元三大師関連寺院(一)【10】臥龍山 安養院(東京都品川区五反田) | 遊行聖の寺社巡り三昧                            Yugyohijiri no Jishameguri Zanmai

さて話は、前段の『オモシロ絵馬』蛸薬師(追補)、6月1日遊行の続きとなります。

目黒不動尊への参道を東急不動前駅から歩いて行くと、蛸薬師、五百羅漢寺、そして今回の安養院があり、右へ曲がると目黒不動尊の山門が見えて来ます。

ところが安養院はこれまで三度訪ねているものの、大々的に宣伝する永代供養の室内墓を設えた近代的な建物に圧倒され、未だ本堂を参詣したことがありません。

大好きな慈覚大師円仁開山の天台宗寺院ですが、「ここは観光寺院ではありません」と叱られてしまいそうな雰囲気と寺院らしからぬ建物の威圧感があるからです。

ところが「寝釈迦寺」と称される寝釈迦本尊があり、北インド・チベット仏教美術館もあるそうで、どうして開かれた寺院を目指さないのか不思議に感じてしまいます。

もちろん元三大師グッズがあると言う情報も一切無く、目黒不動尊への通路として寺内の奉納石仏を参拝するぐらいの寺院であると認識していました。

山門の手前には、狛犬と呼んでいいのかわからない巨大な中国風石像が左右に置かれており、これだけのものを衆生に説明しないのは却って残念であると感じました。

また古くに奉納されたかと思われる不動明王は、火炎光背が棄損してしまっていますが、矜羯羅・制吒迦童子を岩座の下に置くスタイルは庚申塔の影響があるのかもしれません。

新しいものの、実物大不動明王石像もなかなか迫力があると思いました。

そんな感想を美月と話しながら歩いていると、初めて木陰に小さなお堂があることに気づきました。

如意輪堂です。

おやっと思って中を覗いて見ました。

「おおっ!!」

如意輪好きな私はその金色に輝くアンニュイさにすっかり目を奪われてしまいました。

ところが視力が良い美月は、「如意輪の手前にいる・・あれは・・角(つの)ちゃん?」と目を丸くしました。

安養院に角大師がいるはずもなく、赤い前掛けをつけているので「地蔵じゃないの?」と答えると、「よく見てよ、角があるよ」と美月が執拗に繰り返します。

「げっ、マジかっ??」

確かに角は短いものの、肋骨の浮かせ方と内臓の彫り方、そして両脚の組み方からしてこれは角大師像に間違いありません。

「おお、これは元三大師研究史上の大発見だよ」

さすが美月、元三大師研究家である私のアシスタントとして20年、安養院が気づいているかわかりませんが、関東で二体目の木像or石像角大師ではないかと興奮しました。

(石碑像のような浮き出し形は深大寺他で散見されます)

ちなみに一体目は、以前にご紹介した私の菩提寺となった川崎市高津区にある祇王山妙法寺の角大師木像です。

信憑性を高めるのは、元三慈恵大師良源が如意輪観音の化身とされていたことです。

是非、元三大師専門家の皆様からご意見をお待ちしております。