久しぶりの母の笑顔 | 白クマの妻は今

白クマの妻は今

外国の白クマを夫にしたら予想外のイケメン子グマが2匹も出てきた。どぉする?

東京は昨日の夏のような陽射しと暑さから一転して

涼しいけれど少し暗い曇り空の朝となった今朝。

この感じがシアトルを思い出させる。

そしてすこしほっとする。<心がシアトル民

 

そんな昨日は母、クマ姑の老人ホームに面会に行ってきた。

 

今までの、過去の3回の面会は惨憺たる有様で、

それは私を数日前からどんよりとした気分にさせ、

果てしなく気を重くさせました。

 

もしも今回も母の態度が悪かった場合、

ケアマネージャーさんと相談してみようと思っていました。

 

駅まで歩いて電車に乗る前から、私の超軟弱な

絹ごし豆腐メンタルは私の心臓をばくばく言わせ、

大鳥居駅に着いた頃には軽い頭痛まで誘発させておりました。

 

良い歳をして情けないったらまったく。

 

唐突な夏日の日差しの下、駅から2キロの道を

とぼとぼと、この日は9千歩以上を歩きました。

 

それは良かったのですが、今年はじめて履いた

夏のサンダルで、両足親指のすぐ下の、猫だったら

肉球の部分に水脹れができそうな痛みとなりました。

 

メンタルだけじゃなくて身体も豆腐レベルであったか。

 

ところが、今回は母がとても明るく元気だったのです。

 

面会では首から訪問者証をかけるのですが、

それには大きな文字で「ご家族さま」と書いてあります。

 

「こんにちは~。会いに来たよ~」と声をかけると、

昼食後にベッドに横になってNHKを見ていた母が

起き上がってベッド脇に座り、しげしげとその訪問者証を

見て言いました。

 

「あなたはご家族さまなの?」

「そうだね。家族だよ」

 

はっきりとのっけから娘と認識しなかった

せいなのかもしれません。

 

とても普通の話をとても普通に穏やかに、

たくさん話すことができました。

 

季節のこと、気温のこと。

窓から見える羽田空港と飛行機のこと。

大相撲の五月場所のこと。

白クマと子グマ兄弟が飼い始めた猫達のこと。

クマ妻姉のお母様の具合が悪いこと。

 

もちろん施設や介護職員さん、食事への文句はありました。

話す内容の半分は事実がめちゃくちゃで妄想もたくさん

入っていましたが、でもそれらもずっと穏やかに

「言ってもしょうがないのよね」と落ち着いた口調でした。

 

大相撲は「お正月からずっと相撲がなかったでしょ。

久しぶりだから見てるけど、知らない力士ばっかりよ」と。

 

大好きだった炎鵬くんはずっと休場中で東序二段百枚目まで

落ちてしまったものなあ。残念でしかたないよ。

 

三月場所を引越し前に見ていたことは消去でしたが、

それでも時々、解説をされる元舞の海関については

「声でわかるよねえ」と言えるくらい、しっかりしてました。

 

「あのね。新しい人が白熊って言うのよ!

だからもう名前だけで応援してるの」と笑ってました。

 

ちゃんと、どこかで繋がっているのです。

消去ではなくて、しまった場所を忘れているだけなのです。

 

「そんな力士がいるんだ!調べてみるね」

 

東十両六枚目の白熊優太さんでした。

 

奇しくも(?)福島県出身(クマ妻も出身は福島です)の

24歳だそうです。

私は相撲はもう見ないけれど(仕事時間中だし)

覚えておきましょうとも。

 

シアトルの白クマ達が飼い始めた猫達の写真を

かわいいね、かわいいねと次々に眺め、

名前がまだないのだと言うと、メスには自分の名前をつけろと

言い出して驚かされました。

 

色々な話を小一時間もしてから辞しましたが、

あまりにもほっとして、しあわせで、反対に涙が出ました。

 

毎回こんなふうであったら、

どれだけ心静かにいられることでしょう。

 

つか、過去3回はなんだったんだ!?

 

面会の後にケアマネージャーさんとお話をすることができて、

過去の面会の様子と、それで私が繰り返し考えていたこと、

今回の面会での母の様子と私の思いを伝えました。

 

「ここにいらっしゃる方々は誰一人として望んで来られる

方はおりません。ですから家族の中でも一番近しい、

娘さんのような方に辛く当たるのはよくあることです。

甘えなんですよ」

 

「新しい場所と生活に慣れるには半年くらいかかります」

 

「ご近所に住まわれている方は週に何度も面会に来られる

方も確かにおられます。でも、クマ妻さんはお仕事も

されていて、こちらにいらっしゃるにも時間も

かかりますよね。他の方も多くは月に1回くらいですから、

無理をされることはないです」

 

最初に。

最初にそれを教えてよ・・・。

 

前回「そんなもの食べるもんか!」と叫ばれた、

差し入れの叩き梅と海苔の佃煮はきれいになくなっていて、

用意してきた叩き梅と入れ替え、かつおの酒盗も

置いてきました。

 

帰り道ではしばらくぶりに魚屋の魚隆さんにも寄って

懐かしい皆さんにご挨拶して笑い合い、

思いもかけず、とても良い面会になりました。

 

再来週はどうでしょう?

まさに、神のみぞ知る、なのですね。