先月、筥崎宮の蚤の市(風の市場)で見かけたツボ。
「千と千尋の神隠し」で、
千尋が湯婆婆の部屋に行く(行かされる?)時に
廊下に置いているものと同じものです。
(写真ジブリよりお借りしてます)
映画を見た時も思ったのですが、
このツボ。
佐賀県に住んでいた時(20年以上前)
子どもの通っていた小児科に置いてあったのです。
サイズは私よりも背が高かったので
150〜200センチくらいでしょうか。
まあまあの存在感です。
(骨董市で見たものは100センチあるくらいでしょうか?
湯婆婆のところは巨大なツボですが)
小児科では色々なワクチンを打ちますが、
打った後30分ほどは病院で待機しないといけません。
(急変があったらいけないので)
待合室はいつも人が多いので、
ワクチン待機の人用の部屋があったのですが、
その部屋にこのツボがありました。
広い空間に、ツボだけが端にちょこんと。
注射の後は大人しくしていないといけませんが
子どもは乳幼児ですから、動き回ってしまう子もいます。
ツボにドーンと当たって、
割ったらどうししょう!とドキドキしていました。
(弁償となった時に値段は?!などなど)
この部屋には小さな子が来ることはわかっているのだから、
ツボをここに置かなくてもいいのでは〜と、思いつつ
さすが佐賀県、焼き物が盛んだなあとも思っていました。
今ならスマホでその写真を撮っていたでしょうが、
昔は無かったので(ガラケーはありましたが)
ツボは私の記憶の中にしかありません。
夫に聞いても「知らん〜」とのこと。
(子どもならなおさら)
でも確かにあったんです、この大きなツボが。
こちらの病院の先生にはとってもお世話になりました。
子どもたち2人とも風邪気味になると
すぐに脱水症状になり、夜も眠れないほどの咳が出ていました。
なので、病院ではいつも点滴で水分補給をしてもらっていました。
乳幼児が点滴をするのは、手の甲や足の甲に針を刺します。
すごく細い針のようでしたが、
ちょっと角度が変わるだけで、
点滴が止まったり、
順調に流れたりするので、
テクニックがいるようでした。
(綿を重ねて調整されていました)
子どもを親が抱っこして、見えないようにして
手や足から点滴してもらっていました。
点滴が終わったら家に帰りますが、
毎回先生が
「もし夜中でも日曜でも、
調子が悪かったら、いつでも病院に来て良いんですからね」
と言ってくれたことが心に残っています。
そう言われると、ありがたいけど迷惑はかけられないなあ、
自分で頑張れるところまでは頑張ろうかなと思いますし、
「もし、何かあっても、頼れる人がいるし」
と思えたので必要以上に不安にならず実際に病院に行くことはありませんでした。
(本当に子どもの具合が悪いなら別ですが)
子どもの病状も土日は安定していました。
親の気持ちがうつるのでしょうか。
佐々木正美先生の本
『子どもへのまなざし』
にも似たようなことが書かれています。
夜泣きについて
「いいよ、泣きたいだけ泣きなさい。あなたのために私がいるのですよ」
と言えばすぐに泣き止む。
子どもに対して「私のためにあなたがいる」という気持ちに時々なれたらいいですね。
「眠いのに、今夜も起こされた」と感じてイライラするのは、
自分ひとりでこの子に立ち向かっていると思っているとき。
自分ひとり、という気持ちになってしまうのがいけない。
医者は、お母さんに対して
「あなた自身が不安やいらだちをもってはいけません」とは言わない。
「いつでも電話して」と言う。
母の不安をどのようにすれば除いてあげられるか、が大切だと。
いつでも相談にのってもらえる人がいるという、この安心感が大切。
幼い子どもというのは、日常の多くの場面で、親の思い通りにはならないものです。
よく泣くし、おねしょはするし、聞き分けはないし、そのほかさまざまな点で、幼いときから親の思い通りにはならないものです。
夜泣きの多い赤ちゃんのお母さんに
「心配なことがあったら、24時間、365日、どうぞ私のところに電話してください。私には十分な能力があるわけではないけれども、私にはたくさんの友人や知人がいる、すぐれた医者もいる、乳児の専門家もいる。だから、私にできないことはいっぱいあるけれども、どこのだれさんにお願いしたらいいですよ、というようなことは、いつでも教えることができますから」
この母親の不安をどのようにすれば、除いてあげられるのか、ということを考えます。
これだけでも、かなりお母さんには安心なのですね。
そうすると、電話がじゃんじゃんかかってきて困るかというと、そんなことはありません。
すこしは電話がかかってくるかもしれませんが、それだってたいしたことではないのです。
でも、いつでも相談にのってもらえる人がいるという、この安心感が大切なのです。
この安心感は、なにも医者だけに求めるものではなくて、「なにかあったら夫婦で協力して一生懸命にやれますよね、お父さん」「そうだよ、お母さん」と言う関係が、夫婦にも必要なことでしょう。
お隣だって助けてくれるし、というような気持ちを、日頃からもって生活している人は、それだけゆったりしていますからね。
そんな気持ちを心がければ、育児不安なんかは、もっともっと少なくなっていくと思いますね。
ツボを見ると病院を思い出します。
ハラハラしたことと、
良い先生だったな〜
ということを。