拡大するBRICS | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新興のBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が世界の注目を集めている。

 

20カ国から成るG20は1999年に始まったが、これは、G7にロシア、そして当時新興国と呼ばれたアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、サウジアラビア、南アフリカ、トルコを加えた集団である。これら12カ国が、その後目覚ましい経済発展を遂げたことは周知の通りである。

 その国々の内、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国を、国の頭文字をとってBRICSと呼ぶが、これらの国々は、2000年以降に大きな経済発展を遂げたことが特色である。

この集団は、南アフリカを除く4カ国で2006年に発足し、2009年には首脳会議を開き、2011年には5カ国のBRICSとなった。「グローバルサウス」と呼ばれる「南」の新興国・発展途上国の代表として、欧米日先進国(G7)に対抗する勢力に成長した。

 G20 では、議長国がインドネシア(2022年)、インド(2023年)、ブラジル(2024年)、南アフリカ(2025年)とグローバルサウスが連続して務めることになる。

 

 BRICSに、今年、サウジアラビア、イラン、UAE(アラブ首長国連邦)、エチオピア、エジプトが新たに加盟する。これらの国は、各地域における大国である。実はアルゼンチンも加わる予定であったが、昨年12月に就任したミレイ大統領は、親米・反中国の姿勢を鮮明にし、加盟申請を撤回した。

 加盟国が倍増すると集団としての重み、そして多様性は増すが、分裂の要因もまた増えることになる。

 とりわけガザでイスラエルとハマスの戦闘が続いている状況下で、ハマスを支援するイランの加盟は、拡大BRICSの反米的色彩を濃くする。しかし、一方では、親米的なサウジアラビア、エジプト、UAEも加わるし、インドのモディ首相はイスラエル寄りである。

ロシアのウクライナ侵攻に対して、BRICSは制裁を加えたり、厳しく非難したりしていない。中国はロシアと友好関係にあり、南アフリカはロシアと合同軍事演習を行い、インドはロシアから武器を購入するなどしている。

 ウクライナ戦争勃発以降、グローバルサウスが流行語のようになった。G7はロシアの侵略行為を批判し、ロシア、中国、北朝鮮などの権威主義国家は、アメリカの1極支配を非難する。

 この両者の間で曖昧な態度を取っている発展途上国や新興国をグローバルサウスと呼ぶようになったのである。

今年のBRICSの議長国はロシアであり、ウクライナ戦争をめぐっても加盟国の思惑が異なり、親露路線を鮮明にしているイラン以外は、いずれも立ち位置を曖昧にしている。

 

 拡大によってBRICSは深刻な内部対立をかかえることになる可能性があるが、BRICSが、アメリカの一極支配、パックス・アメリカーナを揺るがす存在としての重みを増していくことは確かである。

欧米という「北」の先進国による支配に対して、BRICSに集う「南」の国々が増え、グルーバルサウスとして発言力を強化することは、多くの発展途上国の共感を呼ぶ。

 また、中東の石油産油国が加盟することで、資源エネルギーの観点からもBRICSの重みは増す。ロシア、サウジアラビア、UAE、イランが共同で、石油戦略を発動すれば、世界は大きな影響を受ける。

 さらに、これまでは南アフリカのみが加盟していたアフリカにおいて、ともに人口が1億人を超えるエジプトとエチオピアという二つの大国が新たに加盟することは、アフリカに対するBRICSの関与も深めることになる。

拡大BRICS の今後の動向を世界は注視している。