アビガンをコロナ治療薬としてなぜ早期承認しないのか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 トランプ大統領は抗マラリア薬のヒドロキシクロロキン( Hydroxychloroquine)を、新型コロナウイルス感染予防薬として服用していると述べたが、これまでの研究では、その効果は実証されておらず、かえって有害だという。フランスの高名な感染症学者ディディエ・ラオール教授はこの薬を推薦しているが、逆にイヴ・ビュイッソン教授は予防効果など全くないと否定している。

 一方、世界ではインフルエンザ治療薬のアビガンが、すでに広く世界で活用されており、私は早期承認を求めてきた。しかし、5月19日、厚労省は「有効性判断には時期尚早」として、まだ臨床研究を継続するという。

 4月23日、女優の岡江久美子さんが新型肺炎で死去した。政府の対策の二つの遅れがなければ、あるいは命が助かったかもしれない。

 第一は先述したPCR検査の遅れである。これまで、専門家会議は発熱後4日間は自宅で待てと指示していたが、個人によって容態は異なるのであり、迅速にPCR検査をして陽性であることが確認されていれば、処置が遅れなかったかもしれないのである。亡くなった力士の勝武士さんのケースも同じである。

 政府のコロナ対策を立案する専門家会議は、クラスター潰しに専念する余り、市中感染の拡大を阻止できなかった。それが今の惨状の発端であり、しかもPCR検査を徹底して現状を正確に把握する努力を展開しなかった。専門家会議とは異なるセカンドオピニオンを求める必要がある。

 第二は、アビガンの早期承認を躊躇っていることである。石田純一さんも、コロナに感染し、病院に運び込まれたときには厳しい状況であったが、アビガンの投与で回復したという。また、福井県初のコロナ感染者である日華化学の江守社長も2週間アビガンを服用して元気になっている。

 ニューヨーク州の重症患者を対象にした研究では、人工呼吸器を着けた患者の88.1%が死亡したという。人工呼吸器を装着する段階に至らないうちにアビガンなどの抗ウイルス薬を投与すべきなのである。

 つまり、早期投与こそが救命につながるのである。ところが、日本感染症学会は、呼吸不全の出現を投与の必要条件としていたのである。厚労省は、3月17日に都道府県に対して発出した「新型コロナウイルス感染症、診療の手引き」の中で、これを批判し、早期投与の必要性を強調した。

 これを見ても、感染症の専門家が万能で、すべて正しいわけではないことがよくわかる。結局、感染症学会は、臨床を重ねる間に、厚労省見解の正しさを認めざるをえなくなり、4月20日にはそれを認めている。

 ところが、インフルエンザ治療薬として承認されたアビガンは、新型コロナ治療薬としては治験が足りないという理由で、臨床実験という形でしか投与できない。催奇形性という副作用があり、妊婦などには使えないが、高齢者には適用しても良いというのが、第一線の多くの医師の見解である。アビガンを早く承認すべきである。