緊急事態宣言は1ヶ月で解除できるか?英紙The Timesが東京五輪中止決定と報道。 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。1月22日の東京都の感染者は1175人で、千人以上が10日間も続いている。2月7日までに、感染数が500人以下にならなければ、緊急事態宣言の解除は無理である。

 今回の緊急事態宣言は、春の第1回目に比べ、対象を飲食店などに限定した制限措置であるが、この措置は感染抑制に効果があるのだろうか。

 東京都で判明した感染経路のうち、飲食店は1割以下であり、5割は家庭内である。つまり、無症状者が自覚しないまま、家庭や施設(1.5割)や職場(1.1割)で感染を広げているのである。したがって、PCR検査を徹底して、無症状の感染者を炙り出し、隔離していかねばならないのである。

 ところが、日本では、厚労省が民間の検査機関の協力を仰ぐのに消極的であり、検査の絶対数が少ない。

 これに対して、「検査と隔離」の原則に忠実なのが中国である。

 北京に隣接する河北省でコロナ感染が増え、そこの中心都市、石家荘では全市民1025万人にPCR検査を実施した。その際に、大量のエアー・テントをわずか10時間で立ち上げ、迅速に検査を行ったのである。

 その結果354人の感染が判明した。当局は都市封鎖を行い、全住民は1週間の自宅待機を命じられた。このような徹底した検査のおかげで、中国はウイルスの封じ込めに成功している。

日本の緊急事態宣言発令の背景には、感染の拡大に伴って、列島各地から医療崩壊の声が上がってきたことがある。

 しかし、日本で医師・看護師や病床が絶対的に不足しているわけではない。日本の医療資源の量と質は世界に誇る水準にある。コロナ専門病院を増やし、そこに資源を集中しなければ、コロナ医療も、その他の医療も共倒れとなる。

 実際に、コロナ患者で病床が埋まり、緊急患者の受け入れを休止している病院が出ている。また、中小レベルでは、コロナ以外の患者の減少で、経営が苦しくなっている病院が沢山ある。

 このような状況を放置してきた小池都知事の責任は重い。全国の司令塔である厚労省にも責任があるのは当然であるが、実際に各地域の病院を動かすのは知事である。私は、厚労大臣と都知事の両方を経験したが、国立病院以外は大臣にほとんど権限はなく、現場を動かすのは知事である。

 東京五輪については、ワクチンのみが頼りの綱といった感じだが、21日、英紙The Timesは、「日本政府は、内々に東京五輪中止を決めた」と報じた。五輪開催への状況が厳しいことは事実である。

 気になるのはコロナの変異株が世界に拡散していることである。これは感染力が強いので、一気に爆発的感染を起こす危険性がある。今のところ、症状の重症化もなければ、ワクチンが効かないということもない。

 しかし、ウイルスは、生き残るために変異を繰り返している。万が一にも、開発済みのワクチンが効果がないとなると、国民が心配している通り、東京五輪の開催は難しくなる。