3・11から10年:当時の菅直人民主党政権への怒り | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  10年前の東日本大震災のとき、私は上海にいた。急遽帰国して、日本の惨状に驚愕するとともに、当時の菅直人政権の対応に怒りを爆発させたものである。私は、自民党を離党し、新党改革の党首であったので、民主党でも自民党でもない立場から公平に見て批判したのである。2011年3月17日に書いた文章を掲載する。

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 未曾有の大震災である。地震、津波の被害に加えて、福島第一原子力発電所の事故である。人命救助、被災者の支援、復興と課題は山積している。

 しかし、政府民主党の反応は鈍い。以下では、危機管理の要点を念頭に置きながら、改善策をまとめてみる。

 まずは、強力な司令塔が不可欠だということである。広報は、官房長官が行っているが、最重要事項は、内閣総理大臣が国民に直接説明すべきである。そして、官庁の縄張り意識をねじ伏せて必要な政策を前に進めるのが首相の仕事である。蓮舫氏を節電担当にしたり、辻元氏をボランティア担当にしたりする思いつき人事をするくらいなら、既存の官僚組織を十分に稼働させることが先決である。

 被災地への食料、水、医薬品、燃料など物資の輸送が滞っている。輸送のインフラは国土交通大臣の所管である。ところが、担当大臣の顔をテレビで見ることがない。高速道路の通行規制も、物資輸送を優先するのならば、規制は柔軟に解除してよい。役人は、規制を守る。それは、何か問題が起こったときに、彼らは責任を取りたくないからである。だから、政治家が大臣となっているのである。自らの責任で政治判断をすればよい。担当大臣が無能ならば、内閣総理大臣が指揮すればよい。被災者の生命がかかっている。

 14日の月曜日に行われた計画停電についても、まさに無計画そのものであった。原発事故についてもそうであるが、東京電力に任せておけばよいのではない。停電の不便くらいは、日本国民は堪え忍ぶ。しかし、朝、駅に行ってみなければ、電車が動くのかどうかも分からないのでは、話にならない。前日の夜、首相、官房長官、経産大臣の会見はあったが、国土交通省の存在はゼロであった。

 原発事故については、憂慮すべき事態である。日本国民のみならず、世界中を不安に陥れている。最大の問題は、情報発信元が一元化していないことである。首相、官房長官、原子力安全・保安院、東京電力などがバラバラに説明している。しかも説明に食い違いが見られる。これでは、国民が政府や東電の説明に不信感を持つのは当然である。首相が理科系大学の卒業で原子力発電について詳しいことなど自慢しても、何の役にも立たない。

 危機の時には、情報公開が鉄則である。そして、情報は、位が上の者が言うほど信憑性を増す。そして、どのような質問にも答えなければならない。ところが、首相の会見には、必要な情報が欠けており、しかも菅首相は記者たちの質問にも一切応じようとはしない。これでは、国民に信頼せよというほうが無理である。

 日本の浮沈がかかった重要なときである。政権を担うことの重さに恐れおののいて、全力をあげて国難に立ち向かわなければならない。今ほど危機のリーダーシップが必要なときはない。