本当に見に行って良かったです。
信じられない記録を目前で見る事ができました。
今年の日本短距離界のニュースでは、世界ユースでのサニブラウン・ハキーム選手のボルト越えの2冠がトップになると思いますが、女子のニュースではこの東京高校の高校新がトップニュースになるのではないでしょうか。リレーでは、国体京都チームの44秒79の大会新、世界陸上での4×400mリレーの日本新などもありましたが、個人的なビックリ度では、4×400mRの大幅な日本新をも上回ります。
前日の日本選手権リレーの予選で、不滅の高校記録かと思われた埼玉栄の45秒23を更新する45秒08をマークすると、昨日の決勝ではさらに0.6秒も更新する44秒48というとんでもない記録を打ち立てました。これは単独チームのみならず日本高校選抜を含めても新記録です。
◆2015日本選手権リレー 女子4x100mR決勝 東京高校44.48ジュニア日本新 東邦銀行44.48 渡辺真弓ラストラン
■高校歴代ランキング(学校別、年度別)
2012年までは45秒台は92年の埼玉栄の45秒72だけでした。いわば不滅の記録でした。それを土井杏南さん擁する2013年の埼玉栄が21年ぶりに大きく更新したのが、45秒23。土井さんは陸上競技で戦後史上最年少でオリンピックに出場した突出した選手です。4×100mリレーと個人の100mで中学・高校全てのレコードホルダーです。45秒23はその年の埼玉栄のなかでもずばぬけた記録だったので、これはもう破られないんじゃないかと思っていました。
それを東京高校が予選で45秒08に更新した時点で驚異的だったのです。たださすがに44秒台は難しいと思っていました。インターハイもそうでしたが、決勝でタイムを伸ばす事はなかなかないですし。
それが44秒48です。0.6秒も更新してきたのです。これは選手達も目標にすらしていなかったタイムでしょう。
記録を抜かれた土井杏南さんのツイート
これは東京高校が予選で45秒08を出した後でのツイートです。土井さんが目指すと言った学生記録は福島大学の44秒80です。決勝ではそれをも大幅に更新したのですから、もう笑うしかないといった心境でしょうか。
例によって個人の持ちタイムの合計と比較してみます。
※(個人のタイムの合計)-(リレーのタイム)=利得タイム
※個人のタイムはその時点での自己ベストです。
★1992年日本高校選抜
伊藤佳菜恵 11.83
柿沼和恵 11.75
庄司奈実 12.07
金子朋未 11.79
合計タイム 47.44
リレータイム 44.90
利得タイム 2.54
★2015年 東京高校
福田真衣 11.83
上村希実 12.17
エドバー・イヨバ 11.66
合計タイム 47.86
リレータイム 44秒48
利得タイム 3.38
やはり利得タイムも驚異的ですね。バトンパスの精度という事ももちろんありますが、メンバー全員が個人の持ちタイム以上の走力があると考えるのが当然ですかね。
後は春の段階で44秒台を目指すという高い目標を立てていたのも大きいと思います。
改めて目標を掲げるっていうのは大事だなとも思いましたね。
1走の斉田さん。インターハイの予選ではメンバー落ちでしたが、準決勝から起用されるとチームに安定をもたらしました。
2走の福田さん、こないだの日本ユースで自己ベストも更新し、絶好調でした。大阪成蹊の中村水月さんにも負けてませんでしたね。来年はエースとしてインターハイの100m制覇を狙うでしょう。もし優勝すればエドバーさんの連覇に続き、東京高校3連覇ですね。
エドバーさんは日大に進学との情報がありましたが、上村さんも一緒なのでしょうかね。一緒に行って欲しいです。上村さんも100mでは短いけど、200mは長い、しかしリレーでは無類の強さを発揮する「リレー職人」ですね。東邦銀行のゲームチェンジャーである青木沙弥佳さんに負けてなかったですね。
今大会で東京高校の後塵を拝した大学生チームも、それぞれチームベストを更新するなど良いタイムではありましたが、これを刺激に受けてもっと高みを目指して欲しいですね。
また、今回の44秒48は世界ジュニアだと、2012年で4位、2014年で3位に相当するタイムです。
壹岐いちこさんや柴山沙也香さん、中野真琴さんに川村知巳さんなどタレントは揃っているので、環境がかわる年ではありますが、ぜひ来年の世界ジュニアで結果を出してほしいですね。社会人1年目で迎える東京オリンピックに出場する為にも大事な事でしょう。
今シーズンのエドバーさんは、インターハイ、国体、ジュニアの3冠とインターハイと日本選手権リレーの4×100mRの5冠です。ものすごい成績ではあるのですが、正直なところ潜在能力にまだパフォーマンスが追い付いていないという印象でした。
また、競り合いになった時に固くなる傾向も見受けられたのですが、今回は凄かったですね。迫力がありました。今回渡辺さんを差しきった事はエドバーさんにとっても大きな自信になった事でしょう。来年はオリンピック標準記録を狙って欲しいです。