ソウル・ヤンジョン高校での授業、その1 | しずえばあちゃんの回想録 “We Can Do It !”

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教師生活35年、子供3人。
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金曜日の夜に韓国から帰国して、この3連休は夏休み前半の研修会等に送る教材梱包と、

たった三日間の不在中と3連休に受けた注文の発送準備に追われて、とても体力を使った。

きっと夏休みに取り組みたいと思ってのことだろうと、頑張った。

しかも、日曜日の16日は茗荷谷の筑波大学東京キャンパスで、

「点字指導」の講演会をやったので、それにも時間を取られた。

 

さて、やっと落ち着いたので、韓国ソウルのヤンジョン高校での様子をまとめてみたいと思う。

 

ソウル市郊外にあるヤンジョン高校は、創立110年と非常に歴史のある男子校で、

しかもかなりレベルが高い高校らしい。

そこで学ぶ生徒が、第2外国語として日本語を選んだクラスでの授業2時間。

 

最近は中国語を学ぶ生徒が増えてきているらしい。

急激な経済成長を遂げている中国の言語を学んでおいた方がいいとの風潮で、

日本語を選択する生徒は、少し下降気味だという。

韓国と日本との政治的な軋轢も影響しているのかな?

でも、日本のアニメは依然根強い人気があり、そこから日本語に入る学生も多いようだ。

 

校舎の様子を写真に撮り忘れたが、格式ある素敵な校舎と、

その教室は日本の高校とは全く違う、まるで大学のような自由な雰囲気だった。

休み時間には、お菓子やジュースなどの飲食可、ビデオを鑑賞していて、なんと自由な!と思った。

 

日本語教室担当のカン・ヘヨンさんは、二つの授業の設定をしてくれた。

1校時目は、高校2年のグローバル系の学生10名との自由会話時間。

2校時目は、高校1年と2年の希望者50名あまり。

 

さて、1時間目、グローバル系の学生10名が車座に机を並べていた。

 

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日本語のレベルをいろいろ聞いた。

ひらがな・カタカナは覚えた?書けるようになった?

漢字で苦労していることは何?

すると、まずは「読み」に苦労しているとのこと。

いくつも読み方があり、混乱し覚えられないようなのだ。

そして、「書き」も苦手で困っているという。

 

10名の中には、日本の大学に留学したいと意欲を見せている子もいた。

明治大学、慶応大学を目指しているんだって!優秀な子なんだろうなあ。

 

まず、1年漢字80字の中の基本漢字40字を確認した。

その読みを訓読み(和語読み)と音読み(漢語読み)で読み上げていった。

訓読みはそのまま日本の言葉として覚えるしかないが、

音読みは、中国から入ってきた音なので、韓国語にも同様な読み方がある。

微妙に発音は異なっているが、それを制覇すれば、熟語はいっぱい読める。

韓国語にも日本人が使う熟語と同じものはたくさんあるので、

それを関連づけてその発音の練習をすればいい。

韓国語にもある熟語群を日本語読みに言えて、その意味を理解すること。

これは他の外国人よりもよっぽど理解しやすいだろう。

 

読みに関しては、そんなアドバイスをしたが、学生たちはまだ十分に理解していないだろうな。

そこで、カン・ヘヨンさんに秘策の資料を渡した。

 

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これは、『視覚障害者の漢字学習』冊子の読みと語例の頁を加工したものだ。

私が韓国語を勉強しだした時、英語のように全く別の言葉ではなく、

音読み熟語の多くがハングルとして読みが残っていることに気付き、

この小学1年冊子が使えると思って、自分用に小さい文字に加工して、

その熟語の下にハングルを必死に書き込んでいった。

韓国語の電子辞書を入手したので、それを頼りに調べ上げたものだ。

 

小学1年の80字だけやったが、それ以後忙しくなってしまったので、続かなかったのだが・・・

その時にやろうと加工した2年・3年の原版もヘヨンさんに渡した。

私の書き込んだ冊子も「まちがいはあると思うが参考に・・・」と手渡した。

たぶん、ヘヨンさんはこの資料を活用してくれるのではないかと思う。

 

「書き」の話は次回にまわして、1時間目の授業風景の様子を少しアップします。

私は日本語で話しているのですよ。でも、ゆっくりとはっきり話すように心がけました。

ヘヨンさんが通訳をしてくれるのですが、さすが日本語を学んでいる学生さん、

私の言葉だけでうなずいてくれる人もかなりいましたよ。

 

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日本語教室の中央に、畳にこたつが設置してあるのがおもしろいですね。


実は、一日前に会ったガイドのキムさんが、私のためにもう一日時間を空けてくれていました。

私が高校へ行って漢字の授業をするというので、興味津々の様子だったみたい。

「明日秘書をしますよ!カバン持ちとして使ってください。運転手にもなります!」

と申し出てくれたので、それに甘えることにした。

キムさんの息子さんは大学生で、日本語を専攻しているという。

だけど、やっぱり漢字に苦労しているらしい。

そんなキムさんにもぜひ聞いてほしい授業だったから、ヘヨンさんにメールで頼み込んだ。

「明日、美人秘書を連れて行ってもいいですか?」 もちろんOK!

そのキムさんがカメラマンもしてくれました。

キムさんはこの二日間、私のために何役も引き受けてくれて、本当にありがたかったです。