コロナ対策:1年以上も続く政府の失敗 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型コロナウイルスに対する最終兵器、ワクチン接種が、日本は先進国のなかで最も遅れてる。欧米諸国では、ワクチン効果で日常生活が戻りつつある。

 しかし、日本では接種の予約すら容易にできない惨めな状況だ。

 新型コロナウイルスの感染が日本でも確認されてから、もう1年以上が経つが、政府の対応は失敗続きであった。

 その典型はアベノマスクである。全世帯への配布を始めたのが4月17日であるが、郵送が終了したのは2ヶ月後の6月20日頃で、その頃にはマスク不足は解消していた。費用は460億円もかかっている。昨年7月時点で、アベノマスクを使っていたのは3.5%のみという失望すべき結果であった。国民の評価も最低であった。

 これは官邸官僚の提案を安易に受け入れた安倍首相の失敗である。安倍長期政権の下で、忖度官僚が跋扈するなど、官僚機構が劣化していき、側近政治で諫言する者もいなくなっていったのである。平時にはそれでも何とか統治できたが、パンデミックのような有事にはとても機能しない政権だったことが明らかになった。

 安倍首相は健康上の理由で退陣したが、コロナ対応の失敗の責任をとる意味で身を引いたと言ったほうが正確である。後継は菅官房長官であるが、安倍首相の番頭として官僚を動かしてきたのは彼である。したがって、菅政権になって、これまでの失敗を反省し、抜本的な改革を断行することができないでいる。

 まさに、安倍政権、菅政権の失敗の連鎖が、今日のコロナ惨状をもたらしたのである。

 感染症対策の基本は「検査と隔離」であり、徹底したPCR検査を行うことが対策の第一歩でなければならない。ところが、これを怠ってきており、それは今も続いている。今回の第4波の感染の背景には、強力な感染力を持つ変異ウイルスの存在があるが、その変異株の検査すら不十分な状況が続いている。

 ワクチン接種もそうだが、すべてが、「遅い」、「不十分」であり、先手必勝の真逆を実行し続けているのが今の政権である。

 昨年春に全国民に一律に給付された10万円の現金支給にしても、遅れに遅れ、しかもインターネットでの受付のほうが混乱するという恥ずかしい状況すら現出したのである。

 飲食店などに休業や営業時間の短縮を要求する代償としての補償金を支払う場合にも、一律支給という「手抜き作業」を行い続けた。政府や自治体の財務当局には税務データが完備されているはずである。どうして、そのデータを活用して、たとえばドイツのように昨年度の売り上げの75%を支給するということができなかったのか。

 度重なる緊急事態宣言の発令で、飲食業や観光業をはじめ、多くの業界が青息吐息である。営業の停止や時短に対する協力金なども不十分だったり、至急が遅かったりしており、廃業の余儀なきに至るケースも多い。

 生活困窮者も今年2月の生活保護の申請件数が1万7424件と6ヶ月連続の増加である。今、全国で生活保護を受けているのは163万7143世帯であるが、3度目の緊急事態宣言で、今後もさらに増える可能性がある。経済への深刻な打撃への対応についても、今の政権は落第点である。