感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(19)PCR検査やワクチン接種の優先順位をどうつ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型インフルエンザが流行した2009年、厚労大臣の私は全力をあげて対策を講じていたが、夏に解散総選挙ということになってしまった。概算要求の時期でもあり、政権交代がほぼ確実だったが、民主党政権になっても感染症対策が継続できるように予算面で手を打った。

 感染症との戦いに、選挙は邪魔になる。韓国では、2020年4月15日に総選挙が行われるが、今の新型コロナウイルスの感染拡大状況での実施は無理なような気がする。

 2009年8月26日には、私は、感染症や小児科の専門家をはじめ、難病の子どもを支援するグループの代表など、様々な分野の専門家と新型インフルエンザについて意見交換会を開いた。

 この場で、私は、海外から輸入するワクチンについての取り扱いにも言及した。まずは国内で治験を行わずに輸入できる薬事法上の特例承認の制度を適用することにする、しかし安全性を確認するため小規模であっても臨床試験を実施することを言明した。

 また、ワクチンの副作用については、国が救済する補償制度を特別立法で導入する考えを示した。いずれは感染症法や予防接種法を抜本的に見直す必要があるが、それまでの間は、時限的な特別立法で切り抜けようと言うのが私の考えであった。

  8月27日、私は、2010年度の厚生労働省の概算要求を発表した。敗色濃厚な選挙戦であったが、行政の立場としては、タイムスケジュール通りに決定すべきものは決定しなければならない。

 一般会計総額で2009年度当初比5.0%(1兆2565億円)増の26兆4133億円とし、新型インフルエンザ対策に207億円(2009年度当初は144億円)で、その中には、ワクチン全量買い上げ用に60億円、医療機関の患者分離用設備改修費補助に54億円を計上した。

 また、新型インフルエンザが沖縄並みに全国で流行拡大する事態に備えて、夜間診療時間を延長して外来患者の受入態勢を強化することなどを検討している旨、述べた。

 この27日の午後、選挙応援のため関西に入った。この日、都内で、厚生労働省と専門家や患者団体との意見交換会が行われ、ワクチン接種の優先順位の議論が行われた。

 その結果を受けて、9月4日には、厚生労働省の最終方針案が決まった。まず最優先接種者として、医療従事者(100万人)、基礎疾患がある人(900万人)、妊婦(100万人)、1歳から就学前の小児(600万人)、1歳未満の乳児の両親(200万人)、次にその他の優先接種者として、小中高校生(1400万人)、65歳以上の高齢者(2100万人)で、合計5400万人である。