感染症法のどこが問題なのか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型コロナウイルス感染症は、指定感染症とされ、「第二類感染症相当」として、入院勧告、就業規制などの厳しい対応が求められている。しかし、軽症者でも入院させることが病床不足も招くとして、この「第二類相当」という取り扱いを見直す動きが出てきている。

 しかし、医療資源の逼迫を理由に、ウイルス特性もまだ十分には解明されていない状況で、拙速な見直しを行うよりも前に、感染症法には先に見直すべき点がある。

 新型コロナウイルス感染の第二波はピークアウトしている感じだが、依然として高止まりしていることには変わりない。油断して感染防止策を手抜きすると、また直ぐに感染が再拡大する可能性がある。

 一方で、中国、台湾、韓国、ベトナム、タイなどでは、感染が再拡大しても、すぐに鎮圧している。この違いはどこから来るのだろうか。

 第二波の到来は、政府や東京都の明白な失敗である。つまり、PCR検査の手抜きをしてきたことが、この厳しい第二波の原因となっているのである。

 首都東京の知事が行うべきは、厚労省や感染研の規制を解除し、保険適用などPCR検査を安価で簡単に受けられる状況にすることである。また、都内の市区町村の支援を行う必要がある。言葉の応酬やパフォーマンスを繰り返すことは、自分の注目度を上げるかもしれないが、都民や国民にとって有害無益だ。

 今回の新型コロナウイルスの特色は、潜伏期間が長いことに加えて、感染しても無症状者が多いことである。若者の4分の1がそうだと言われている。これまでの病原体では経験していないことであり、既存の感染症関連法では対応できない。 

 厚労省の対応の失敗は、感染者の濃厚接触者であっても、無症状者は検査対象から除外したことである。このような非常識が通用する国は日本以外にはない。

 保健所が濃厚接触者として指示してPCR検査を行えば、本人の費用負担はない。そのために、無症状者を排除していたとしたら、本末転倒も甚だしい。保険適用も、感染研の疫学調査の業務委託という形をとっているために、現実には拡大しないようにしてある。

 感染症法の第3章(12条〜16条)「感染症法に関する情報の収集及び公表」の規定は、感染症の疑似症患者などに「行政検査」をし、濃厚接触者などに「積極的疫学調査」をするとしている。対象者の検査費用は公費負担である。

 医師や看護師などがPCR検査を受けようとすると、感染症法上の規定がないため、感染者や濃厚接触者でないかぎり自己負担となってしまう。8月18日の厚労省「通知」で感染の酷い地域の医療従事者は、濃厚接触者と見なすとされ、やっと公費負担が可能となった。しかし、スーパー、郵便や宅配便の配達、公共インフラの維持などに携わるエッセンシャル・ワーカーについても、公費でPCR検査を行うような法改正が必要である。

 さらには、営業自粛などに強制力を持たせ、その分、きちんと補償する法的根拠も必要である。

 以上のような観点から、感染症法や新型インフルエンザ特措法を改正して、一本の新感染症法にまとめあげるべきである。