痴呆老人の駄々のこね方とその上を行くプロ | 白クマの妻は今

白クマの妻は今

外国の白クマを夫にしたら予想外のイケメン子グマが2匹も出てきた。どぉする?

*「痴呆老人」ブログ注意報発令中*

(本日は痴呆症あるあるなクマ姑の現状報告ブログです。

「またかよ~」な皆様方は1回休みをお勧めします)

 

クマ姑はここしばらく、クマ妻の兄夫婦の息子である

クマ妻甥(初孫)と子グマ弟を混同していて、

子グマ弟が結婚したと信じている。

 

どうもしばらく前にこのクマ妻甥の結婚式の写真を

一緒に見た時の印象が強く記憶に残ったらしく、

多分、この甥っ子の記憶は消去されているため、

それでは見たものに説明がつかないので

子グマ弟ということにしたのだと思う。

 

これはちょっと話を合わせられないので、毎回

「それはクマ妻甥くんだね~。子グマ弟はまだ22歳で

独身ですよ~」と説明し直さねばならない。

 

非常にうざい。

 

子グマ兄が来ていた間も折々に

「子グマ弟くんは結婚したんだから

もう子グマ兄くんとは一緒に住んでないでしょう?」

と言って子グマ兄を困らせていた。

 

子グマ弟にもその辺をしっかり説明しておかないと。

 

というわけで無事に子グマ弟は羽田空港に到着し、

時差ボケボケながらクマ姑とも対面し、

孫と認識できて万々歳。

 

そんなクマ姑だが、昨日は実に1年数ヶ月ぶりに

訪問歯科医の診察と治療があり、それが大騒ぎだった。

 

クマ姑は医者も病院も大嫌いになってしまったのだが、

薬は大好きなので「処方箋をもらえないよ」と言うと

仕方なく訪問診察の医師を受け入れる。

 

それが歯科医となると「絶対に嫌だ!」と言い続けた。

 

歯はろくに磨かないし、部分入れ歯もあるのに

「合わない」と言って使用拒否して何年にもなる。

 

しかし、数日前に前歯の1本が欠けてしまい、

これはどういう状況なのか診てもらうしかあるまいと

判断して訪問歯科医を手配していただいた。

 

前々日あたりからじわじわと説明していたのに、

当日、医師がやってくる直前になって「嫌だ!」と

大騒ぎが始まってしまった。

 

「歯医者にはずっとだまされた!

何もしないのにちょっと触るたびに百万円ずつ盗られた!

歯はもうどうでも良い!困ってない!

そんなのを呼んだら大変なことになる!」

 

もう言いたい放題の嘘八百。

 

私の知る限り、江戸川の小松川に住んでいた時は

近所の歯医者さんで長く丁寧に診ていただいていた。

いったいそこから何があったのか?

どこで記憶がよじれたのか?

私には一生わからない謎だ。

 

当の歯科医がアシスタントの方とふたりでお越しになり、

ベッドに腰掛けたクマ姑をいざ診察となったのだが、

そこでもあろうことか、このクソばばあは私に言った

上記の文句をまったく同じようにぎゃあぎゃあと

わめき始めたのだ。

 

私はあぜんとなった。

穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった。

 

しかし、そんな私を更に驚かせたのは、

私と同年代に見えた男性歯科医だった。

 

「いや~、それは大変な経験をされましたね~。

私はちょっと診察をするだけですから見せてくださいね」

「痛くないですよ。すぐですからね」

「そんな同業者がいたとは困りものです~。

ひどい話ですね~」

「あ~、この歯ですね~。ちょーっとだけ尖って

残ってしまってるところを丸く削りましょう。

そうすれば食事中に舌を傷つけて

しまうこともないですから。すぐです、すぐ。

3秒。いや、5秒です。本当です」

 

非常におだやかに話しかけ続け、治療には

「は~い。い~ち、に~い、さ~ん」

という具合で、本当に「ご~お~」で終了。

 

欠けた歯は差し歯が取れた状態だったらしく、

神経ももうないので痛まないし虫歯もない、と。

 

「いや~、クマ姑さんは素晴らしい。

このお年でまだご自分の歯がこんなにたくさんある。

もう他の皆さんは総入れ歯ですよ~」

 

素晴らしい。

 

認知症の狂人高齢者の扱いがまさにプロ。

 

真剣にその辺の極意を特別料金でご教授願いたいと

思ったくらいだ。

 

ああ、よかったね。よかったね~。

と、クマ姑をなだめてから歯科医ペアを玄関にて見送り、

重々陳謝し感謝の意を伝えた。

 

「また何かあったら呼んでください」

先生は最後の最後まで見事に穏やかに丁寧であった。

 

仏様か、あなたは・・・。

 

まったくもって、頭が下がるばかりであった。