来年、東京五輪は開催できるか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。世界の感染者は約250万人、死者も16万人を超えている。

 3月24日夜のバッハIOC会長と安倍首相のトップ会談で、東京五輪の1年延期が決まったが、感染が収束しない状況が続けば、来年の開催は不可能となる。 

 皆が、そのことを危惧しているときに、4月21日、IOCは、五輪延期費用の大半を日本側が負担するという方針を明らかにした。

 東京五輪延期の追加費用は、数千億円と見込まれてるが、関連経費を入れると1兆円近くになると私は見ている。

 3月24日まで、「通常開催の準備を続ける」とのみ主張し続けたIOCや日本政府に対して、諸外国のオリンピック委員会や選手から「無責任だ」という声が高まっていたことは記憶に新しい。

 3月22日、IOCは臨時理事会で4週間以内に開催の可否を決めるという決定を下し、翌23日の参議院予算委員会で、安倍首相も、その決定を追認にした。そして、両者とも、中止の選択肢はないと強調したのである。

 しかし、中止ということは絶対にないのだろうか。

オリンピックの歴史を振り返ってみれば、戦争で中止になった例はある。第一次大戦で1916年のベルリン大会、第二次大戦で1940年の東京大会、1944年のロンドン大会が中止になっている。

 米ソ冷戦下の1980年のモスクワ大会は、前年にソ連がアフガニスタンに侵攻したために日米など西側諸国がボイコットした。JOCの山下会長も、日本代表として柔道の試合に出ることが叶わなかった。

 ワクチンや特効薬が今すぐにでも開発されれば、来年の開催は可能かもしれないが、ワクチンの開発には通常1年半はかかる。SARSやMERSは、ワクチンの開発に失敗している。

 先日、私も参加して、世界の感染症や危機管理の専門家が、イギリス、中国、ベルギー、ロンドン、ジュネーブ(WHO)、東京をZoomで結んで国際会議を行ったが、治療薬開発に携わっている研究者たちは、当面は既存の薬を使うしかないこと、しかも患者によって薬効はまちまちであることを指摘した。

 さらに、新型コロナウイルスの感染が終息する時期については、年を越すだろうというのが多くの研究者の意見であり、今後、アフリカや中南米に感染が拡大することを予測すれば、来年の東京五輪開催は容易ではない。

 何よりも、世界経済が疲弊してしまっている。10万円の現金支給でもめている国に、五輪開催の余裕があるのだろうか。