悪は存在しない | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

先日の水曜日。横川シネマで『悪は存在しない』を観た。

 

 

 

第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』(2021)の濱口竜介監督の最新作である。

 

山奥の小さな町で自然と共生するかの如く静かに生活している男・巧とその幼い娘・ハナ。そんなある日、この町にグランピング場建設計画の話が持ち上がる。だがこの計画内容は自然破壊に繋がりかねない杜撰さで、要するにコロナ騒動で経営が赤字になった芸能事務所が政府からの助成金欲しさにデッチ上げた場当たり的な計画であったのだ。

 

普通ならば山奥の住民と芸能事務所がバチバチやり合うエンタ的な展開になる所だが、濱口監督作品なのでやはりそうはならない。ひたすら会話する様が、ひたすら日常過ごす様が捉えられるだけ。山奥の風景こそが主役みたいな撮り方は、黒澤明監督が旧ソ連に招かれて撮った『デルス・ウザーラ』(1975)を思い起こした。

 

本作のタイトルも妙にエスプリじみている。まあ、確かに分かりやすい“悪”は本作には存在しないし、それは“善”もまた然り。本作に存在しているのは、せいぜい弱き心を持った愚者共である。

 

しかし、本作のラストでの巧の唐突過ぎる行動はさすがに理解し難かった。一応考察じみたものを読んだりしたけど、それでも腑に落ちることはなかった。

 

ともあれ、ハナ役の西川玲ちゃんが可愛かった。正直申すと、この可愛さに釣られて観に行ったようなものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Ameba映画部