全世界から密かに応援のエールを送ってくださっている
かもしれない子グマ弟ファンの約2.8名の皆様には
申し訳ありませんが、本日の話題は痴呆老人クマ姑の
4回目のショートステイ帰宅後の記録ブログです。
「それはうんざり」な皆様方は1回休みをお勧めします。
夕方4時に送迎車で帰宅したクマ姑を
「クマ姑さ~ん、お帰りなさ~い!」
と迎え入れ、まずは車椅子のタイヤを拭き、
ルームシューズを履き替えさせてから部屋に入れ、
自室はスルーしてまっすぐにリビングに連れて行き、
庭の花を見せました。
これがとにかく「ここはどこか」という記憶の扉を
良い感情と共に開ける最善の方法であると
過去から学んだからです。
「ああ~、咲いてるねえ~」
お天気が明るくてラッキーだった。ほ。
そこから本人の上着などを脱がせ、膝掛けを片付け、
水を飲ませたり水筒の氷水を入れ替えたり、
とにかく通常の生活環境に戻します。
そしてゆっくりと自室に案内し、いかに「すべてが前のまま」
であるかを理解してもらい、少し休む(昼寝する)と。
そこまではほぼ良かった。
「お腹空いてますか~?」の問いかけには、
ほぼいつも通りの
「あそこでは何も食べるものはでないからねえ」的な
無茶苦茶な返答があり、
「じゃあここのおやつを食べてくださいね~」と
うながして私は退散。
ここまではまずまずでした。
テレビの音もせずに3時間ほど過ぎたので
緊張がほどけて疲れが出るパターン通りと思われました。
ところが私が夕食を作り始めると部屋から出てきて
トイレに行く音と気配があり、いつも通りに
「こんばんは~。大丈夫ですか~?何か手伝いますか~?」
という声かけからがちょっとしたカオスでした。
状況を要約してしまうと、どうもこの狂ったばあさんは
「ショートステイ先で一緒にいらした方々がひどい風邪か
病気を患っており(コロナかインフル?)、
それを移されたので高熱が出ていてベッドで七転八倒し、
ベッドに吐いてしまい服も部屋中がコンタミ状態であり、
私にも移してしまうと一緒に明日死んでしまうので
近寄ってはいけない」
というせん妄を見たらしい。
本人に近づこうが手を貸そうが部屋をチェックしようが
ぎゃあぎゃあとわめくし叫ぶので非常にやりにくい。
自分ももう死ぬし、移したら私も死ぬ、と。
当然、いくら「大丈夫ですよ~」と繰り返そうが
このヒトは反対に私が狂っていると信じているわけです。
(非常にタイミングの悪いことに、私は前日から花粉症で
鼻水とくしゃみが止まらないので、これを「移った」と
思われては困るため、いちいち視界に入らないところに
行ったり水道の音で誤魔化して鼻をかむのに
本当に苦労しました)
ベッドの布団は確かにいつもよりもほんの少し
乱れておりましたが特記するほどのことは何もなく、
枕に重ねている浴用タオルには、よくよく見ればヨダレか?
という程度の汚れがちょびっとありましたので即交換。
帰宅後、部屋に連れて行った時に寒いというので着せた
ユニクロのフリースジャケットが脱いであったので、
またもや寒い寒いと繰り返す母にそれを再度、
着せようとすると、それは自分の吐瀉物でひどくなっている
からダメだと言う。
不在時に洗濯したままで非常にきれいなのを確認し、
「きれいですよ~」と言っても取りつく島もなし。
トイレで延々と痰というよりもただのつばをカップに
吐き続けること30数分。<この音、マジでトラウマです
そろそろ夕食も出来上がったので
「水分と塩分を摂りましょう。薬も飲みましょう」
と声をかけると「アンタは狂ってる」という反応。
ははは。逆なんですけども~。
「少しだけでも食べると良いですよ~」
「じゃあおかゆだけにして。
あそこのご飯は硬くて飲み込めなかったわ」
施設からの報告書には朝昼晩、主食は完食で副菜は8割と
いうことでしたが~。
なんとかかんとか半分無理矢理に食卓に付かせました。
メニューはクマ姑の好きなものづくし。
刺身(アジ、イワシの酢〆、ホタルイカ、ブリトロ)
筍の味噌煮
ゆでブロッコリー、マヨネーズ
味噌汁(じゃがいも、舞茸)
白菜漬
軟飯150g
「熱もあって震えが来てるのに
こんなの食べられるわけないでしょ!」
と、クマ姑はおかんむり。
ああ、じゃあ熱を計ってみましょうね~。
36.6度ですね~。平熱ですよ~。
お味噌汁だけでも飲んでみましょうか~?
水分と塩分を摂るときっと少し楽になりますよ~。
筍が新しくて昨日買って茹でたんですよ。春ですね~。
アジもイワシもきらきらしてるでしょう?
今、切ったんですよ~。
ちょっと味見してみてくださ~い。
なるべくご本人様を無視してにこにこと語りかけ、
私自身も内心では「やってられっかよ。あたしゃ食うよ」と
ぱくぱくやり始めたら、ちょこちょこと手をつけ始めました。
ま、結局はブロッコリー以外全部ぺろりと平らげました。
栄養ばっちりで大変に結構でございます。
後で薬を持っていきますからね~。
疲れたんですよ、きっと。
テレビでも見てリラックスして休んでくださいね~。
夜の薬を飲ませに行くと、
「薬ね、飲ませてくれないのよ。今日はこれが初めてなのよ」
と施設の悪口を嘘八百で言いたい放題。
毎回同じことを言いますから私の推測はこうです。
クマ姑の薬は1日2回で通常は昼1時と夜10時に飲んでいます。
施設では朝早く起こされ、食事も朝昼晩と3回なので、
きっと薬は朝と夜になり、昼には出ません。
他の方々が昼も飲んでいるのに自分には来ない、
という悲観的な思考が何よりも強く残るのでしょう。
それで朝と夜飲んでいるものは記憶から消去されるのです。
認知症患者は悪い感情だけの記憶が残るというのが
定説ですので、これはまさに典型ではないかと思っています。
翌日は11時すぎに起き出してきてトイレに行ってましたが
「眠れましたか~?」と声をかけるとすっかりごきげんで
「よく眠れたのよ~」と言うので、もう暑い寒い風邪だの
コロナだの移されたの移すの死ぬの終わりだの(以下略)
といった単語も話題も絶対に出しません。
それは終わった夢の話なのです。
ただ、昼食を食べてから薬を飲む時になって
「あそこへ行く時の薬の用意はどうした?」と聞かれたので
「毎日の分を入れましたよ~」と答えました。
すると「1回も飲ませてくれなかったのよ!盗られたのよ」と。
ああ、このヒトは自分はお金はないというのはよ~く
わかっているので、お金を盗まれたとは一度も言いませんが、
薬は大事なんでしょうね。
小分けしたチャック袋がちゃんと全部カラになって
戻ってきてましたとも。
そんなことを言っても怒るだけですから、
「あら~、なんでしょう。それはつらかったね~」
とご狂人さまをいたわって会話終了。
次なる春の花の話に話題を転換です。
まあそれすらも恐ろしく噛み合わないことがままですが。
とりあえずは無事に帰ってきた、と。
それで私は良しとします。