人口が減少する日本・・どう対応するのか、移民受け入れも選択肢。 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 7月26日、総務省は、住民基本台帳に基づく人口動態調査を発表した。それによれば、2023年1月1日時点での日本人の人口は1億2242万3038人で、前年から80万523人減少した。減少幅は過去最大で、1973年の調査開始以来、初めて全都道府県で前年より減少した。昨年1年間の出生数(77万1801人)から死亡者数(156万5125人)を引いた自然増減数は、マイナス79万3324人である。

 転出者が転入者を上回る「社会減」は、コロナ禍では減っていたが、感染の収束と共にまた増えており、東京一極集中の傾向が強まっている。

 外国人は、全都道府県で増えている。増加数のトップは東京都で、58万1112人で前年から6万3231人増加した。外国人を含めると、東京の総人口は増えている。外国人の増加が日本人の減少を補っている形だ。

 国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によると、2067年には総人口の10.2%が外国人になるという。

 岸田首相は、「異次元の対策」と称して少子化対策に全力を挙げているが、期待通りに進むと考えるのは楽観的に過ぎる。少子高齢化の傾向は今後も続き、働き手の不足が問題となる。日本人全体の中で、働き手、つまり生産年齢人口の比率は59.03%である。6割にも満たないが、これからもこの傾向は続くであろう。

 少子化が大問題となっている中国や韓国でも事情は同じである。これに対して、アメリカは楽観的である。それは、移民の流入で若い人口が増えているからである。

 この国際比較を念頭に置くと、少子化の解決策として移民、つまり外国人労働者の受け入れが考えられる。多様な才能を持った外国人が到来することは、多くの利点がある。スポーツ界や芸能界では、外国人を親に持つ人たちがすでに大活躍している。しかし、マイナスもある。

 ヨーロッパでは、第二次大戦後の高度成長期に、労働力不足を補うために外国人労働者を大量に受け入れた。それで人手不足の解消にはなったが、社会に亀裂を生む大きな問題も生じた。イスラム教の信仰や風習がキリスト教社会と異なり、それが偏見や差別を生んだ。そして、不況になると、外国人労働者がまず犠牲となって失業し、犯罪に走ったりした。テロも多発した。

 今や、戦後直ぐに到来した移民の2世、3世が活動する時代となっている。彼らは、生まれ育ったヨーロッパと父祖の生活習慣との間で「アイデンティティーの危機」に悩んでいる。まさに文化摩擦、文明の衝突である。

 昨年2月以来のウクライナ戦争で、ヨーロッパの人々は物価高に悩み、多くの不満が高まっている。そして、その不満は移民に向けられ、移民排斥をうたう極右政党が台頭している。また、差別された移民がテロに走るという事態にもなっている。

 日本が移民を大量に受け入れた場合、好況の時は問題が起こらなくても、不況になると、ヨーロッパと同じような事態になる可能性がある。そのリスクをいかに回避するのか。外国人労働者の日本への定着には越えなければならないハードルが多々ある。しかし、日本が今後も活力を維持していくためには、移民という選択肢を真剣に考える必要があるのではなかろうか。