第19期静岡プロリーグ決勝戦見どころ 川崎義之 | 静岡支部員のひとりごと

静岡支部員のひとりごと

日本プロ麻雀連盟の静岡支部が運営するブログです。このブログを機に静岡支部に興味を持っていただけたらと思います。

今期のプロリーグは最後にドラマが待っていた。

最終戦、開始前のスコアは以下の通り。


1位 鈴木郁 +248.9(1卓)

2位 安藤 +167.6(2卓)

3位 平野 +160.0(2卓)

4位 鈴木秀 +125.9(1卓)

5位 斉藤 +122.2(3卓)

6位 青嶋 +96.0(1卓)

7位 蓮沼 +95.2(3卓)

8位 平岡 +94.1(2卓)



最終節の組み合わせは、上位8名が回り順、以下順位順で決まるため、大抵は上位2卓から決勝進出者が決まるが、今回は3卓から斉藤・蓮沼がポイントを伸ばし大混戦となっていた。

とはいえ、1位の鈴木郁は安泰、2・3位の安藤・平野もポイント、展開的に優位であり(同卓のため、場合によっては共闘して卓回しできる)、焦点は誰が4位争いを制するのかと思われていた。

しかし、終わってみれば、大きくポイントを伸ばした鈴木秀・斉藤、そして安藤との直接対決を制した平野が勝ち上がる結果となった。

安藤は痛恨のラスでまさかの敗退となってしまった。



それでは決勝進出選手の紹介をしていこう。



1位通過 鈴木郁孝(+252.6)





1年を通して安定した戦いぶりで2年連続の決勝進出を決めた。

過去2回の決勝はいずれもあと一歩のところで優勝を逃しているだけに、今回に賭ける想いは誰にも負けないだろう。



私が感じる鈴木郁の麻雀の特徴は、アガリに対して直線的であるということ。
勿論狙えるときは手役を狙うが、それよりもスピードを重視している気がする。

といっても鳴いてアガリにいくというよりは、面前主体のリーチで圧をかけていくスタイル。



特に突如始まる親番でのリーチ攻勢は、対戦相手のメンタルを破壊する。

やられたことがある人はわかるだろうが、これが一旦始まってしまうと止めようがない。
早い巡目にリーチがかかり、全部ツモリあげてしまうのだから…

こうなってはワンサイドゲームになりかねない。

他3者は鈴木郁に気持ちよく打たせないことが重要となる。



2位通過 斉藤隆(+155.6)





最終節に+93.8というスコアを叩き出し、大逆転で決勝の椅子に滑り込んだ。

おそらく、上位2卓以外での決勝進出は初めてではないだろうか?



斉藤の麻雀は、鈴木郁よりも更に攻撃的で、猪突猛進という言葉がぴったり当てはまる。
手役も追うため、決まれば大勝、駄目なら大敗といったタイプ。

今回のメンバーでは、斉藤だけが圧倒的に実績・経験が劣っている。

それは本人も認めるところだが、斉藤には勢いがある。

静岡プロリーグ決勝の2日前に行われる帝静戦のプレーオフにも2位通過で進出しており、間違いなく「風」は吹いている。





3位通過 平野敬悟(+155.3)





6年ぶり2度目の決勝進出。

前回は持ち味を充分に出せたと思うが、結果はついてこなかった。

帝静戦も含めると通算7度決勝の舞台に上がっているが、不思議と優勝はまだない。



局面に合った正確な打牌が持ち味で、その実力は静岡支部員の誰もが認めるところ。

しかし、よく言えばお手本のような麻雀であるが、裏を返せば意外性がないため、対戦相手にとってはやりやすいと思われてしまうのではないだろうか?



