキングにした記事を書きました。

 

2017年モントリオール世界選手権予選、鉄棒の実施技ランキング

 

こちらの検証で、ヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】は、最も実施されている技という結果が出ています。

 

そんなヤマワキにも原型となる技があります。

 

それがマルケロフ(後ろ振り上がり開脚とび越しひねり懸垂)【C】と呼ばれる技です。

 

 

この技の脚を閉じたものがヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】になるわけです。

 

このことから、この記事ではヤマワキの動きの系統の技を「マルケロフ系」と表記させていただきます。

 

 

マルケロフ系の技も、姿勢を変えたり、ひねりを加えたりすることで難度が変わります。

 

先の説明にもあったように、脚を閉じながら伸身姿勢でマルケロフの動きをすることでヤマワキ(後ろ振り上がり伸身とび越しひねり懸垂)【D】が成立します。

 

 

ルール上、鉄棒では、手離し技は最大5つまで実施することができます。

 

鉄棒の演技中5つの手離し技をすべてマルケロフ系の技でまとめるという世界初の所業をなしたのがイタリアのパオロ・プリンシピ選手。

 

以前からウェルストロム(ヤマワキ1回ひねり)【F】を実施することでマニアから注目されていましたが、

 

今年発表した演技では、5つともマルケロフ系を実施するという、己のアイデンティティを貫徹する姿に感銘を受けるマニアがいたとかいないとか。

 

 

ミュノス/ポゾ(ヤマワキひねり片大逆手後ろ振り倒立)【E】
ウェルストロム(
後ろ振り上がり伸身とび越3/2ひねり懸垂【F】

エンドー(前方(開脚or閉脚)浮腰回転倒立【B】
④マルケロフひねり片大逆手後ろ振り倒立【D】
マルケロフ
後ろ振り上がり開脚とび越しひねり懸垂)【C】

アドラー1回ひねり片逆手倒立【D】
ヤマワキ後ろ振り上がり閉脚とび越しひねり懸垂)【D】
クースト(後方飛び車輪1回ひねり)【C】
シュタルダー後方
(開脚or閉脚)浮腰回転倒立)【B】
⑩後方伸身2回宙返り1回ひねり【D】
 
Dスコア:5.7
 
 
で実施した技はルールブックの難度表にも載っていない新技になるのですが、
 
の技の劣化版であることから、名前が付けられるかは怪しいところです。
 
彼のアイデンティティを尊重する僕としては「プリンシピ」の名がつけられてほしい気持ちはありますが、
 

かつてあん馬の技「ブスナリ」を2012年に発表したアルベルト・ブスナリが翌2013年にブスナリの劣化技を発表したところ、

 

技は認められたものの、名前は付けられなかったという前例があります。

 

 しかし、2017年にあん馬の技に「ケイハ」と名前が付けられた後に、ケイハの劣化版の技に「ケイハ2」と名前が付けられた事例もあります。

 

判断基準はFIGの会長が変わったことによるトップの意思なのか、それともそもそもそのあたりの基準が明確に定められていないのか。

 

気になるところです。