逆風が吹き始めた菅政権:コロナが狂わせる菅首相のシナリオ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 12月22日、東京563人、神奈川348人、埼玉196人、千葉152人、大阪283人、兵庫190人など、日本列島は新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。

 そのような中で、21日、「桜を見る会」前夜祭の経理について東京地検特捜部は任意で安倍前首相に事情聴取をした。

 また、吉川元農相に鶏卵業者から現金500万円を受け取っていたことが明らかになり、議員辞職した。西川公也元農相も数百万円のを受け取っていたとされ、西川は、内閣官房参与を8日付けで辞任してた。

 両者とも、安倍内閣の農林水産大臣であり、吉川議員は総裁選に菅官房長官を擁立した中心人物、また西川前議員は安倍内閣に引き続いて菅内閣でも参与を務めていただけに、菅首相に対する打撃は大きい。

 この逆風はなぜ吹き始めたのか。

 第一は、長期政権の弊害で、官僚による忖度行政が常態化しており、秘書官や補佐官といった官邸の側近官僚も茶坊主で固め、しかも彼らが閣僚以上の権勢を振るう。

 第二に、菅首相の場合、利権などを求めてすり寄ってくる人々に影響されやすい。GoToEatキャンペーン、携帯電話料金の値下げ、デジタル庁の創設、不妊治療の保険適用、地銀の再編なども、それを提案する人々が周りにいる。

 提案者と菅との距離で政策が決まるようでは、国民には首相の本来の考え方が見えてこない。様々な書を読み、相反する複数の提案に耳を傾けなければ、バランスのとれた政策を立案することが不可能となる。

 第三は、世論の動きに対応できていないことだ。管首相は、官房長官時代には、世論調査の動向に最大限の注意を払ってきたし、どうすれば世論受けするか、支持率が下がったり、スキャンダルが発覚したときなどどうするかというダメージ・コントロールに長けた人物を周囲に侍らせている。

 また、マスコミにも多くのシンパ記者を養成してきた。それがマスコミ操縦が上手いとされる状況を生み出したのである。

 ところが、GoToキャンペーンに固執するあまり、柔軟に対応することができなくなってしまった。菅首相の頑固さが禍しているのではないか。

 新型コロナウイルスのワクチンの接種が海外で始まった。明るいニュースであるが、イギリスでは伝染力の強い変異種が流行している。ワクチンだけで、東京五輪開催が可能になるわけではないが、菅首相の発想は、「初めに五輪ありき」である。中止の可能性も検討しておくべきではないか。

 ワクチン接種でコロナ終息→東京五輪成功→解散総選挙で大勝→首相続投という菅戦略が狂い始めている。