決勝では必ずどこかで勝負どころが訪れる。

そのときに「理」だけでなく、リスクを承知で踏み込めるかがカギとなる。



4位通過 鈴木秀幸(+154.2)





今回のメンバーで唯一の優勝経験を持つ。

他にも帝静戦優勝2回、王位戦決勝2回、新人王戦決勝1回に加え、鳳凰戦では最高でB2リーグまであがるなど、公式ルールでの実績は他の追随を許さない。

鈴木秀の麻雀を一言で表すなら、変幻自在。



基本的には仕掛けで主導権を取ってくるが、その仕掛けの打点が読みにくく、ブラフ気味のものも混ざっているため非常にやりづらい。

もしかしたらこの鈴木秀の仕掛けに惑わされたものがバランスを崩し、優勝争いから脱落するかもしれない。





今回任意で今期の静岡プロリーグ参加者に優勝予想アンケートを取ってみた。

結果は以下の通り。



回答者10名 本命◎対抗○



鈴木郁孝 ◎1○3

斉藤隆 ◎2○2

平野敬悟 ◎2○2

鈴木秀幸 ◎5○3



鈴木秀を本命に押す声が半数を占めた。

やはり過去の実績を含め、総合力に勝る点で1歩リードといった評価か。

しかしそれ以外は満遍なく印が分かれた。

意外といったら失礼かもしれないが、斉藤の人気には驚いた。
やはり最近の調子の良さに魅力を感じるのだろう。

結果を見ると鈴木秀にやや人気が集まったが、あえて印をつけるならといった印象で、誰が勝ってもおかしくないというのが本音だろう。



それでは展開予想をしてみる。



ざっくりと区別してみると、攻撃型の鈴木郁・斉藤に守備型の平野・鈴木秀といった構図。

鈴木秀は仕掛けも多いため攻撃型のような印象を受けるが、受けに回ったときは絶対に甘い牌は降ろさない。

よく鳴きがうまい人は守備も一流と言われるが、鈴木秀も例に漏れず守備に絶対の自信を持っているからこそ思い切った仕掛けを多用するのだろう。

序盤は鈴木郁と斉藤の主導権争いになりそう。

お互いXで、バチバチにやりあうと決意していた。

この主導権争いを制した者が決勝を有利に進めることが出来るが、ここは鈴木郁に分があるとみる。

両者とも攻撃に特化しているが、アガリの精度という点では鈴木郁の方が1枚も2枚も上。

ましてや捌きの上手い平野・鈴木秀もいるだけに、斉藤にとっては厳しい展開になりそう。

ただここ最近の斉藤の勢いは本当に侮れない。
勢いのまま突っ走ってしまうことも充分にありえる。

平野はこの両者の殴り合いに巻き込まれたくはないだろう。

自他ともに認めるメンタルの弱さがあるため、熱くなって自分の麻雀を見失うようだと勝機はない。
冷静に相手との距離を測って対処していきたいところだ。

そして一番人気の鈴木秀だが、私は正直、今回は難しいと予想する。

というのも対戦相手との相性がよくないと感じるからだ。

鈴木郁・斉藤は自分の道を突き進み、対応しないことで良さが出るタイプ。

変幻自在の仕掛けにも真っ直ぐ向かってこられて、逆に引かされるという展開が多くなるかもしれない。

平野も鈴木秀の手の内は知り尽くしていることだろう。

更に鈴木秀に不利なデータを2つあげる。

過去の静岡プロリーグを調べてみたのだが、現行の制度(リーグ戦上位4名で4回戦の決勝)になってから、4位通過者の優勝がないのだ。

計8回行われているが、1位通過者が4回、2・3位通過者がそれぞれ2回と、リーグ戦でより好成績を残した方が優勝確率が上がっている。

そして2つ目が、毎回優勝者が違うという点。

これは静岡プロリーグの参加人数が多いという面もあるが、見逃せないところ。



というわけで、私の予想は◎鈴木郁○平野とする。

個人的には平野の優勝を見てみたいが、序盤から鈴木郁がリードし、最後まで押し切るとみる。

一応予想はしてみたものの、一発勝負では誰が勝つのか本当にわからない。



4者ともこの決勝に賭ける想いは相当なもの。

悔いのないよう自分の麻雀を打ち切って欲しい。

最後まで熱い闘牌になるのは間違いない!

(見どころ担当 川崎義之)

第19期静岡プロリーグ決勝戦
対局者
鈴木郁孝×斉藤隆×平野敬悟×鈴木秀幸

実況 古橋崇志
解説 藤島健二郎・中寿文

openrec


ニコ生


youtube