子グマ1のフラッグソリュート | 白クマの妻は今

白クマの妻は今

外国の白クマを夫にしたら予想外のイケメン子グマが2匹も出てきた。どぉする?

子グマ1も2も、地元小学校からの宿題で、図書室の本を
毎日のように持ち帰ってくるようになった。
こちらの学校でも、「読書」を必死で推奨しているらしい。

しかし、我が家の子グマたちは英語の本が「読める」などと
いう言語レベルでは全然ないので、彼らが持ち帰ってくる
本は、クマ妻が彼らに、赤ん坊の頃読んでやっていたような
絵本である。
彼らの先生が、指定したレベルの本である。

2人揃って、似たようなレベルの本を持ってくる。
これを、夜な夜な、クマ妻が2人を両脇に座らせて、
翻訳しつつ、読んで聞かせるわけだ。

で、彼らにもクマ妻の読みを真似させる。
こんな事しか、できるわけがない。

「走れ!犬達よ、走れ!」とか、
「あかいボール、あおいボール、きいろいボール」とか、
まあ、そんなレベルの絵本ばかりだが、
先日、子グマ1が持ち帰って来た奴は、
日本でも訳書が出ていた記憶のある「おばあちゃんとボク」
シリーズの中の1冊で、「僕は妹にジュースをあげる」とか、
「お父さんを手伝って庭木を刈ってあげられる」とか、
まあ、日本で言ったら、中学生の教科書レベルの文章が
並んでいた。

それを、子グマ1は、かなりたどたどしいし、
単語の発音もおかしいが、8割方読めるようになっていた。

ええ!? いつの間に!?

シアトル生活5ヶ月。
やつらはついに、初めの壁を越えていたようだ。

クマ妻が24年前に初めてアメリカに来た時は、
最初に越えた壁がヒアリングの壁で、3ヶ月かかった。
意味も文法もわかりゃしないが、急に、本当に突然に、
喋ってる人の言葉が、単語として聞き分けられるように
なったのだ。

子グマ2に至っては、読み書きは全然だが、
耳と会話が急速に進化しているようで、
「ワッアーユードゥーイン?」から始まった、
めちゃくちゃな英会話が、最近は結構複雑化し、
「ご飯の時間だよ!一緒に食べよう!」とか、
「お茶に氷入れてほしい?」とか、
それなりに進化した文章を、先日、客人に喋っていた。

えっれ~驚いた。

毎日、現地小学校の下校時に、車での帰宅中、
「学校、大丈夫か~?困った事ないか~?」と話すが、
子グマ2は涼しい顔で、「大事な事はみんなわかるよ」
などと言うので、「・・・ほんとかよ~?」とクマ妻は
驚く。

もちろん、わかっているわけがないのだが、
そう「言える」自信がついて来てるって事自体がすごいと
思うのだ。

以前にこのブログにも書いた記憶があるよ~にも思うが、
小学校では(高校でもだけど)、毎朝、朝礼の時間に
全校児童が起立して、各教室に必ずあるアメリカ国旗に向かう。
右手を左胸にあて、「フラッグ・ソリュート」と言う
一種の宣誓を合唱する。

Flag salute
I pledge allegiance to the flag of
the United States of America,
and to the Republic for which it stand,
one Nation under God,
indivisible, with liberty and justice for all.

それ自体は短いものだが、24年前、クマ妻は訳が分からず
目を白黒させた記憶がまざまざと蘇る。

子グマ1の為に、小学校登校開始直後、クマ妻はこれを
英語で書き出し、カタカナで読みがなをふり、
日本語に訳して聞かせた。

国旗に向かって、正しきアメリカ国民であるために、
みなに正義がなされ、神の元に自由を・・・
みたいな事を誓うわけだが、この内容に関して、
子グマ1は「・・・ちっともアメリカじゃないじゃない」と
のたまって、クマ妻を苦笑させた。
渋いガキである。当たってるけど。

ま、それはそれとして、先日、子グマ1は
「あ、あれ、覚えたよ」と言って、へたくそながら、
ちゃんとソリュートを暗唱してみせてくれた。

あんたもやるじゃん。

嫌だ嫌だと言いながら、やはり、必要に迫られれば、
なんとかやるんだなあと、クマ妻は思った。

日本の小学校のクラスメートから、先日、盛りだくさんな
内容の手紙が届き、普段、とてもクールな奴だと思っていた
子グマ1が、むさぼるようにしてそれらを読み、
「全員に、ひとりひとりに返事が書きたいよっ!」と
言った時には、クマ妻はショックで涙が出そうになった。

もちろん、実際には、「字を書くのが大嫌い」な子グマ1は
かろうじて便せん2枚の返事を全員にあてて書き、
あとは、色々と同封する地図を作ったりなんだりで
「お返事作成」は終わった。

ここまで来ると、やはり、名実共に、クマ家はシアトルの
生活に落ち着いて来たと言えるのかもしれない。
そして、そうであるとすると、やはり、次なるクマ妻の
試練は、「就職活動」であると思う。

小学校に送り迎えが必要な子グマたちを抱えていると、
本当にフルタイムの就職は可能なのか?とか、
パートで探すとなると、デザイン関係の職場を望めるのか?
とか、まあ、心配はつきないが、じわじわとスタートを
切ってみたいと思う。

クマ妻は、本来、怠惰なクマだから、
「がんばろう」と思わないと、頑張れないのだから。


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